日本植物病理学会報
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有機合成殺菌剤の効力評価に関する研究
第IV報 数種の有機合成殺菌剤の Weathering の日数経過に伴う殺菌力の消失
田村 浩国
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1956 年 21 巻 4 号 p. 159-161

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抄録
Dithane, Phygon, Spergon, SR-406, Arasan の残効性を確める一助として, これ等有機殺菌剤の各有効成分について Weathering 過程中におけるED95値を測定し, 直接殺菌作用によるED 95値を基準とした殺菌力の消失比を算出して残効性を検討した。
1. Weathering test は温室内 (平均24°∼25°C) で行い, 供試した各有効成分の殺菌力の消失過程は乾燥および湿潤の両状態下について調査した。
2. 乾燥状態下での Weathering 期間毎の各有効成分の消失比は, 比較的に小さく平均1/2∼1/5に止まつた。特に Phygon, Spergon, Arasan の各有効成分は1日∼7日の Weathering 中の消失比は平均1/1.5であり, 殆んど消失の傾向が認められなかつた。
3. 湿潤状態下における殺菌力の消失比は, 各有効成分とも乾燥の場合よりも大きい。すなわちSR-406を除く他の有機殺菌剤の有効成分は, 各期間毎に消失比が平均1/2∼1/4であつたが, SR-406の有効成分は平均1/7∼1/10に低下した。
4. 以上の実験結果からでは Phygon, Spergon および Arasan は残効性のすぐれた殺菌剤と推定される。
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