日本植物病理学会報
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イネ萎縮病ウイルスの純化
豊田 栄木村 郁夫鈴木 直治
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1965 年 30 巻 4 号 p. 225-230_1

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抄録

福士・四方・木村1)によるイネ萎縮病ウイルスの電顕像はウイルス粒子が油滴状物質で被われていることを示している。罹病イネ茎葉から分画遠心分離で得たウイルス標品はDEAEセルローズカラムに吸着されNaCl 0~1Mの濃度勾配で溶出されず, 0.5M NaOHでようやく溶出されるところからみて被覆物質は強酸性物質と想像される。蛇毒およびパンクレアチンのホスホリパーゼで5℃, 2日処理するとこの物質は完全に除去され, ウイルス粒子はDEAEセルローズカラムから0.2~0.25M NaClで溶出され, この溶出液中のウイルス粒子は電気泳動像, 沈降図型および電子顕微鏡観察から純度の高いことが示された。これを無毒ツマグロヨコバイに注射すると, ヨコバイが保毒になりイネを発病させた。このことにより純化されたウイルスが感染力を有することが証明された。同じ方法で, 0.15M NaCl溶出部を捨て0.25M NaCl溶出部をとると同様のウイルス標品を得る。生葉300gから約30mgのウイルスが得られる。

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