日本植物病理学会報
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Rhizoctonia solani Kühnの菌糸融合群間におけるビタミン要求の特異性
生越 明宇井 格生
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1979 年 45 巻 1 号 p. 47-53

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抄録
R. solaniのAG-1 (IA,イネ紋枯病系),AG-1 (IB,樹木苗くもの巣病系),AG-2-1 (II,アブラナ科低温系),AG-2-2 (IIIB,イ紋枯病系),AG-2-2 (IV,サトウダイコン根腐病系),AG-3 (IV,ジャガイモ低温系),AG-4 (IIIA,苗立枯病系),AG-5の8群について,生育に及ぼすビタミン類の影響を調べた。AG-2-2 (IIIB), AG-2-2 (IV)およびAG-5の全菌株は,thiamine hydrochloride無添加培地ではほとんど生育せず,thiamine (10-5M)添加培地では10∼20倍の生育量を示し,thiamine要求性であった。Thiamineは10-10Mで生育促進効果を示し,10-8, 10-7で,10-5Mとほぼ同等の生育を示した。R. solaniのthiamine要求性は菌株よりもむしろ,菌群の特性であると考えられる。AG-2-1, AG-2-2 (IIIB), AG-2-2 (IV), AG-5の多くの菌株はCa-pantothenate (10-5M)で若干の生育促進を示したが,要求性とはいえない。AG-2-1の菌株の中には,Ca-pantothenate要求性とみられる菌株が2株あった。Biotin, folic acid, p-aminobenzoic acid, inositol, nicotinic acid, pyridoxine hydrochloride, riboflavinによって生育促進される菌株があったが,その効果は小で,要求性とはいえない。これらは菌群間の差ではなく,菌株間の差であった。
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