日本植物病理学会報
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45 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • Tomomasa YANO, A.F. PESTANA de CASTRO, James A. LAURITIS, Takao NAMEKA ...
    1979 年 45 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    間接的赤血球凝集反応法によりXanthomonas campestris群に属する14種31菌株の細菌について血清学的関連性を研究した結果,これらが9群の血清型(serovars)に分類されることが明らかになった。X. campestrisと同定された3菌株は血清学的に同一反応を示したが,X. cucurbitae, X. glycines, X. vesicatoriaおよびX. vitiansは同一種に含まれる菌株間で異った血清学的性質を示した。以上の結果から間接的赤血球凝集反応はXanthomonas属細菌の病原型(pathovars)の同定に有効であると考えられた。
  • 第1報 柄胞子発芽に及ぼすカンキツ果実抽出液ならびに構成糖,有機酸の影響
    本間 保男, 有本 裕, 見里 朝正
    1979 年 45 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カンキツ黒点病と軸腐病はともに同一病原菌Diaporthe citri (Faw.) Wolfに起因する病害である。黒点病は圃場のカンキツの新梢や果実に発生し,病原体がその部位に抑制されるものである。一方軸腐病は貯蔵中の果実に発生し,果実が腐敗するものである。感染時期は同一時期と考えられる。これら両病害の発病までにいたる経過でいくつかの問題点があるので,それらを解明する手がかりを得るために実験を行って次のような結果が得られた。
    カンキツ果実の主要な糖類であるsucrose, glucose, fructose溶液中では本菌の柄胞子発芽は促進された。とくに5% fructose液中での発芽ならびに発芽管伸長は促進的であった。
    pH 2.20∼8.13のうすい緩衝液中ではpHの低い側でも高い側でも本菌柄胞子の発芽管伸長は抑制されたが,pH 3.37∼5.86では良好であった。これに糖類を加えることによって,発芽管伸長が促進され,その順序はfructqse>glucose>sucroseであった。
    9月∼12月の果実の糖および有機酸組成の水溶液のうち,糖(2.88%)・有機酸(1.399%)組成水溶液(9月)で発芽および発芽管伸長が抑制された。柄胞子発芽はその他では対照の水区と大差なかった。発芽管伸長は対照の水区に比べまさった。
    熟果表皮の油胞液をガラス毛細管でぬき取り,その25∼100%溶液中で柄胞子発芽および発芽管伸長は75%液中では著しく抑制され,90%溶液以上ではすべて発芽が抑制された。ナツミカン熟果の外果皮,中果皮および砂じょうの水抽出区分ならびにHSC処理ろ液では病原菌の柄胞子発芽あるいは発芽管伸長が促進された。果実の各組織から得た水溶性ペクチンは本菌の発芽管伸長に促進的であって,AC吸着後のろ液で発芽管伸長が劣ったのは,ペクチンなど促進物質がACに吸着されたためと考えられる。
    ウンシュウミカン果皮の有機溶媒抽出液中,n-ブタノール,アセトン抽出区分は柄胞子発芽および発芽管伸長の2 stageに抑制的で,抑制効果は希釈液の濃度と平行し,本菌進展時の1抑制因子の存在が示唆された。
  • 江原 淑夫
    1979 年 45 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)に感染したササゲ(品種黒種三尺)の壊死斑部およびその周辺の細胞に複雑な構造の膜集合体が電子顕微鏡下で観察される。これらの構造体について健全細胞に見出される類似のものと比較し,その機能について推察した。この構造体は健全植物では篩管細胞や表皮細胞の液胞中に多く認められるが,小型で複雑な構造をもたない。CMVに感染し壊死する細胞中では細胞壁と細胞質の間に主に管状の膜集合体が認められ,完全に壊死したものでは細胞壁近辺の電子密度の低い個所に,これらの膜集合体の残骸とみられるものが認められる。壊死細胞に隣接した細胞では大型化し,内部は管状膜構造体が複雑に絡み合い,液胞部に突出しているものがしばしば認められた。この膜構造体の分布,位置と構造的変化から,これらは吸収・排泄や,液胞と細胞外との連絡などの機能を持つものと思われる。この構造体は細胞質膜のinvaginationによって形成されるものと見られる。
  • 西山 幸司, 西原 夏樹, 江塚 昭典
