日本植物病理学会報
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日本におけるカボチャ・モザイク病に関する研究
I. 病徴, 寄主範囲及び伝染方法
小室 康雄
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1956 年 21 巻 4 号 p. 162-166

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抄録

1) 関東地方で発生の多いカボチャ・モザイク病バイラスについて実験を行つた。カボチャ上における病徴は mosaic で, 時に veinclearing, veinbanding を伴い, 奇型も観察される。奇型は初期に感染したもので特に著しい。病徴は一般に日本, 西洋カボチャに比べナタウリで激しいようであり, 病株の発生は日本カボチャに比べ西洋カボチャに多いもののようである。
2) 本バイラスは汁液接種により容易に伝搬され,またワタアブラムシ, モモアカブラムシによつても媒介されるが, ウリハムシによつては媒介されない。種子伝染は西洋カボチャのデリシャスでは0.6%の発病を認めたが, 黒皮甘栗では陰性であつた。
3) 25科73種の植物に汁液接種した結果, 感染したのはウリ科植物 (キュウリ, メロン, トウガ, シロウリなど) 及びアカザの2科10種の植物に過ぎず, 本バイラスは寄主範囲の狭いバイラスと言えよう。この寄生性の点からも本バイラスはCMVや tobacco ring spot virus とは別種と考えられるが, その物理的性質などを調べた上で, その他のウリ科植物バイラスと比較し同定を行うつもりである。

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