日本植物病理学会報
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殺菌剤の選択毒性機構に関する研究
植物病原菌によるpentachloronitrobenzeneの代謝
中西 逸朗奥 八郎
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1969 年 35 巻 5 号 p. 339-346

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抄録

ペンタクロロニトロベンゼン(PCNB)の植物病原菌に対する選択毒性機構を,薬剤代謝面から解析する目的で,植物病原菌によるPCNBの代謝を検討した。
PCNBはF. oxysporum f. lycopersiciによって,二つの代謝物質pentachloroaniline (PCA), pentachlorothioanisole (PCTA)に変化する。PCA, PCTAの植物病原菌に対する抗菌力は,PCNBに比較して弱く,PCNB抵抗性菌F. oxysporum f. lycopersici, F. oxysporum f. niveum, P. debaryanum, P. parasiticaに対してはもとより,PCNB感受性菌R. solaniに対しても,きわめて弱い生育抑制作用を示すにすぎず,この2物質への代謝が解毒化反応に属することを示している。
PCNBの代謝のうち,PCAへの分解反応は,広く微生物に共通な代謝経路である。一方PCTAへの分解反応は,ある種の糸状菌に特有な性質である。このように,PCNBの代謝は,抵抗性菌だけに特異的なものではなく,感受性菌においても起こるので,薬剤代謝の有無だけから,PCNBの選択毒性を説明することはできない。

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