日本植物病理学会報
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いもち病菌菌糸の窒素成分におよぼす殺菌剤の影響
達山 和紀
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1962 年 27 巻 1 号 p. 24-30

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抄録
さきに7)硫酸銅または昇汞溶液に接触したいもち病菌の泳動たんぱくが, 無処理のものに比較して減少することがみとめられたので, 硫酸銅ほか9種類の殺菌剤のいもち病菌菌糸の窒素成分におよぼす影響を比較検討した。
いもち病菌菌糸中の泳動たんぱくは接触した殺菌剤の濃度が大きく, 接触時間の長い場合に減少するが, この傾向は硫酸銅, 昇汞, PMFなど重金属系殺菌剤においてはるかに強く, Captan, Blasticidin-S などの作用はゆるやかである。また, 菌糸中の全窒素の含量も同じような傾向であるが, たんぱく態窒素の含量は泳動たんぱくの減少と必ずしも一致しない。しかし菌糸中の遊離アミノ酸の含量におよぼす影響は殺菌剤の種類によつてかなり異なり, 一般に重金属系殺菌剤ではすべてのアミノ酸が減少するようであるが, Blasticidin-S では100γ/mlの濃度で48時間接触させると, 未知の発色部が現われ, 泳動たんぱくあるいはアミノ酸など菌の代謝に関係の大きいと思われる成分の検索が, 殺菌剤の作用機作を究明する一つの方法として重要であると考えられる。
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