日本植物病理学会報
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45 巻, 3 号
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  • 久田 芳夫, 高木 宏和, 川瀬 保夫, 尾崎 俊明
    1979 年 45 巻 3 号 p. 283-290
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    室内試験で,灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の分生胞子,菌糸および罹病組織などから,プロサイミドン耐性菌がかなりの高頻度で検出された。同様に,分生胞子からベノミル耐性菌発生の検討を行ったところ,その出現は全く認められなかった。ハウス栽培したバラの灰色かび病菌一菌株を対象に,3年間にわたり19回薬剤散布を行い,その間に分離した灰色かび病菌の薬剤感受性を調べたところ,室内試験結果とは逆に,プロサイミドン耐性菌の発生は全く認められなかったにもかかわらず,ベノミル耐性菌は3回散布後頃から認められ始め,5回散布後では分離菌の約80%が高度耐性菌となっていた。プロサイミドンに対する室内耐性菌は,感受性の親株に比べ病原性,胞子形成能などが劣っていた。また,比較的病原性の高い室内耐性菌を使って親株との競合力を調べたところ,室内耐性菌は植物体上できわめて劣性であった。以上の結果から,プロサイミドン耐性菌は,薬剤圧により宿主植物体上で出現したとしても,その個体群の中で優性になり難いのではないかと考えられる。また,耐性菌発生の難易を,限られた室内実験によってのみ推定することは困難であることが示唆された。
  • 深見 悌一
    1979 年 45 巻 3 号 p. 291-298
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ・カルス組織を4品種のイネの芽生えより誘導した。イネ白葉枯病菌を被験菌とし,インドール酢酸を含んだ平板培地上で試験すると,これらのカルス組織はその培養時に,この細菌に対して抗菌性をもつ高分子性の成分を培地中に分泌することが認められた。カルスの培養に用いたMurashige-Skoog培地への各種植物ホルモンの添加が,カルス組織の生育とこの抗菌性成分の分泌に対して如何に影響するかを,カルスを3週間27Cで培養した後に調べた。品種金南風及び黄玉のカルス組織は植物ホルモン(IAA, 2, 4-D, NAAあるいはkinetin)の低濃度(0.05ppmあるいはそれ以下)を添加した時,比較的少量の抗菌性成分を分泌した。より高濃度(0.5ppm∼20ppm)の2, 4-Dを加えた培地で培養した場合,金南風及び黄玉カルス組織の培地中に見出される抗菌活性は増大し,Te-tep及び早稲愛国3号の培地中に見出される抗菌活性と同じ程度になった。一方,Te-tepあるいは早稲愛国3号種からの活性成分の分泌は低濃度(0.05ppmあるいはそれ以下)の植物ホルモンを加えた培地で生育した時でさえも比較的多く,大抵の場合金南風あるいは黄玉からの分泌量の10倍から100倍に達した。
    この抗菌成分は分子量約32,000の高分子性物質であること,Mn++をcofactorとして要求すること,monohydric phenolの添加によって活性が増大すること等の理由からIAA酸化酵素の一種と推定された。
  • 下村 徹
    1979 年 45 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    サムスンNNタバコの下葉にタバコ・モザイク・ウイルス(TMV)を接種して蛍光灯の連続照明下20Cに10∼14日保った後,上葉にTMVを2次接種したところ,この葉に形成される局部病斑の直径は極めて小さくなり,いわゆる全身獲得抵抗性を示した。下葉にTMVを接種してから12∼14日後,上葉を切り取ってこれをいくつかの葉片に切断し,ペトリ皿の湿室中に1日保った後切断面での傷痍カローズの集積を観察したところ,抵抗性を示しているこのような上葉の切断面でのカローズの集積は,下葉にTMVが接種されていない対照のタバコのそれに比べて著しく多かった。つぎに,抵抗性を示している上葉にTMVを2次接種した場合に形成される小さい局部病斑の周辺部でのカローズの集積を観察したところ,それは下葉にTMVが接種されず上葉のみに接種された対照のタバコのそれに比べて著しく多かった。このような結果にもとづいて全身獲得抵抗性の発現とカローズ集積との関連について考察した。
  • 松尾 卓見, 遠山 明, 伊阪 実人
    1979 年 45 巻 3 号 p. 305-312
