日本植物病理学会報
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小麥赤銹病菌の大麥に對する寄生關係 第1報
錦織 龍夫
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1934 年 4 巻 1-2 号 p. 13-20

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抄録
1. 小麥赤銹病菌夏胞子の接種に使用せる大麥品種13種は何れも夏,秋期に於ては同菌に感染し夏胞子堆を形成せり。
2. 大麥上に形成せらるる胞子堆は原寄主小麥上に於けるよりも數少く且つ小形なるも夏胞子の寄生性には變化なし。
3. 然るに冬期に於ては對照試驗に供せる小麥上には正常に發育せるも大麥の供試品種に於ては何れも僅かに病斑を表はすに過ぎずして夏胞子堆を形成することなく高き抵抗性を示せり。
4. 冬期に於て(抵抗性を示せる)は菌の發芽管が自由に氣孔より侵入するも菌絲の多數は吸器母細胞のみを形成して發育停止し,吸器を寄主細胞中に挿入することなくして枯死し,その接觸せる葉肉細胞の膜壁に局部肥厚を呈し,少數の菌絲は吸器を形成するも充分廣範圍に擴がる事なく寄主細胞と共に枯死する事により抵抗性を示せり。
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