日本植物病理学会報
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我国における果樹ウイルス病研究
北島 博
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1977 年 43 巻 3 号 p. 237-239

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抄録
果樹を含む木本植物のウイルスは木本に特有のものではない。従来から草本植物のウイルスと考えられているTMV, CMV, tomato black ring virus, tomato ringspot virus, tobacco ringspot virus, arabis mosaic virusなど多くのものが木本でも発見されている。しかし果樹は,種子で出発する多くの草本植物とは異なり,台木に接木された苗木として繁殖されるためにウイルスの伝搬,発病の様相が異なっており,また木本植物中にはウイルス活性阻害物質が多く含まれていて,通常,植物体中のウイルス濃度は極めて低いと考えられている。
我国における研究の嚆矢は木村(1934)によるリンゴ奇形果病についてであって,これが接木によって伝染することからウイルスによるものではないかとされた。これに続いて大塚(1935)はリンゴさび果病が接木伝染性のものであることを確かめ,ウイルスが原因ではないかとしている。
温州ミカンの萎縮症状は古くから知られていたが,山田(1950)は,これが接木によって伝染することを確かめ,ウイルスによる病害であることを明らかにした。
以上の様な経過からみて,我国における果樹ウイルス病研究は,大体1930∼1940年代に始まったと言えよう。現在は多くのウイルス病が知られているが,これらのうちリンゴおよびカンキツについてその研究を振り返ってみることにする。
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