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    鳥取県及び福井県の砂丘のラッキョウに,数年前から病原性の強いFusarium oxysporum Schl.が寄生し,顕著な疾病(乾腐病)を起こすことがわかった。本病の発生状況や病徴を記載し,従来ラッキョウ鱗茎から分離された病原性の弱いFusarium菌との区別について記述した。本病原菌はラッキョウに著しい病原性を示すが,これまで提案されたユリ科に関係あるF. oxysporumの4分化型中の3分化型,f. sp. cepae (Hanzawa) Snyd. et Hans., f. sp. tulipae Apt, f. sp. asparagi Cohen (f. sp. lilii Imleは入手不能)及びf. sp. gladioli, f. sp. narcissiその他29分化型はラッキョウ苗に対し全くまたは殆んど病原性を示さなかった。一方,ラッキョウ菌は,ユリを含むタマネギ,チューリップ,アスパラガスなどのユリ科植物,及びグラジオラス,スイセン其他多数の植物に対し病原性を示さなかった。このように本菌はラッキョウに対する病原性に特異性が認められたので, Fusarim oxysporum Schl. f. sp. allii Matuo, Tooyama et Isakaなる新分化型名を与えた。
  • -Radish Yellow Edge Virus-について
    夏秋 知英, 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1979 年 45 巻 3 号 p. 313-320
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. ダイコン(みの早生種)の市販種子を播種したところ,発芽後移植した幼苗にyellow edge症状が観察され,DN法で径30nmの小球形ウイルスが少数見出された。
    2. 本ウイルスはみの早生種以外に5品種のダイコンの市販種子から育てた幼苗からも検出され,これらの品種でも高率に種子伝染しているものと考えられた。
    3. 本ウイルスは汁液接種できなかったが,モモアカアブラムシによる伝搬が示唆された。
    4. 病葉切片では,篩部柔細胞の細胞質中に形成されたviroplasmの内外にウイルス粒子が多数認められた。またviroplasmの周囲にしばしば特殊な小胞(vesicle)の増生が認められた。さらにウイルス粒子の小集塊が原形質連絡糸や導管内に認められ,本ウイルスの維管束局在性が示された。
    5. 超薄切片法とDN法で本ウイルスの野外における発生状況を調べたところ,本ウイルスがかなり広い地域に発生していることが判明した。
    6. 本ウイルスは分画遠心と蔗糖密度勾配遠心により純化され,沈降係数は約118Sと測定された。
    7. 以上の所見から,本ウイルスはダイコンを侵す未記載ウイルスであると考え,ダイコン葉縁黄化ウイルス(radish yellow edge virus)と命名した。
  • 第3報 日本在来稲の中に新たに見いだされた早稲愛国群品種の抵抗性の遺伝
    山田 利昭, 堀野 修, 佐本 四郎
    1979 年 45 巻 3 号 p. 321-325
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本在来稲の中に新たに見いだされた早稲愛国群品種,耳ぐらもち,くろから及び黒もちのイネ白葉枯病菌I∼III群菌に対する抵抗性の遺伝子分析を行うとともに,その検定条件について検討を加えた。その結果,本報告における供試材料及び検定環境下においては,接種後14日目の調査および1菌系につき1個体当り2葉の接種で,抵抗性の有無を正確に判定し得た。
    一方,耳ぐらもち,くろから及び黒もちのイネ白葉枯病菌I∼III群菌に対する抵抗性は1個の優性主働遺伝子に支配されることを明らかにした。さらに,上記3品種のうち,くろから及び黒もちのイネ白葉枯病菌I∼III群菌に対する抵抗性は早稲愛国3号の持つXa-wと同じかまたはそれときわめて密接に連鎖する抵抗性遺伝子によるものであることを明らかにした。
  • 久能 均, James R. AIST, Herbert W. Israel
    1979 年 45 巻 3 号 p. 326-332
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Erysiphe graminis hordeiの分生胞子は,通常,複数の発芽管を生じ,そのうちの短い一本の発芽管(第一発芽管)は,付着器より数時間早く寄主侵入を行ない,パピラ形成を誘導する。本実験では,オオムギ子葉鞘上に分生胞子を接種し,0から24時間までの胞子の生長過程と寄主細胞の反応を干渉顕微鏡によって経時的に観察し,第一発芽管が誘導する寄主反応が付着器侵入に影響を及ぼすかどうかを検討した。観察した胞子総数の86%が第一発芽管下に細胞質凝集を誘導し,これらの胞子の88%が付着器発芽管を生じたが,成熟付着器を形成した胞子のうち,16.5%は第一発芽管下に細胞質凝集を誘導しなかった。さらに,大部分の第一発芽管は付着器発芽管が発達する以前に細胞質凝集を誘導することが確認された。本菌の分生胞子は,接種後複数発芽管をほぼ同時に生じ,その中の一本が発達して付着器になると従来考えられていたが,本実験の観察によって,付着器になる発芽管は常に第一発芽管より1-2時間遅れて生じてくることが明らかになった。第一発芽管下の細胞質凝集の開始から付着器発芽管の形成開始までの時間は,いずれの胞子でもほぼ一定であった。付着器が吸器を形成する胞子よりも吸器を形成しない胞子で,第一発芽管下の細胞質凝集はより長く継続した。
