抄録
イネの葉鞘褐変病は北海道の稲作地帯の全域に発生し,その被害も大きい重要病害となっている。
本病原細菌は最近までP. marginalisとされてきたが,ハクサイおよびニンニクの罹病葉より分離したP. marginalisの数菌株を含めて再検討を加えた結果,レバンの産生,グルコン酸の酸化,β-グルコシダーゼ活性,シュークロース,ソルビトールおよびイノシトールからの酸の産生能,ペクチナーゼ活性などの細菌学的性質,血清学的性質および寄生性の点でP. marginalisとは異なる菌種であることを明らかにした。
本病原細菌に類似する菌種は他に見当らず,本細菌が止葉々鞘や籾を侵し,黒褐色∼灰褐色にし,特に葉鞘での病徴がよく目立つところからPseudomonas fuscovaginae sp. nov.の学名を与えた。