日本植物病理学会報
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36 巻 , 1 号
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  • 栃原 比呂志
    1970 年 36 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1970/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キクから分離され,これまでTAVとして取扱われていたウイルスで,CMVと血清関係がなく,トマトに種子を着生するウイルスをTAVとは別のウイルスとして取扱い,キク微斑ウイルス(chrysanthemum mild mottle virus)と仮称した。本ウイルスは25-30mμの球状粒子でRNAウイルスであり,260/280=1.70-1.78,最高/最低=1.46-1.50の核蛋白によると思われる吸収曲線を示した。260mμにおける吸光係数は5.6cm2/mgで,4.5μg/mlの汁液接種でササゲ1葉当たり100前後のlocal lesionを生じた。収量はタバコ病葉100g当り30-40mgであった。CMVとは沈降係数に差異がなかったが,血清関係は認められなかった。アブラムシで伝染し,キクに無病徴かmottleを生じ,品種により花の矮化,退色,color breakingなどを起こす。CMVよりタバコ,N. glutinosa,ペチュニアなどにenationを生じやすく,ササゲとC. amaranticolorのlocal lesionが小さい。キュウリには感染しない。各地の栽培ギク138株中40株から本ウイルスが分離された。
  • 大森 薫, 中島 三夫
    1970 年 36 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1970/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 白色螢光灯で光を連続照射してナシ黒斑病菌を培養した場合,光による本菌の胞子形成におよぼす影響は用いた培地の種類により多少異なった。暗黒条件でもっとも胞子形成量の多かった乾アンズ煎汁培地を用いた場合,光照射による胞子形成量の増減は少なかったが,V-8ジュース培地,ナシ葉煎汁培地,乾アンズ・V-8ジュース培地を用いた場合は光照射によって胞子形成量は増加した。
    2. 白色螢光灯照射による光の影響は,培養温度,光源から菌そうまでの距離こより異なり,培養温度が高く,また光源から遠距離の場合,胞子形成量は減少し,逆に,気中菌糸の生育が良好となり,他方,比較的低い培養温度で近距離からの照射条件下では胞子形成量は増加した。
    3. 各種光源のうち,ブラックライトブルー螢光灯,純青色螢光灯ならびに殺菌灯を,近距離から連続照射し23°Cで培養した場合は,本菌の胞子形成量は暗黒条件下にくらべ乾アンズ煎汁培地を除いた他の3種培地で増加した。
    4. 各種ガラスフィルター透過光線のうち,340mμならびに365mμに透過光線のピークを示すフィルターを用いた場合,本菌の乾アンズ・V-8ジュース培地での胞子形成は光源からの距離には関係なく促進され,一方,400-500mμの光を透過するフィルターを用いた場合胞子形成は抑制され,とくに,450mμのもので抑制効果はいちじるしかった。
  • 小室 康雄, 吉野 正義, 一戸 稔
    1970 年 36 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 1970/01/30
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    1) 1967年7月,埼玉県北葛飾郡幸手町のアスター畑で鮮明な黄色輪紋症状を示す株の多発がみられた。病徴はフロリダでAndersonがaster ringspot virusとして報告したものに一致していた。
    2) アスター病株から汁液接種によって1種のウイルスが分離され,これをアスターに接種して黄色輪紋の病徴が再現できた。
    3) ウイルスの形態は短桿状で長さ170-180mμと70-80mμの長短2種のウイルス粒子がみられた。寄生性はアスター,タバコ,キュウリ,ヘラオオバコ,トレニア,インゲン,ササゲ,ホウレンソウなどにみられ,それらに発現する病徴はtobacco rattle virusについての多くのこれまでの報告に一致した。汁液接種によって容易に伝搬され,土壌伝染も認められたが,アブラムシ伝染,種子伝染は認められなかった。ウイルスの耐熱性70-75℃,耐希釈性10-6付近,耐保存性は汁液(20℃)で91-98日,乾燥葉で170-180日であった。これら諸性質から病原ウイルスはtobacco rattle virusと同定され,本病をアスター黄色輪紋病と呼ぶことにした。
    4) アスターから分離されたTRV-Aと,さきに都丸らによってタバコから分離されたTRVのHSN株とを数種植物に汁液接種して,その寄生性,病徴などを比較した。その寄生性は両者間に差がみられなかったが,アスター上における病徴に差異がみられた。すなわちアスター分離株では鮮明な黄色輪紋を生じたが,HSN株ではtop necrosis,葉脈えそを生じた。
    5) アスター黄色輪紋病発生土壌中にはTrichodorus属の線虫が多数確認され,その種類はTrichodorus minor Colbran, 1956であった。
    6) 発病地土壌から分離したT. minorを用いて,TRV-Aの伝搬試験を行なったところ,接種植物225本中20本が発病した。その伝搬率は高くはないが,植物ウイルスが線虫によって伝搬される事実がわが国で初めて確認された。
  • 安田 康, 野口 照久, 岡田 勝彦, 青木 旦治
    1970 年 36 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1970/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Penicillium sp. AK-019の培養〓液中から分離したシトリニンによって,タバコモザイクウイルス(TMV)に感染したグルチノーザ葉上の局部病斑形成が阻止された。その原因の一つとして,シトリニンがペルオキシダーゼおよびポリフェノールオキシダーゼの活性を阻害することがあげられる。両オキシダーゼの活性は,シトリニンの処理時間を長くするにしたがって低下した。シトリニンの5時間処理では,ペルオキシダーゼに対する阻害程度はポリフェノールオキシダーゼに対するそれより高かった。TMVの感染による両オキシダーゼ活性の増加は,局部病斑が形成されるのと同じ時期に始まった。一方シトリニンによる活性の低下は,感染後短時間で見られ,48時間後には最高に達した。その後はこれらの活性は幾分回復した。両オキシダーゼの活性は,250ppmのクエン酸鉄あるいは100ppmの硫酸銅をシトリニン処理葉に吸収させた場合,幾分回復した。局部病斑の形成も,無処理にくらべて回復した。シトリニンの局部病斑形成と両オキシダーゼの活性に対する阻害機作について論議した。
