日本植物病理学会報
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Erwinia carotovoraによる抗細菌性物質の生成およびその諸性質
遠藤 頼嗣津山 博之仲谷 房治
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1975 年 41 巻 1 号 p. 40-48

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抄録

Erwinia carotovora諸菌株による抗細菌性物質の生成,作用域およびその諸性質について研究した。この物質の生成は,対数増加初期の細菌細胞に紫外線照射あるいはマイトマイシンC処理を施すと著しく誘発され,その活性は,処理後3∼5時間の培養期間におこる溶菌に対応して増加する。抗細菌性物質の活性は菌株によって異なるが,誘発法による差は認められなかった。供試17菌株はすべてこれらの物質を生成するが,これらの物質はそれを生成する菌株に対して活性を示さない。これらの物質はそれぞれの作用域の異同を比較した結果,暫定的に4群に分類された。各菌株によって生成されたこれらの物質は,それぞれの感受性菌細胞内で増殖できない。これらの物質の活性は4Cで保存した場合少なくとも20日間は維持される。また透折されないが,熱処理によって失活する。活性物質は硫安塩折によって沈殿する。この物質の部分的精製標品の紫外部吸収曲線は275nmに最大吸収値をもち,260nmで最少吸収値を示した。これらの物質は分子量の比較的大きな蛋白質と考えられる。これらの諸事実から,これら物質はバクテリオシンの一種であろうと結論した。

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