日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
イネごま葉枯病菌の脂質について
津田 盛也上山 昭則中野 益男藤野 安彦
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 38 巻 1 号 p. 60-67

詳細
抄録
イネごま葉枯病菌の脂質および脂肪酸組成を検討した。Folch (1957)法に準じて本菌をクロロホルム-メタノール(2:1, v/v)で処理して総脂質を得た。総脂質をけい酸カラムクロマトグラフィーによって非極性脂質と極性脂質に分画し,それぞれの組成を調べた。総脂質の80%以上が非極性脂質であって,おもな構成脂質はトリグリセリドであった。極性脂質画分には,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルコリン,セラミドモノヘキソシド,未同定の脂質が認められた。ついで本菌の脂肪酸組成を調べるためにStoffelら(1965)の方法に従って,総脂質,非極性脂質,極性脂質の各画分を処理し,ガスクロマトグラフィーによって調べた。その結果,本菌の主要構成脂肪酸はC16:0, C18:0, C18:1,およびC18:2であった。中でもC18:2がもっとも多かった。極性脂質画分に検出されたセラミドモノヘキソシドは植物病原菌においてはいまだ報告されていないものである。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top