日本植物病理学会報
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イネゴマハガレ病における病斑の大きさの分布と抵抗性
黒崎 良男
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1957 年 22 巻 4-5 号 p. 251-256

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抄録

1. ゴマハガレ病の病斑の大きさの分布は正規分布に従わず,特異的な歪のある分布を示す。
2. この分布はイネ組織の抵抗性と関係があると考えれば説明できるので,抵抗性をもととした分布函数の導入を試みた。
3. 拡大抵抗性αtを次の如く定義した。
但し,接種後の時間tにおいて伸長中の病原体Nt個の内,続くΔt時間内に-ΔNt個体だけが寄主の抵抗性のために伸長を停止させられたものとする。
4. 抵抗性を上の如く定義すれば,病斑の長さの分布は次の確率密度をもつ。
但しxは病斑の長さで,その単位長さを伸長するに要する時間を時間単位にとれば
5. αt=f(t)としては次の指数函数が適当である。
6. 導入した分布函数は実測値によく適合する。したがつて病斑の大きさの分布から抵抗性の時間的推移を推論することが可能である。

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