日本植物病理学会報
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疫病菌非親和レースの感染を受けたジャガイモ塊茎組織におけるリシチン及びルビミンの分布とリシチンが合成される部位について
中島 俊夫冨山 宏平衣川 勝
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1975 年 41 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

ジャガイモ塊茎(R1-遺伝子をもつ品種リシリ)を半切し,その切断画に非親和性疫病菌レース遊走子液を散布した。一定時間毎に0.5mmのスライスを切断接種面から順次切りとって,リシチン及びルビミンの含量をTLC,ガスクロマトグラフィーによって定量分析した。大部分のリシチン及びルビミンは褐変を含む第一層(表層)スライスに見出され,その隣接組織には微量に見出されるに過ぎなかった。しかしながら塊茎に穴をあけて,その中に胞子液を貯溜させたものではその貯溜液中にはじめはリシチンより多量のルビミンが見出され,その後リシチンの方がルビミンより多量に蓄積した。14Cをラベルした醋酸を各第1層,第2層,第3層,第4層,第5層スライスにあたえてリシチンへのとり込みを調べた結果,リシチンの生合成は隣接健全組織で盛んに行われており,褐変部では行なわれれていないことが推定された。したがってリシチンは褐変部の隣接組織で生合成されて褐変部へ転流するものと推定した。

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