抄録
ジャガイモ組織に過敏感反応を誘導するPhytophthora infestansの細胞壁成分(CW)とその誘導を抑制する水溶性グルカン(WSG)を各種宿主及び非宿主植物葉に,カーボランダムによる摩擦塗布処理をし,葉組織の過敏感反応性を調べた。ナス科のジャガイモ,トマト,ピーマン,ナス,トウガラシ,ダチュラ,ホーズキ,マメ科のダイズ,インゲン,エンドウ,ソラマメ,ササゲ,ユリ科のタマネギ,ネギ,テッポーユリの葉はCWに反応し,処理後24時間後には褐変え死細胞を生じた。ナス科のタバコ,アカザ科の4種,キク科の3種,十字花科の4種,イネ科の4種,バラ科の3種の各植物葉はいずれも,処理後72時間以内にも肉眼的観察可能な細胞の反応は示さなかった。 トウガラシ,ホーズキ,ダイズ,ササゲ及びシロザの葉はCWと同様に,WSGとも反応し褐変え死細胞を生じた。それらの処理により過敏感反応を起し得る葉は,処理後,5時間以内に異常な電解質の漏出を起した。これらの結果は,特定な科に属する植物が,P. infestansのCW及びWSGに対して,宿主・非宿主とにかかわりなく過敏感反応を起す性質を持つことを示唆した。