  • 大畑 貫一, 土屋 行夫, 白田 昭
    1979 年 45 巻 3 号 p. 333-338
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    わが国の17県下の主要レタス産地52個所から細菌による腐敗標本139点を採取し,病原細菌を分離,同定し,レタスの腐敗を起こす病原細菌の種類と作型との関係を検討した。
    Pseudomonas cichorii (Swingle) Stappによる腐敗の発生は,北日本の春作型,関東東山地域の高原地帯の夏作型および平坦地の秋作型に多く,平坦地のビニルトンネル栽培の冬作型では,発生がきわめて少なかった。
    P. marginalis (Brown) StevensおよびP. viridiflava (Burkholder) Dowsonによる腐敗は,おもに関東以西の平坦地のビニルトンネル栽培の秋作型および冬作型に多発した。北日本の春作型地および高原地帯の夏作型では,全く発生がみられないか,あるいはわずかに発生がみられたのみであった。両細菌による腐敗の発生には,凍霜害による障害とビニルトンネル内の多湿が大きく関与していると推察された。
    Xanthomonas vitians (Brown) Dowsonによる斑点細菌病は,高原地帯の夏作型,平坦地の秋作型,冬作型いずれでも発生し,本病の発生は作型よりも場所と密接な関係があるようであった。
    Erwinia carotovora (Jones) Hollandによる軟腐病は,おもに北日本の春作型,高原地帯の夏作型に発生し,平坦地の秋作型および冬作型では発生がきわめて少なかった。
    以上のレタスの腐敗に関与する病原細菌の種類および量の作型による差異は,X. vitiansを除いて気温と密接に関係することが推察された。
  • インドール-3-アルデヒド
    横沢 菱三, 国永 史朗
    1979 年 45 巻 3 号 p. 339-343
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. カンラン胚軸分泌物中のA. raphani誘引物質の単離同定を行い,この物質へのA. cochlioides A. raphani, A. euteiches遊走子の走性を比較した。
    2. A. raphani誘引物質はインドール-3-アルデヒドと同定され,6.9×10-7mol∼6.9×10-9molで誘引作用が認められた。
    3. インドール-3-アルデヒドはA. raphaniのみを特異的に強く誘引し,A. cochlioides, A. euteichesを誘引しなかった。
    4. 供試したインドール-3-アルデヒドの関連化合物である数種のインドール化合物,アルデヒド基を有する化合物にはA. euteichesを強く誘引するものはなかった。
  • 鈴井 孝仁, 星野 好博
    1979 年 45 巻 3 号 p. 344-352
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1977年北海道余市地方のリンゴ矮性台木(MM 106)にcollar rot症状の発生が認められ,罹病樹とその附近の土壌からPhytophthora cambivoraが多数分離された。分離菌株のうち150菌株はmating type A1に属し,9菌株はmating type A2であった。本菌はリンゴの幼木に病原性を示し,本病の病原菌と考えられた。本病をP. cactorumによる病名と同じ疫病と呼称したい。
  • 1. 分子量
    崔 璋京, 松山 宣明, 脇本 哲
    1979 年 45 巻 3 号 p. 353-357
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ガブモザイクウイルス(TuMV)の純化標品からammonium carbonate法によって分離したRNAは258nmで極大,234nmで極小の紫外線吸収を示し,A258/234およびA258/280の比はそれぞれ1.81∼2.18と1.89∼2.04で,純度の高いことを示した。このRNAは宿主植物のカブに感染性を有し,RNaseに対しては感受性,DNaseに対しては耐性であった。Linear-logしょ糖密度勾配遠心によるTuMV-RNAのS値は,native RNAで38.6±0.7, formaldehyde処理RNAでは24.3±0.5であった。これらのS値からTuMV-RNAの分子量はそれぞれ3.00×106および3.05×106と計算された。一方,ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によっては分子量3.1×106が得られた。
