日本植物病理学会報
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柑橘ウイルスの検定植物に関する研究 第2報
ゴマに対する温州萎縮ウイルスの汁液接種
岸 国平田中 彰一
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1964 年 29 巻 3 号 p. 142-148

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抄録
1. 萎縮病罹病温州の若い枝葉を接種源とし, マメ科を除く12科27種の草本植物に汁液接種した結果, ゴマ (Sesamum indicum L.) だけが感受性を示し, 接種葉に local lesion を生じ, かつ上葉に葉脈の黄化およびえそ, 葉身の捲縮, 奇形などの症状を呈することを認めた。
2. ゴマとササゲおよびインゲンとの間では供試ウイルスの交互接種が可能であつた。
3. ゴマは温州ミカンが保毒する3種のウイルスのうち Satsuma dwarf virus だけに感受性を示し, tristeza virus および vein enation virus に対しては感受性を示さなかつた。
4. 白ゴマ, 茶ゴマ, 黒ゴマの3種のうち白ゴマが最も感受性が高く, 茶ゴマがこれにつぎ, 黒ゴマは全身感染するが local lesion はほとんど現わさなかつた。
5. 本ウイルスに対するゴマの感受性は, 生育段階による著差を現わさなかつたが, 本葉1∼2対展開期のものに接種した場合最も病徴が鮮明であり, 検定用に最適であつた。
6. ゴマは接種直後に34℃以上の高温にあわせた場合は発病しなかつたが, 接種後8時間以上25℃に保てば, その後は高温にあわせても発病を妨げられなかつた。
7. 罹病樹の新梢汁液を McIlvaine 緩衝液でpHを5.0∼8.0に調整した場合ゴマに感染を示し, とくに7.0∼8.0において発病が著しかつた。
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