日本植物病理学会報
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ナシ黒斑病菌の胞子形成に及ぼす光の影響
大森 薫中島 三夫
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1970 年 36 巻 1 号 p. 11-16

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抄録

1. 白色螢光灯で光を連続照射してナシ黒斑病菌を培養した場合,光による本菌の胞子形成におよぼす影響は用いた培地の種類により多少異なった。暗黒条件でもっとも胞子形成量の多かった乾アンズ煎汁培地を用いた場合,光照射による胞子形成量の増減は少なかったが,V-8ジュース培地,ナシ葉煎汁培地,乾アンズ・V-8ジュース培地を用いた場合は光照射によって胞子形成量は増加した。
2. 白色螢光灯照射による光の影響は,培養温度,光源から菌そうまでの距離こより異なり,培養温度が高く,また光源から遠距離の場合,胞子形成量は減少し,逆に,気中菌糸の生育が良好となり,他方,比較的低い培養温度で近距離からの照射条件下では胞子形成量は増加した。
3. 各種光源のうち,ブラックライトブルー螢光灯,純青色螢光灯ならびに殺菌灯を,近距離から連続照射し23°Cで培養した場合は,本菌の胞子形成量は暗黒条件下にくらべ乾アンズ煎汁培地を除いた他の3種培地で増加した。
4. 各種ガラスフィルター透過光線のうち,340mμならびに365mμに透過光線のピークを示すフィルターを用いた場合,本菌の乾アンズ・V-8ジュース培地での胞子形成は光源からの距離には関係なく促進され,一方,400-500mμの光を透過するフィルターを用いた場合胞子形成は抑制され,とくに,450mμのもので抑制効果はいちじるしかった。

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