日本植物病理学会報
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43 巻, 3 号
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  • 北島 博
    1977 年 43 巻 3 号 p. 237-239
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    果樹を含む木本植物のウイルスは木本に特有のものではない。従来から草本植物のウイルスと考えられているTMV, CMV, tomato black ring virus, tomato ringspot virus, tobacco ringspot virus, arabis mosaic virusなど多くのものが木本でも発見されている。しかし果樹は,種子で出発する多くの草本植物とは異なり,台木に接木された苗木として繁殖されるためにウイルスの伝搬,発病の様相が異なっており,また木本植物中にはウイルス活性阻害物質が多く含まれていて,通常,植物体中のウイルス濃度は極めて低いと考えられている。
    我国における研究の嚆矢は木村(1934)によるリンゴ奇形果病についてであって,これが接木によって伝染することからウイルスによるものではないかとされた。これに続いて大塚(1935)はリンゴさび果病が接木伝染性のものであることを確かめ,ウイルスが原因ではないかとしている。
    温州ミカンの萎縮症状は古くから知られていたが,山田(1950)は,これが接木によって伝染することを確かめ,ウイルスによる病害であることを明らかにした。
    以上の様な経過からみて,我国における果樹ウイルス病研究は,大体1930∼1940年代に始まったと言えよう。現在は多くのウイルス病が知られているが,これらのうちリンゴおよびカンキツについてその研究を振り返ってみることにする。
  • 渡辺 文吉郎
    1977 年 43 巻 3 号 p. 240-242
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rhizoctonia solani Kühnは多犯性菌であり,多くの作物に種々の病徴をおこす土壌伝染性病原菌である。筆者らは自然条件下における寄主,病徴,採集季節に着目し,これより組織分離された各菌株の培養型と病原性,生育温度反応,土壌水分とが深い関係のあることを認め,これらの諸形質を反映し,綜合したグループ,即ち,環境条件に調和し,安定して生活している菌株群として第1表に示すような7系統に類別した。
  • 奥 八郎
    1977 年 43 巻 3 号 p. 243-245
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    地上に約10万種存在するといわれる糸状菌の中で,特定のものが,特定の植物に病原菌として寄生し,発病させる,いわゆる植物病原菌の宿主特異性の機構の詳細については,そのほとんどが不明であると云っても過云ではない。作物によっては,品種と病原菌レースとの間の遺伝学的な研究が進んでいて,抵抗性品種の育成に役立っている。しかし,植物が罹病するかしないかは,植物が微生物との接触の場において,侵入,寄生を許すか,くいとめるかに単純化して考えることができる。筆者は感染の場において起っている現象を分子レベルで明らかにし,遺伝子分析によって得られた結果との間の橋渡しをして,病原菌の宿主特異性機構の全貌の解明に役立てたいと考えて研究を進めてきた。この機会に,今迄得られた結果を含めて,宿主一寄生菌間の特異性について若干の考察を試みた。
  • 小笠原 長宏, 内山 武夫, 大橋 哲男, 田中 啓達
    1977 年 43 巻 3 号 p. 246-254
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. イネカルスにいもち病菌の他2, 3の糸状菌胞子を接種すると,胞子接種周辺部に褐変が生じた。褐変化はカルス塊の最外層に位置する細胞の表層部で生じた。
    2. いもち病菌は付着器を形成後侵入するがイネごまはがれ病菌では付着器は見られず,腐生菌である麹菌も侵入した。
    3. カルス細胞内への菌の侵入はいもち病菌では24∼48時間であって,麹菌及びイネごまはがれ病菌ではイネいもち病菌よりも幾分早く侵入する。しかし菌侵入の初期に核及び原形質の変化は認められなかった。
    4. ナジ反応及びペルオキシダーゼ活性についての観察結果から,カルス細胞は生理的にも齢的にも不均一な細胞群であることを示している。
    5. カルス最外層を形成する細胞壁の表層は正常葉のそれと質的に異なることがわかった。
    6. イネカルスではイネいもち病菌あるいは麹菌の接種による酸素吸収量の増加は認められなかった。
    7. イネカルスのいもち病菌接種によるペルオキシダーゼ活性の変化はテテップ,農林20号共に40時間後にその活性の上昇が見られた。
    終りに,組織培養法について種々御指導をいただきました新潟大学農学部育種学講座の田村親助教授,ならびに本報告について御助言をいただいた植物病理学講座の富永時任教授に厚く感謝の意を表します。
  • 日比野 啓行, 土崎 常男, 宇杉 富雄, 斎藤 康夫
    1977 年 43 巻 3 号 p. 255-264
