抄録
カンキツかいよう病における罹病度と落葉との関係を,Xanthomonas citriを人工接種したナツミカン葉を用いて調べた。圃場で春季新梢に噴霧接種した場合葉身面積に対する病斑面積の比(病斑面積率)が10%に達すると80%以上の葉が落葉し,20%以上に達すると100%落葉した。このときの病斑面積率は直径4.5mmの大型病斑の場合,ナツミカン成葉1cm2あたり1個,または成葉1枚あたり15∼20病斑に相当した。一方,病斑面積率が5%以下の場合は11月までの調査期間中に殆んど落葉はみられなかった。1年生実生苗を用いてガラス室内で行った葉肉内注射接種でも落葉は病斑面積率に比例して増大した。この場合,落葉した葉は大部分20%以上の病斑面積率を有し,圃場における噴霧接種に比較してやや高い比率で落葉が誘発された。かいよう病感染による落葉は,葉の接種部位でも大きく異なり,接種点が葉身先端に近い場合は殆んど影響を受けないが,葉身基部に下がり,〓葉との境界に近ずくにしたがって落葉率が急激に高くなった。