1972 年 38 巻 4 号 p. 284-289
1) A. raphaniの遊走子は宿主,非宿主にかかわりなく,その根および胚軸に局部的に集積する。
2) 遊走子の集積は発芽後13日までの子苗について見ると,根よりも胚軸部,特に胚軸基部で常に多かった。
3) カンラン子苗に均一に遊走子を接種した時,菌の侵入増殖は根部より,胚軸部で激しかった。
4) 寄主植物であるカンランでは,遊走子は胚軸に集積し,そこから集団的に菌糸で侵入し,植物体内およびその表面で増殖することが認められた。
5) A. raphaniの遊走子,病土を用いてカンラン子苗に種々の方法で接種した結果,胚軸基部に病原菌の接する条件で,立枯の発生が著しく,根部のみ病原菌に接する条件では発病は軽微あるいは皆無であった。
6) これらの結果からA. raphaniによるカンラン立枯現象は胚軸基部に局部的に集積した遊走子から生じる菌糸の集団侵入によると想定される。