日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
菊白銹病の伝染並びに防除に関する実験
山田 〓一
著者情報
ジャーナル フリー

1956 年 20 巻 4 号 p. 148-154

詳細
抄録

著者は菊白銹病の伝染及び防除に就て研究し次の如き結果を得た。
1. 冬胞子の発芽温度は6°~36℃, 適温は18°~28℃, 小生子形成は6°~24℃で行われ, 適温は13°~22℃附近である。病葉上に於ける冬胞子層は暗黒下では20℃, 約6時間で小生子を形成するが, 光線の存在により阻止された。
2. 小生子の発芽は6℃以下より36℃までの広範囲で行われるが, 適温は13°~18℃附近である。なお小生子の発芽は光線によつて影響されることはない。
3. 本病の潜伏期間は凡そ10日間である。
4. 冬胞子層は5月頃の室内に於て約20日間で生活力を失つたが, 関係湿度32%では30日後にもなお生活力を保持した。
5. 冬胞子の発芽阻止及び小生子形成阻止作用はPCP-Na, 水和硫黄, 硫黄粉が最も強く, アンモニアボルドー, 銅水銀剤, 水銀製剤, 石灰硫黄合剤等にはその作用が認められなかつた。
6. 小生子の発芽に対しては水和硫黄及び硫黄粉が強い抑制力を示し, セレサン石灰がこれに次ぎ, フアイゴン, SR-406, 石灰硫黄合剤等も相当の抑制力が認められた。
7. 本病の防除には水和硫黄の撒粉が最も有利と考えられる。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top