抄録
近年育成された,外国稲のいもち病抵抗性因子を導入した実用的いもち病抵抗性品種を紹介し,最近のいもち病抵抗性の遺伝機構に関する知見にふれ,今後のいもち病抵抗性品種育成の方向につき考察した。
(1) 支那イネのいもち病抵抗性因子を導入した奨励品種には,クサブエ,テイネ,ユーカラ,オオヨド,ウゴニシキ,サンプク,マンゲツモチ,ツキミモチ,カグラモチなどがある。
(2) インド・イネのいもち病抵抗性因子を導入した奨励品種には,シモキタ,フクニシキがある。
(3) 外国イネのもついもち病抵抗性の遺伝機構は試験の使用品種,抵抗性の把握,考えかた,発病の判定法の差異などにより,単純な結論は引出せないが,1∼2個の抵抗性主動因子の存在する場合,さらにポリジーンの関与する場合がある。
(4) 今後のいもち病抵抗性品種の育成は,いもち病の菌型の存在を考えた場合,いくつかの抵抗性主動因子とポリジーンを持ち,おしなべて各菌型に対し圃場抵抗性の高い品種を目標とする方向が考えられる。