日本植物病理学会報
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酵素結合抗体法(ELISA)によるウリ科作物でのカボチャモザイクウイルスとキュウリモザイクウイルスの検出
佐古 宣道松尾 和敏野中 福次
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1980 年 46 巻 5 号 p. 647-655

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抄録

ELISAによりウリ科作物の病原ウイルスであるWMVとCMVの検出を試みた結果,罹病カボチャならびにキュウリから調製した搾汁液,純化ウイルスなどで,両ウイルスは迅速,かつ正確に検出できた。検出限界はWMV罹病葉の搾汁液では10-4~10-5希釈,純化ウイルスでは50ng/mlの濃度であった。この2種類のウイルスに重複感染した個体からも,両ウイルスの判別が各々の抗血清を用いることにより可能であった。また,子葉期に両ウイルスを汁液接種して1週間後,子葉,本葉,胚軸,根の各部位から両ウイルスが検出された。罹病葉の葉片を塩化カルシウムを入れた試料びん内で乾燥させることにより,両ウイルス抗原の保存は可能で,この処理によって, 30Cの温度下で, WMVでは180日, CMVでは90日の保存期間後でも高いE405の値を示し,本法によるウイルスの検出は容易であった。 ELISAを用いる圃場診断に際して,上記のような方法で作製した乾燥葉を郵送することにより,多数の被検体の診断が的確に実施されるようなシステム化を提案したい。

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