日本植物病理学会報
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クワモザイク病の病徴発現と温度との関係
石家 達爾河上 双葉
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1965 年 30 巻 1 号 p. 13-19

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抄録
群馬, 滋賀両県から採取した罹病桑条を実生苗に接木した桑苗を供試して, クワモザイク病の病徴発現と温度との関係を試験して次の結果をえた。
1. 病徴は15℃と23℃においては現われるが, 31℃ではほとんど mask し, 発病の程度は15℃よりも23℃の方が激しい。
2. 31℃でわずかながら現れた症状はヒダの前駆症状と考えられた葉の肥厚硬化, 葉脈の透明化であつた。
3. 15℃においてはわずかの輪紋以外はすべてがモザイクで, それが昂進すると enation を生ずることから, それもヒダの前駆症とみなした。
4. 23℃では病徴発現の傾向は複雑で, 病穂採取地, クワの生育時期などによつて著るしくおもむきを異にした。群馬の材料ではすべての時期を通して激しい enation を生じ, 他の症状はみとめられなかつたが, 滋賀の材料ではモザイク, enation, 輪紋, 黄斑の各症状がみとめられ, それらの出現には特異的な推移が示された。
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