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    クワ輪紋ウイルス(MRSV)または温州萎縮ウイルス(SDV)に感染したササゲの葉を生長時期別に電顕観察した。MRSV感染株では,生長点に近い分裂細胞の原形質連絡糸内に一列に並んだウイルス粒子が観察され,これらの粒子は原形質連絡糸の一端から並んで細胞質中に突き出していた。長さ2-3mmの幼葉では,突き出した粒子の囲りの原形質膜がかん入し,かん入した原形質膜はさや状になって粒子の列を取囲んでいた。更に生長の進んだ葉では,このさや状構造物は長く伸び,5μmに達した。またこのさや状構造物とかん入した原形質膜の間には細胞壁が突き出していた。
    SDV感染葉では,原形質連絡糸内に並んだ粒子は長さ1mmの幼葉で初めて見出され,その後は,MRSV感染葉で観察されたと同様の過程を経て,さや状構造物が形成された。MRSVおよびSDVに感染したササゲの葉細胞内には小胞体が集まってできた細胞質封入体が認められた。
    同様のさや状構造物および封入体はSDVに感染したゴマ,インゲン,ペチュニア,N. clevelandiiの葉細胞内でも観察された。しかし,インゲンおよびN. clevelandii感染葉では,さや状構造物がしはしば原形質膜と細胞壁の間にあり,このさやの外壁は原形質膜につながっていた。これらのさや状構造物はdip法によって感染葉から確認できた。
  • III. 抵抗性および罹病性品種における細菌抑制物質の生成速度と細菌の増殖経過
    中西 清人, 渡辺 実
    1977 年 43 巻 3 号 p. 265-269
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病感染葉から簡易酢酸エチル抽出法で抽出される細菌抑制物質の生成速度と,組織内病原細菌の増殖経過とを対比して検討し,抵抗性発現に果たす本抑制物質の役割を明らかにしようとした。
    1. 農林27号に本病細菌I群菌のT7174SR, N5810SRを,金南風には病原性喪失株のN5612AvSRをそれぞれ針束接種した不親和性感染葉では,細菌抑制物質が感染1日後にすでに多量に生成され,細菌の増殖に先行して接種3∼5日目には最大量に増加し,その後も10∼14日目まで高濃度が持続された。組織内での細菌の増殖は抑制物質の生成量と対応して明らかに阻害されていた。
    2. 金南風にT7174SR, N5810SRを,農林27号にII群菌のT7147SRをそれぞれ針束接種した親和性感染葉では,細菌の増殖が抑制物質の生成よりも先行して急速に増殖し,やがて病徴を発現した。抑制物質は感染初期にはほとんど増大がみられず,発病期ごろからわずかに増大し始め,病斑拡大に伴って徐々に増加して発病末期にはかなりの生成量に達した。
    3. これらのことから,本抑制物質はとくに感染初期の病原細菌の増殖を抑制し,抵抗性の発現に密接に関与するのであろうと推定された。
    4. 前報の水抽出液と同様に,簡易酢酸エチル抽出法でも健全葉から微量の抑制物質を検出した。
  • III. 保菌種子の発芽から発病に至る過程
    国安 克人
    1977 年 43 巻 3 号 p. 270-277
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. ユウガオつる割病菌保菌種子をは種した場合,は種後3∼5日より種皮中に潜伏する菌が増殖を開始した。発芽後種皮は主としてpegに密着した状態で残存した。
    2. 発芽後種皮がpegに密着した正常な発芽を示した個体群の発病苗率は14∼18%と高率であったが,種皮が子葉に付着し地上部に露出したいわゆる冠皮発芽を示した個体群の発病苗率は2∼3%と極めて低率であった。
    3. 保菌率の高いlotの種子をは種し,幼植物を本葉,子葉,胚軸,peg及び根部に分け,単位生体重あたりの菌量をみると,peg部位が菌検出頻度及び検出数ともに最も多く,次いで根部であった。
    4. ユウガオ幼苗の根部,peg,胚軸及び子葉に有傷と無傷接種の2方法でユウガオつる割病菌を接種した。根部とpegでは有傷接種,無傷接種ともに高率に発病した。胚軸及び子葉においては,有傷接種では発病したが,無傷接種ではほとんど発病しなかった。
    5. pegをミクロトーム切片として観察すると,菌糸は主としてpegの下面から侵入し,細胞内及び細胞間隙を貫通して伸展し,道管部に侵入した状態がみられた。走査型電子顕微鏡により観察すると,peg下表面にフザリウム菌とみられる菌体がしばしば観察された。
    6. pegの上面は細胞が規則正しく並び,ち密な表皮構造を呈していたが,下面は二次的小突起に覆われ,分裂組織状を呈し,所々に根毛群が認められた。
    7. 以上の結果から,保菌種子の発芽から発病に至る一過程として次の過程が想定された。即ちユウガオつる割病保菌種子がは種された場合,発芽と同時に種皮内部に潜伏する菌が増殖し,菌密度の高まった種皮は発芽後pegに密着し,種皮に分布する菌体がpeg下面から侵入して道管に達し,さらに茎葉の道管部に侵入し発病に至る。
  • 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1977 年 43 巻 3 号 p. 278-290
