日本植物病理学会報
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37 巻, 4 号
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  • 後藤 正夫, M.P. STARR
    1971 年 37 巻 4 号 p. 233-241
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas andropogonis 4菌株,P. stizolobii 3菌株およびP. alboprecipitans 5菌株を用いて病原性および細菌学的性質を比較検討した。P. andropogonisP. stizolobiiの各菌株はいずれもまったく同じ培養的・生化学的性質を示した(ただし前者の1菌株だけKovacsのオキシダーゼ反応で異なった)。これらの菌株はすべてモロコシに病原性を有し,赤色条斑を形成したほか,インゲンにも褐色病斑を形成した。またP. stizolobiiの2菌株を除きトウモロコシに黄褐色条斑を形成した。これらの結果から,P. andropogonisP. stizolobiiは同一種に属し,寄主範囲において若干異なったpathotypeを構成するものであると結論された。したがって先名権によってP. andropogonisをこのグループの細菌の学名として採用し,P. stizolobiiを同種異名として取扱うことを提案する。
    日本でトウモロコシおよびテオシントから得られたP. alboprecipitansは硝酸塩還元性,殿粉糖化性,オキシダーゼ反応,硫化水素産生等の性質で上記の細菌と異なるほか,トウモロコシとモロコシ上における病徴でも若干異なる。P. andropogonisP. alboprecipitansはその他の多くの細菌学的性質および病原性における特徴を共有するが,上記の細菌学的性質の相違によってP. alboprecipitansP. andropogonisとは異なった独立したspeciesと考えた。
  • M.P. HAWARE, M.S. PAVGI
    1971 年 37 巻 4 号 p. 242-248
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ケツルアズキ(Phaseolus mungo L.)およびブンドウ(P. radiatus L.)のangular black spotをおこすProtomycopsis patelii Pavgi and Thirumalacharとシロゴチョウ(Sesbania grandiflora Pers.)のpurple leaf spotをおこすProtomycopsis thirumalacharii Pavgiは,寄主植物組織の残がいの中で乾燥した耐熱厚膜胞子および土の中で形成された厚膜胞子によって,次の作期まで生き残る。耐熱性の菌糸体はのちに土中で休眠厚膜胞子の形成のために使い尽くされる。
  • 後藤 正夫, P. Gerd FRANK, S.H. OU
    1971 年 37 巻 4 号 p. 249-258
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    国際稲研究所圃場の灌漑水路,貯水池および排水路において1967年4月から約1年間ファージ変動を調べた。灌漑水路におけるファージ数のピークは他のそれに比べて2ヵ月早くみられた。この3ヵ所と中部ルソン島の2, 3ヵ所で四季を通じて分離したファージはいずれも寄主範囲を著しく異にしていた。また,氷室に保存した6株のファージ(Sp 1-Sp 6)からも寄主範囲を異にするファージが得られた。これはファージ自身の変異によるものではなく,寄主細菌のファージ感受性が不安定で,透明型集落変異に伴って著しく変化することに起因することが明らかになった。本菌の集落変異は液体培養でも斜面培養でも容易に起こるので,溶菌斑形成に用いる指示菌の培養は集落型について十分検討しなければならない。
  • 松山 宣明, 高坂 〓爾
    1971 年 37 巻 4 号 p. 259-265
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本産および外国産イネいもち病菌Pyricularia oryzae Cav.の132菌株を供試した。菌体中の可溶性たんぱく質および培養〓液中から分離したパーオキシダーゼ,非特異的エステラーゼを,ポリアクリルアミドゲルディスク,薄層電気泳動法によって泳動させ,アミドブラック10 B,ベンジジン-H2O2,ファストバイオレットB塩-α-ナフチル酢酸によりそれぞれ検出し,その電気泳動像を比較した。
    可溶性たんぱく質およびパーオキシダーゼ泳動像にはそれぞれ二つの型が認められたが,菌の地理的分布,病原性等との間に明確な関係は認められなかった。一方,非特異的エステラーゼの泳動像には三つの型が検出された。これらの各型は菌の地理的分布とかなりよく一致した。すなわちI型:Ef 0.56に特異的な染色帯をもち,日本,韓国,台湾産いもち病菌の大部分が含まれた。II型:Ef 0.92, 0.95に特徴的な2本の染色帯をもち,主としてインド産菌および東南アジア産菌の一部が含まれた。III型:I, II型の特徴を欠く。主として東南アジア,中南米産菌が含まれた。泳動像型を用いた分類の病理学的意義についても論義を加えた。
  • 土崎 常男, 日比野 啓行, 斎藤 康夫
    1971 年 37 巻 4 号 p. 266-271