  • 岩木 満朗, 小室 康雄
    1970 年 36 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 1970/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 長野県東筑摩郡から送付されたニンジンのモザイク株から分離されたウイルスがわが国で未確認であったcelery mosaic virus(セルリー・モザイク・ウイルス)と同定された。
    1) ニンジンでの病徴はモザイク症状で,ニンジンの個体によっては複葉全体が細く針葉状になることもある。
    2) カーボランダム汁液接種によって容易に伝染し,またモモアカアブラムシ(Myzus persicae)とニンジンアブラムシ(Semiaphis heraclei)によって非永続型に伝搬された。
    3) 7科22種の植物に対し汁液接種したところ,ニンジン,コエンドロ,パースニップ,パセリ,セルリー,Nicotiana clevelandii, Chenopodium amaranticolor, C. quinoaの3科8種の植物が感染した。
    4) ウイルスの耐熱性は40-45°C (10分),耐希釈性は640-2,560倍,耐保存性は6-24時間であった。
    5) dip法による電顕観察では,ウイルス粒子はひも状であり,その長さは750-800mμであった。
    2. 千葉市および平塚市で採集したニンジンのモザイク株から分離されたウイルスは寄生性,伝染方法,血清反応などから,キュウリ・モザイク・ウイルス(CMV)と同定された。これら分離株はCMV普通系と寄生性の点でもとくに大きな差はみられなかったが,ニンジンに対し感染性をもつCMVはわが国では初めてである。
  • 堀野 修, 赤井 重恭
    1970 年 36 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1970/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文はイネ葉の葉緑体の微細構造およびごま葉枯病菌の侵害によって生じた葉緑体の形態的変化を電子顕微鏡によって観察した結果である。健全なイネ葉の葉緑体は,縦断面においては二重構造の葉緑体膜によってつつまれており,葉緑体内部のラメラ系は一定の層状構造を呈するグラナラメラとグラナラメラから派出しているインターグラナラメラからなっている。グラナラメラの厚さは約10mμで,インターグラナラメラ(厚さ約5mμ)のちょうど2倍である。病原菌接種後50時間では,葉緑体は1.5-2倍に膨潤し,楕円体から球形に変化し,葉緑体膜の二重構造は部分的に破壊され消失する。またラメラ系の層状構造はその最外部のラメラの間隔が拡大し,内部に基質のない小胞状に変性する。一方,接種100時間後においては,菌糸に接近している葉緑体はラメラ系の小胞化をきたし,その変化は葉緑体膜の近くの層状構造から,漸次内部の層状構造へと進み,葉緑体は直径0.1μから0.5μの多数の小胞に変化して崩壊する。
  • 植松 勉, 脇本 哲
    1970 年 36 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 1970/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    わが国の水田土壌および潅漑水中から,イネ白葉枯病菌を指示菌として,それぞれ異なった寄主範囲をもつ6株の外寄生的な細菌を分離した。
    これらの外寄生細菌は感受性細菌とともに平板にすれば2-4日後にバクテリオファージの溶菌斑に類似した溶菌斑を作る。この溶菌斑は時日の経過とともに周縁が多少不整形になりながらしだいに拡大し,遂には平板全体をおおうようになる。個々の溶菌斑の大きさには大きな差が認められるが,それらの平均の大きさは置かれた条件によって左右されるようであり,分離株間には差が認められない。
    個々の溶菌斑は通常2種類の異なった形,すなわちビブリオ形と球形の細胞を含んでおり,これらの形には分離株による差異はみられない。ビブリオ形の細胞は長さ0.75μから1.87μであり巾は0.28-0.34μである。球形の細胞の直径は0.28-0.34μである。それぞれの細胞は普通の植物病原細菌の鞭毛よりも太い単極の鞭毛を有する。
    これらの外寄生細菌は供試した64種のグラム陰性細菌のうち,5ないし30種に寄生性を示すが,グラム陽性およびグラム不定細菌に対しては寄生性を示さない。供試したイネ白葉枯病菌45株はいずれもこれらの外寄生細菌にに感受性であった。
    以上の諸性質から,分離した外寄性細菌はBdellovibrio bacteriovorus Stolp and Starrと同定した。
  • Kishan Gurbacksh SINGH, 植松 勉, 脇本 哲
    1970 年 36 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 1970/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    西マレーシアの各地からイネ白葉枯病菌の13菌株と6ファージ株を分離し,それらの若干の性質について日本の分離株と比較した。
    マレーシアのすべてのファージ株は50-55°Cでほとんど完全に不活性化される。また,それらの形はすべてオタマジャクシ形であり,直径63mμの球形の頭部に長さ156-176mμ,巾10mμの尾部を持っている。ファージの寄主範囲は分離株によって異なっているが,血清学的には類似しており,OP1グループに入る。
    マレーシアのファージがマレーシアのイネ白葉枯病菌に感染した場合の潜伏期間は40-45分であり,1細菌細胞から放出されるファージの平均数はファージ株によって異なり,13-45である。
    供試したマレーシアの菌株の病原力は日本の強い病原力を示す菌株よりも弱く,中程度または弱い病原力を持ったグループに入る。
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