  • 2. 塩基組成およびハイパークロミシティ
    崔 璋京, 松山 宣明, 脇本 哲
    1979 年 45 巻 3 号 p. 358-361
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カブモザイクウイルスRNA (TuMV-RNA)を1N塩酸で加水分解後,ペーパークロマトグラフィによって各ヌクレオチドを分離し,それらの質量比を紫外線吸収によって検討した。得られた結果は,アデニン31.7,グアニン22.0,シチジル酸27.2およびウリジル酸19.1であった。NaOH, ureaおよびRNase処理によって得られたTuMV-RNAのハイパークロミシティは,260nmにおける紫外線吸収で,それぞれ18.0, 19.5および26.4%の増加を示し,一方,熱処理では24.6%増加した。TuMV-RNAの融解温度(Tm)は53±1Cであった。
  • 松本 直幸, 佐藤 徹
    1979 年 45 巻 3 号 p. 362-368
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1978年,北海道新得町のアルファルファ圃場の土壌より未知のPhytophthora属菌が分離された。本菌はジャガイモ煎汁寒天培地上では花弁状の菌叢を示した。Hyphal swellingsはアルファルファ実生苗上でcluster状に豊富に形成された。遊走子のうは乳頭突起が不明瞭で,多くは卵形∼楕円形,担子梗より脱落せず,proliferationとsympodial elongationにより新しい遊走子のうを生じた。V-8ジュース寒天培地に無殺菌の土壌抽出液を処理して形成される遊走子のうの大きさは平均53.7×32.4μmであった。分離した39菌株はすべてA2 mating typeで,P. cinnamomi A1菌株との対峙培養により球形平滑の蔵卵器,底着の蔵精器を生じたが,完全な卵胞子の形成は稀であった。トウモロコシ煎汁寒天培地上での生育適温は28C,最低生育温度5C,最高36∼37Cであった。本菌は土壌接種でアルファルファをはじめ多くの植物に病原性を示し,ジャガイモ塊茎には有傷接種でpink rot症状をおこした。上述の特徴から本菌はP. cryptogeaP. drechsleriに相当し,ディスク電気泳動により輸入した両菌との識別を試みた。両菌と本分離菌株の菌体蛋白パターンはほぼ一致し,両種が同種であるという説を裏づける結果が得られたので,本分離菌株を先名権によりP. cryptogea Pethyb. & Laff.と同定した。
  • 柳瀬 春夫, 山口 昭, G.I. MINK, Kenzo SAWAMURA
    1979 年 45 巻 3 号 p. 369-374
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Apple chlorotic leafspot virus (CLSV)の普通系に感染したChenopodium quinoaを用い,リンゴ実生苗に摩擦接種による戻し接種を行った。接種源にはリ病C. quinoaの搾汁液をMg-ベントナイトによる清澄化と分画遠心によって部分純化したウイルスおよびさらにしょ糖密度勾配遠心によって純化したウイルスを用い,実験室内で育成したは種後8日目の実生の幼植物に摩擦接種を行った。接種後の幼植物は温室内で1年間育成した後,検定を行った。その結果,部分純化ウイルスの接種では9個体中2個体,純化ウイルスの接種では7個体中2個体が,本ウイルスに感染していることがわかった。なお1年生の実生苗では戻し接種は成功しなかった。戻されたCLSVを接木接種によりマルバカイドウに接種を行ったところ,典型的なリンゴ高接病の病徴を現わした。また本ウイルスは9種のCLSV感受性木本指標植物において親ウイルス株(分離源であるリンゴに感染しているCLSV普通系)と同じ病徴を示した。
  • 糸井 節美, 佐藤 文男, 山本 淳, 内田 利久, 野田 千代一
    1979 年 45 巻 3 号 p. 375-385
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. タケ・ササ類生葉の越冬前のいもち病斑(1977年9-10月採集)は紡錘形が多く,越冬中または越冬後の病斑(1978年1-7月採集)は不規則大型が多かった。
    2. 1978年3月下旬以降Pyricularia属菌が寄生したタケを8県下(鹿児島・熊本・広島・岡山・島根・鳥取・滋賀・和歌山),ササを6県下(広島・岡山・島根・鳥取・滋賀・和歌山)で採集した。これらはすべて越冬病斑葉であった。
    3. 供試したタケ菌16菌株,ササ菌5菌株はすべて供試したタケ・ササに病原性を示した。タケ菌・ササ菌とも噴霧法で人工接種が可能であった。