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    1. 糸葉と輪紋病徴を併発したクワ(滋賀県産)から草本植物へ汁液で感染する球形ウイルスを分離し,その各種性質を試験した。
    2. 寄主範囲はササゲ(ブラックアイ),ダイズ,インゲン,エンドウ,N. clevelandii, C. quinoa,ゴマで全身感染,ササゲ(黒種三尺,赤種三尺)で局部感染であった。
    3. ウイルス粒子の形態は直径約22nmの球状であったが,もとのクワ株をdip法で電顕観察したとき,球形粒子のほかに長さ約730nmのひも状粒子も認められた。
    4. 輪紋,ひだ葉,糸葉,黄化など各種病徴のクワ9株につき,dip法による電顕観察および検定植物への接種試験を行なったところ,いずれの病徴の株からも本ウイルスとひも状粒子とが検出された。
    5. 本ウイルスはモモアカアブラムシで伝搬されないが,ダイズで種子伝染をおこした。粗汁液中の不活化限界は耐熱性50-60℃,耐希釈性1,000-10,000倍,耐保存性3-5日であった。
    6. 感染したササゲ葉から,四塩化炭素処理,分画遠心としょ糖密度勾配遠心により本ウイルスを純化し,抗血清を作製した。本ウイルスの抗血清と温州萎縮ウイルス(SDV), tomato ringspot virus, cowpea mosaic virusとの間に血清学的関係は認められなかった。またSDVとは交叉免疫も認められなかった。
    7. 本ウイルスに感染したクワ,ササゲの葉の超薄切片を電顕観察したところ,中に球形粒子が1列に並んださや状構造物と,膜状構造物が集まってできた封入体が認められた。
    8. 部分純化ウイルスを健全な改良ねずみがえしと八丈の実生クワ苗に汁液接種したところ,感染がおこり輪紋,モザイクの病徴が現われた。
    9. 以上の実験の結果から本ウイルスはNEPOウイルス群に入るものと考えられ,クワ輪紋ウイルス(mulberry ringspot virus)と命名することにした。ひも状粒子に関してはこれが何であるかは不明である。
  • IV. CMV感染による細胞RNA合成の抑制
    加藤 盛, 三沢 正生
    1971 年 37 巻 4 号 p. 272-282
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    CMV感染タバコ葉細胞におけるRNA合成の抑制について検討した。
    1. CMV感染タバコ葉細胞のRNA含量は感染直後から24時間までは急速に低下するが,それ以後は漸増する。この増加は主としてウイルスRNAの合成増加によるものと思われる。
    2. 細胞核DNAの塩基組成,buoyant densityはCMVの感染によってまったく変化しない。したがって感染細胞のDNA依存のRNA合成の低下は,DNAの質的変化によるものではないと推定される。
    3. 感染細胞でのヒストン合成はDNA合成に伴って変化するが,ヒストンはDNAと異なり,量的だけでなく,質的にも変動する。すなわちヒストンの各分画中,感染によって高アルギニンヒストンの分画がいちじるしく増加してくる。
    4. タバコのヒストンはcalf thymusの細胞核系でのRNA合成を阻害する。阻害効果は健全細胞より感染細胞からのヒストンで顕著である。
    以上の諸結果から,CMV感染細胞でみられる細胞のRNA合成の抑制は,感染によるヒストンの質的な変動に起因すると推定された。
  • 西原 夏樹
    1971 年 37 巻 4 号 p. 283-290
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 日本産イネ科植物寄生Helminthosporium属菌は二つの亜属に分けられているが,その分類に疑点のあったH. brizae Nisikadoと,亜属分類のなされていなかったH. dematioideum Bub. et Wrób.について分生胞子の発芽試験を行ない,これらの種はその発芽型からみて,Luttrell10)の検索方式に従って,いずれもCylindro-Helminthosporium亜属に所属させるのが妥当であると判断した。またH. zonatumも原著者の発表した写真から,同じくCylindro-Helminthosporium亜属に入るものと考えた。
    2. 日本産のイネ科植物寄生Helminthosporium属菌のうち知見の不十分なH. arundinisを除いた35種(変種1およびform 1を含む)は,19種がEuhelminthosporium亜属に,16種がCylindro-Helminthosporium亜属に所属する。
    3. 19種のEuhelminthosporium亜属菌のうち18種はイネ亜科,スズメガヤ亜科およびキビ亜科に寄生し,ウシノケグサ亜科に寄生するものはわずか1種H. sorokinianum Sacc. ex Sorok.だけである。それに反し16種のCylindro-Helminthosporium亜属菌はすべてがウシノケグサ亜科に寄生する。
    4. 以上のことから,イネ亜科,スズメガヤ亜科およびキビ亜科のいわゆる南方系草種にはEuhelminthosporium亜属菌が寄生し,ウシノケグサ亜科のいわゆる北方系草種には主としてCylindro-Helminthosporium亜属菌が寄生すると推論される。
