抄録
イネ白葉枯病抵抗性遺伝子源の探索を目的として,日本産のイネ白葉枯病菌I∼V群菌を多数の内外稲品種に接種して抵抗性検定を行った。その中に従来の金南風群,黄玉群,Rantai Emas群,早稲愛国群およびJava群のいずれにも属さない二つの新しい反応型を示す品種群が発見された。
一つはI∼V群菌に対して順にSRRSR,他の一つは同様にSRRSSという反応型を示す品種群であった。前者をElwee群,後者をHeen Dikwee群と命名した。これら両品種群の抵抗性遺伝子型は日本産のイネ白葉枯病菌に対する既知の抵抗性遺伝子型とは異なることが推察された。また,このような二つの新しい品種群が発見されたことの意義について,イネ白葉枯病抵抗性に関する病理的および育種的観点から,若干の考察を加えた。