日本植物病理学会報
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植物ホルモン類とイネいもち病抵抗性の関連について
松本 邦臣鈴木 幸雄間瀬 定明渡辺 哲郎関沢 泰治
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1980 年 46 巻 3 号 p. 307-314

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抄録
イネいもち病の発病に対する植物ホルモンの影響を,親和性レース・品種の組み合わせで葉面散布により試験した。2, 4-D, NAA, IAA等のオーキシン類, IAAの前駆体であるトリプトファンおよびエチレン発生剤であるエスレルは発病を抑制した。カイネチン, ABAは逆に発病を促進した。ジベレリンも発病を促進する傾向にあったが,徒長が著しかった。IAA,エスレルによる発病抑制効果は,カイネチン又はABAとの組み合わせによって打ち消されて発病促進的になり, IAAの効果はオーキシン拮抗物質との組み合わせによって打ち消された。ABAの場合,他の物質との組み合わせ処理の方が単独処理より病斑数が少なかったが,カイネチンの場合,エスレルとの組み合わせ処理の方が単独処理の場合より多くなった。またABA処理では褐変を伴う慢性型の病徴を呈したのに対し,カイネチン処理では極めて進展性の病徴を呈した,これらの結果をもとにして植物ホルモンのイネいもち病抵抗性へのかかわり合いを考察した。
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