    5. 海外のイネ科植物寄生Helminthosporium属菌の多くの種についても上と同様なことが言えるが,その間にも例外がある。その中の一つH. giganteum Heald et WolfはCylindro-Helminthosporium亜属菌であるが各種の南方系草種に寄生する。わが国における例外種H. sorokinianumEuhelminthosporium亜属に属して北方系草種に寄生し,これも多犯性であることと思い合せて興味深い。
  • 1. Sodium dimethyldithiocarbamateのイネ白葉枯病菌に及ぼす影響
    米山 勝美, 見里 朝正
    1971 年 37 巻 4 号 p. 291-300
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Dimethyldithiocarbamate系殺菌剤の作用機構を詳細に検討する目的で,イネ白葉枯病菌に及ぼすsodium dimethyldithiocarbamateの作用について調べた。
    1. 白葉枯病菌の液体培地中における発育は薬剤の対数増殖期中期添加では100μg/mlの濃度で50%以上の抑制が認められた。
    2. 白葉枯病菌の自家呼吸に対する作用は100μg/mlの濃度でやや阻害を示し,50μg/ml以下ではむしろ促進的である。同様の結果は基質添加における酸素消費についても認められた。とくに,こはく酸,ピルビン酸を用いた場合,いちじるしく阻害するが,無細胞系のこはく酸脱水素酵素に影響が認められなかった。
    3. たんぱく,細胞壁の合成系に対する作用はいずれもまったく阻害が認められなかった。
    4. 核酸合成系に対する作用は14C-ウリジン,14C-チミジンの取込み実験の結果,いずれの場合にも若干の阻害が認められた。
    5. 脂質合成系に対する作用は14C-酢酸,14C-ピルビン酸,32P-りん酸の脂質分画への取込みにより検討した結果,いずれももっとも顕著な阻害が認められた。
    以上から,本薬剤の作用は白葉枯病菌の脂質合成系に関連していると考えられる。
  • 1. カーネーション萎ちょう細菌病菌ファージの特性および増殖について
    西村 十郎, 脇本 哲
    1971 年 37 巻 4 号 p. 301-306
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カーネーション萎ちょう細菌病の発生生態究明と診断に応用する意図からPseudomonas caryophylli phageを分離してCaP1と命名し,その基本的な性質について次のような知見を得た。
    1. CaP1ファージの形状は精虫形であり,頭部の直径は約56mμ,尾部は,長さ約105,幅約18mμであった。
    2. P. caryophylliだけに特異的な寄生性を有し,そのすべての供試菌株を侵したが,他の25種のPseudomonas属菌(植物病原細菌21種,土壌細菌4種)や,他の属の植物病原細菌11種と大腸菌に対してはまったく寄生性が認められなかった。
    3. 40-50°C 10分処理では比較的安定であるが,50°C以上になると急速に活性を失い,57°C 10分でほぼ完全に不活性化する。また,供試した寄主細菌P. caryophylliの死滅温度は54°Cであった。
    4. 26, 28, 30および32°Cの培養温度範囲内における溶菌斑の形成は,30°Cが最適であり,溶菌斑数が多く,溶菌斑の直径も最大であった。
    5. CaP1が30°Cの温度条件でジャガイモ半合成培養液中のP. caryophylliに吸着侵入した場合,約90分の潜伏期間,約100分の上昇期間を経て1菌体から平均約9の新生ファージを放出する。
  • 中垣 洋一
    1971 年 37 巻 4 号 p. 307-309
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 山口 昭, 大羽 康利
    1971 年 37 巻 4 号 p. 309-311
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
  • 浅田 泰次, 久郷 毅
    1971 年 37 巻 4 号 p. 311-313
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • Paul KHURANA, Shatrughna SINGH
    1971 年 37 巻 4 号 p. 313-315
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 山口 昭
    1971 年 37 巻 4 号 p. 316-316_1
    発行日: 1971/09/20
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
  • 1971 年 37 巻 4 号 p. e1a
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1971 年 37 巻 4 号 p. e1b
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1971 年 37 巻 4 号 p. e1c
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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