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネわい化ウイルス(RWV)をクロロホルムで清澄化した後,分画遠心ならびにしょ糖密度勾配遠心により純化した。本ウイルスは径約30nmで,典型的な核蛋白の紫外線吸収を示した。また,しょ糖密度勾配遠心で単一の沈降バンドを生じ,沈降係数は約172Sと計算された。純化ウイルスを家兎に注射し抗血清(力価1,024倍)を作製した。本ウイルスは篩部細胞に局在して観察され,感染細胞では2種のタイプの封入体(Viroplasm)とVesiclesの誘導が特異的に認められた。ウイルス増殖の初期に誘導される高電子密度の結晶性封入体は一般に蛋白性の格子構造からなる。ウイルス粒子の産生は最初この封入体の表面で,次に内部で行われるように思われた。ウイルス粒子の増殖に伴い,結晶性封入体は電子密度が多少低下し,顆粒状封入体へと変化するように観察された。後者はRWV感染細胞に普通に観察され,常にウイルス粒子を付随してみられた。産生されたウイルス粒子はその内部で次第に数を増し,ときに集塊を形成した。また,小さなVesiclesが封入体の周囲やさらに高頻度で細胞膜に近接して誘導されるのが観察された。これは核酸繊維に酷似する網状物質を内包していた。ウイルス増殖が進むと,ウイルス粒子は封入体から細胞質や液胞へと放出され,液胞内ではしばしば大小の結晶配列が認められた。篩部壊死はごく普通に観察され,これによると思われる葉緑体内のでん粉堆積が葉肉細胞でしばしば観察された。
  • 山田 実, アダイ B.A.
    1977 年 43 巻 3 号 p. 291-293
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 守
    1977 年 43 巻 3 号 p. 294-296
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Two kinds of rough colony type mutant were obtained at a high rate from Pseudomonas mori isolates cultured in modified King's liquid medium for two months. These rough isolates showed a spontaneous agglutination reaction in distilled water, deionized water and physiological saline, indicating that the occurrence of agglutination has a close relation with both filamentous form and motility of them.
  • 内記 隆, 加納 正和
    1977 年 43 巻 3 号 p. 297-300
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 征男, 山口 富夫
    1977 年 43 巻 3 号 p. 301-303
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Kasugamycin-resistant strains of rice blast fungus, Pyricularia oryzae, were isolated with a high frequency from the samples collected from those districts where kasugamycin had been used consecutively as a sole anti-blast fungicide, whereas no resistant strain was found in the samples collected from the districts where kasugamycin had been used by mixing with fthalide or alternately with organophosphorus fungicides. Resistant strains occur in conidia formed on lesions with a frequency below 1/105 by spontaneous mutation irrespective of kasugamycin application and their population density becomes higher under the selection pressure of kasugamycin.
  • 樋浦 光男, 樋浦 誠
    1977 年 43 巻 3 号 p. 304-305
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 恒雄
    1977 年 43 巻 3 号 p. 306-309
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 43 巻 3 号 p. 310-377
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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