抄録
国際稲研究所圃場の灌漑水路,貯水池および排水路において1967年4月から約1年間ファージ変動を調べた。灌漑水路におけるファージ数のピークは他のそれに比べて2ヵ月早くみられた。この3ヵ所と中部ルソン島の2, 3ヵ所で四季を通じて分離したファージはいずれも寄主範囲を著しく異にしていた。また,氷室に保存した6株のファージ(Sp 1-Sp 6)からも寄主範囲を異にするファージが得られた。これはファージ自身の変異によるものではなく,寄主細菌のファージ感受性が不安定で,透明型集落変異に伴って著しく変化することに起因することが明らかになった。本菌の集落変異は液体培養でも斜面培養でも容易に起こるので,溶菌斑形成に用いる指示菌の培養は集落型について十分検討しなければならない。