日本植物病理学会報
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ハクサイのVerticillium albo-atrumによる新病害とその発病に及ぼす二三の要因
渡辺 恒雄尾沢 賢酒井 隆太郎
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1973 年 39 巻 4 号 p. 344-350_1

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抄録
長野県でハサイの新病害が1966年頃から見出され年々その発生面積を増しつつある。罹病植物は葉が黄化し,やや発育が衰え収穫期が近づいても結球しない。それらの根,茎部の導管部組織は黒変し,菌糸が観察された。それらの罹病組織からは病原菌として疑われたFusarium oxysporumはまったく分離されなかった。Cephalosporium sp.は最も高い頻度で分離されたがハクサイには病原性を示さなかった。Verticillium albo-atrumはその次によく分離され,ハクサイに対して,20℃の温室条件下で病原性を示した。人為的な病土と自然病土にハクサイを播種し罹病植物を比較すると両者の病徴はほぼ一致し,V. albo-artumが再分離された。根,茎部の導管変色は人為的な病土では播種後約40日頃から観察された。ハクサイのV. albo-atrumによる自然発病はこれまでのところ我国をはじめ諸外国でも報告されていないので,ここにハクサイを同菌の新しい寄主植物の一つとして報告し,同病害を黄化病と命名したい。
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