病害抵抗性品種の混合栽培と交替栽培のいずれが抵抗性品種のより効果的な利用方法であるかを知るための方法を理論的に検討した。
病原菌の標準条件(環境の年次変動のない条件)の下での年間増殖曲線が
dy/dτ=yλ(
yは各年の伝染開始期の病斑数,τは年数),したがって
y=y0eλτで表わされるとき,混合栽培のときの寿命(罹病化までの年数)(
T')とそれらの品種を交替栽培(1品種が罹病化する直前に第2の品種に切換える)したときの寿命(
T)との間には
T/T'=vλc'/λc(
vは用いた品種数
λc'と
λcはそれぞれ混合栽培と交替栽培圃場での病斑の年間増加率すなわち菌の適応力)の関係がある。この年間の菌の増殖率(λ)と年内の増殖率(
r)との間には,年内の増殖が
y=y0ertか
y=y0er(t-t2/2T)で表わされるときには,
rtE+log
eθ=λあるいは
r(T/2)+log
eθ=λで表わされる。
tEあるいは
Tはそれぞれの式の病斑数の増加が終つた時期である。年内の菌の増殖に密度効果が存在するときにはこのような簡単な関係式は得られない。
それゆえ,年内の増殖曲線の性質について,とくに密度効果の有無について知ることが問題の解決に必須である。長野県豊科町での31年間の累積胞子曲線について検討した結果からは密度効果は認められなかった。
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