    1979 年 45 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1975年9月に栃木県および熊本県で,シコクビエの葉鞘から葉身にかけて褐色の条斑を生じるわが国では未記録の一種の細菌病が発生し,その後毎年7∼9月に発生を認めている。また1977年8月には香川県下でも同様な病徴を示すシコクビエが発見された。罹病植物からの分離細菌はシコクビエのほかトウモロコシとアワにも病原性を有し,病徴を再現した。病原性と細菌学的性質の試験結果から,供試細菌をPseudomonas alboprecipitansと同定した。P. panici, P. setariaeおよびP. eleusineaeはいずれもP. alboprecipitansの異名であると判定した。病名はシコクビエ褐条病(bacterial brown stripe)とすることを提案した。
  • 崔 璋京, 脇本 哲
    1979 年 45 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含むポリアクリルアミドゲルでのカブモザイクウイルス(TuMV)外被蛋白の電気泳動は3本のバンドを示す異質性を示した。Light form (LF), middle form (MF)およびheavy form (HF)と名づけた各蛋白質の分子量は24,000, 26,000および33,000であった。これらのうち,LF蛋白は長期間凍結(-21Cで1週間)した罹病カブ葉から得た純化ウイルスを用いた場合にのみ生じた。MF蛋白は純化ウイルスの保存の間に蛋白質分解酵素の作用によってHF蛋白から生じた変性物と思われた。数種の異なる濃度のSDSボリアクリルアミドゲルでTuMV蛋白を電気泳動すると,HF蛋白においてはその移動度が変化し,表面荷電が影響することを示した。アミノ酸およびペプチドマップ分析の結果,TuMV外被蛋白の各subunitは約239のアミノ酸残基から成り,約27,500の分子量を持つことを示した。
  • 伊藤 征男, 山口 富夫
    1979 年 45 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. KSM使用中止による耐性いもち病菌の密度低下の原因を明かにするため,病斑形成過程における耐性菌と感性菌の競合について検討した。
    2. 両者胞子の等量混合噴霧接種により形成した病斑は耐性菌,あるいは感性菌のいずれかによるものであり,両者が同一病斑に混在することはなかった。
    3. 等量混合噴霧接種により形成した病斑数は山形県下で採集した菌の1組合せを除き,耐性菌による病斑よりも感性菌による病斑が多かった。
    4. 等量混合パンチ接種による病斑上に形成した胞子数は感性菌胞子が耐性菌胞子に比べて多く,耐性菌による病斑形成,および胞子形成は感性菌に比べ劣った。
    5. 供試菌はすべてイネ苗に対して進展性の病斑を形成し,24時間接種箱内にインキュベートして形成される病斑数には耐性菌,感性菌の間に有意差はなかった。
    6. 感性菌は耐性菌に比べて感染に要する時間が短かく,短時間の接種箱内処理での感染率が高かった。
    7. 感性菌は耐性菌に比べて付着器形成に要する時間が短かく,短時間での形成率が高かった。
    8. 以上の結果からKSMの使用中止による耐性菌の密度低下の原因の一つは,病斑形成過程における競合力の弱さであり,これは付着器形成力が弱く,感染成立に長時間を要するためと結論した。
  • 生越 明, 宇井 格生
    1979 年 45 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    R. solaniのAG-1 (IA,イネ紋枯病系),AG-1 (IB,樹木苗くもの巣病系),AG-2-1 (II,アブラナ科低温系),AG-2-2 (IIIB,イ紋枯病系),AG-2-2 (IV,サトウダイコン根腐病系),AG-3 (IV,ジャガイモ低温系),AG-4 (IIIA,苗立枯病系),AG-5の8群について,生育に及ぼすビタミン類の影響を調べた。AG-2-2 (IIIB), AG-2-2 (IV)およびAG-5の全菌株は,thiamine hydrochloride無添加培地ではほとんど生育せず,thiamine (10-5M)添加培地では10∼20倍の生育量を示し,thiamine要求性であった。Thiamineは10-10Mで生育促進効果を示し,10-8, 10-7で,10-5Mとほぼ同等の生育を示した。R. solaniのthiamine要求性は菌株よりもむしろ,菌群の特性であると考えられる。AG-2-1, AG-2-2 (IIIB), AG-2-2 (IV), AG-5の多くの菌株はCa-pantothenate (10-5M)で若干の生育促進を示したが,要求性とはいえない。AG-2-1の菌株の中には,Ca-pantothenate要求性とみられる菌株が2株あった。Biotin, folic acid, p-aminobenzoic acid, inositol, nicotinic acid, pyridoxine hydrochloride, riboflavinによって生育促進される菌株があったが,その効果は小で,要求性とはいえない。これらは菌群間の差ではなく,菌株間の差であった。
  • 鈴木 義久, 尾田 義治
    1979 年 45 巻 1 号 p. 54-61