    4. 供試したタケ菌13菌株のうち5菌株,ササ菌3菌株のうち1菌株がイネ(新2号・愛知旭の両方または新2号)に病原性を示した。
    5. タケ菌T300菌株は新2号・愛知旭・石狩白毛に罹病性病斑を形成したので,007レースと判定した。
    6. 供試したイネ菌10菌株のうち,8菌株はタケに9菌株はササに病原性を示した。T-2, C-1, C-8, N-2の各レースはタケ・ササ両方に病原性を示した。また,噴霧法で接種が可能であった。
    7. 1978年1月下旬から8月下旬の島根県下での調査によると,Pyricularia属菌はタケ・ササ類の生葉の病斑内で菌糸の形態で越冬する。越冬後も罹病葉は生存を続け,8月下旬に採集された。湿室処理により病斑上に高発芽率の分生胞子が形成された。
    8. 1977年秋,タケ菌(T300)を人工接種した鉢植えのビロウドナリヒラと自然発病のケナシナリヒラを鉢植えにして室内においた。罹病葉は越冬し,8月中旬まで生存したものもあった。湿室処理により病斑上に分生胞子を形成した。
    9. 1978年6月22日,島根県能義郡広瀬町布部の水田に隣接した場所で見つけたマダケの罹病葉率は6.9% (583/8454)であり,越冬病斑であった。
    10. 1978年,島根県下のタケ・ササの生葉の越冬病斑上で,分生胞子初形成は5月10-13日に認められた。タケの第1次初発病は6月1-5日に認められた。タケ・ササ類の生葉上のdisease cycleがあるようである。
  • 道家 紀志, 酒井 進, 冨山 宏平
    1979 年 45 巻 3 号 p. 386-393
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ組織に過敏感反応を誘導するPhytophthora infestansの細胞壁成分(CW)とその誘導を抑制する水溶性グルカン(WSG)を各種宿主及び非宿主植物葉に,カーボランダムによる摩擦塗布処理をし,葉組織の過敏感反応性を調べた。ナス科のジャガイモ,トマト,ピーマン,ナス,トウガラシ,ダチュラ,ホーズキ,マメ科のダイズ,インゲン,エンドウ,ソラマメ,ササゲ,ユリ科のタマネギ,ネギ,テッポーユリの葉はCWに反応し,処理後24時間後には褐変え死細胞を生じた。ナス科のタバコ,アカザ科の4種,キク科の3種,十字花科の4種,イネ科の4種,バラ科の3種の各植物葉はいずれも,処理後72時間以内にも肉眼的観察可能な細胞の反応は示さなかった。 トウガラシ,ホーズキ,ダイズ,ササゲ及びシロザの葉はCWと同様に,WSGとも反応し褐変え死細胞を生じた。それらの処理により過敏感反応を起し得る葉は,処理後,5時間以内に異常な電解質の漏出を起した。これらの結果は,特定な科に属する植物が,P. infestansのCW及びWSGに対して,宿主・非宿主とにかかわりなく過敏感反応を起す性質を持つことを示唆した。
  • 稲垣 公治, 牧野 精
    1979 年 45 巻 3 号 p. 394-396
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Saprophytic ability was studied of five species of Rhizoctonia and Sclerotium causing sheath blight and allied diseases of mature rice plants. Both the percentage of survival of hyphae and the colonization on straw segments were highest in S. fumigatum Nakata and lowest in S. hydrophilum Sacc. and S. oryzae-sativae Saw. The survival rate of R. oryzae Ryker et Gooch was the same as that of S. fumigatum but its percentage of colonization was compararble to that of R. solani (Pellicularia filamentosa f. sp. sasakii) and was definitely lower than that of S. fumigatum.
  • 宇杉 富雄, 斎藤 康夫
    1979 年 45 巻 3 号 p. 397-400