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    灰色かび病菌のlateral型の菌核形成過程は,形態的に5つの発育段階に分けることができ,菌核形成過程におけるstage 2と3において,青色光を照射すると,こぶ状菌糸からの棍棒状菌糸および棍棒状菌糸からの第一次分枝は抑制され,菌核形成は阻害された。すなわち,stage 2に12時間の青色光を照射すると,こぶ状菌糸の各細胞は尖針状の菌糸を伸長して脱分化し,その後の菌核形成過程は阻害された。さらに,stage 3の棍棒状菌糸の形成期に任意に標識した一つの棍棒状菌糸に24時間の青色光を照射すると,棍棒状菌糸の先端は収縮し,その後,暗期中に移しても菌核形成はみられなかった。この青色光照射による菌核形成の阻害効果は,その直後に与えられた近紫外光によって打ち消されず,青色光と近紫外光による光可逆的反応系,すなわちマイコクローム系は関与しないと考えられた。
    一方,stage 1と2に近紫外光を照射すると, stage 1および2のmain hyphaeおよびこぶ状菌糸上に分生子柄形成が優位に進行し,その後の菌核形成過程は阻害された。stage 3以降の発育段階にある菌核原基は光照射による影響をもはや受けず,正常の菌核形成過程が進行した。
    このように,lateral型の菌核形成過程における青色光および近紫外光による阻害は,全く異なった効果によって,ある特定の発育段階でのみ作用することが明らかにされた。
  • 尾崎 武司, 小畠 博文, 井上 忠男
    1979 年 45 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    スイカズラ(Lonicera japonica Thunb)の葉脈黄化∼モザイク症状株からコナジラミ伝搬性のウイルスを分離して諸性質を調べた。
    病原ウイルスは,罹病葉粗汁液を用いた汁液接種試験では伝搬されなかったが,タバココナジラミ(Bemisia tabaci)接種により5種のナス科植物に感染し,タバコには特徴ある巻葉,萎縮などの症状を,トマトには典型的な黄化萎縮症状をあらわした。また黄化萎縮病和歌山分離株(W-1)はB. tabaci接種により,健全スイカズラに葉脈黄化症状を再現した。
    スイカズラ病葉からの部分純化ウイルス試料中には直径約15∼20nmの小球形粒子とともに,これらが対に結合したとみられる15∼20×25∼30nmの対粒子が認められた。スイカズラ病葉の超薄切片観察では,師部細胞の核内に径約15∼20nmのウイルス様粒子の集塊がみられ,このような核ではしばしば仁構成成分の分離現象が観察された。また供試ウイルスの部分純化液は黄化萎縮病奈良分離株(NL-3)抗血清との間に陽性の反応を呈したが,arabis mosaic virusとCMV各抗血清とは反応しなかった。
    以上の結果から,供試ウイルスはトマト黄化萎縮病の病原と同じく,TLCVと同定して差支えないものと考えた。
    なおスイカズラに寄生するBemisia lonicerae Takahashiは供試ウイルスとTLCVをB. tabaciと同程度に伝搬する能力をもち,TLCVの新しい媒介虫であることが明らかとなった。スイカズラは永年性の木本植物であることからTLCVと媒介虫B. loniceraeの越冬植物と考えられ,トマト黄化萎縮病とタバコ巻葉病の重要な伝染源植物の一つであろうと推察された。
  • 難波 成任, 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1979 年 45 巻 1 号 p. 70-73
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 大木 理, 土居 養二, 與良 清
    1979 年 45 巻 1 号 p. 74-76
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 45 巻 1 号 p. 77-87
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 45 巻 1 号 p. 87-92
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 45 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 45 巻 1 号 p. 98-114
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 45 巻 1 号 p. 114-121
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 45 巻 1 号 p. 121-132
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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