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In morphology, particle length distribution, buoyant density, and stability in sap, wheat yellow mosaic virus (WYMV) was almost identical to wheat spindle streak mosaic virus (WSSMV). These had common antigens as well as different ones and crossprotection was observed between them. Slight differences were observed in the symptoms produced on some wheat varieties by these viruses. On the basis of these results, it is concluded that WSSMV is a strain of WYMV.
  • 宮川 経邦
    1979 年 45 巻 3 号 p. 401-403
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Buds of ponkan (Citrus reticulata Blanco) infected by likubin (citrus greening disease) were treated with penicillin, tetracycline, tylosine, streptomycin and cefaloridine by immersing in solutions for 24hr, and the treated buds were grafted on indicator ponkan seedlings for determining remained infectivity.
    Likubin symptom development in indicator plants was completely suppressed when the infected buds were treated with very low concentration of tetracycline (12.5μg/ml). Penicillin and tylosine were also effective in suppressing likubin symptom development at concentrations higher than 200μg/ml, whereas streptomycin and cefaloridine were ineffective at considerably higher concentrations (500μg/ml).
    Tetracycline was phytotoxic at higher concentrations (more than 250μg/ml) as indicated by no survival of the treated buds after grafting. Penicillin was not phytotoxic even when the buds were immersed in 2000μg/ml solution for 72hr.
    The results support the hypothesis that the pathogen associated with likubin will be classified as a bacterium or a rickettsialike organism rather than as a mycoplasma.
  • 藤田 佳克, 鈴木 穂積
    1979 年 45 巻 3 号 p. 404-405
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The two conidia groups of Pyricularia oryzae, Which originated from leaf lesion and oat meal agar, were compared for their behavior in an infection process to rice seedlings. The time necessary for penetration by conidia from leaf lesion was shorter than that by conidia from medium, and the former conidia formed larger lesions than that of the latter.
  • 北沢 健治, 鈴井 孝仁, 柳田 騏策
    1979 年 45 巻 3 号 p. 406-408
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 小林 喜六, 田中 文夫, 宇井 格生, 赤井 純
    1979 年 45 巻 3 号 p. 409-411
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2009/02/19
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