日本植物病理学会報
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46 巻 , 5 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 有本 裕, 本間 保男, 見里 朝正
    1980 年 46 巻 5 号 p. 575-581
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カンキツ黒点病菌柄胞子は接種5時間後から発芽し, 8時間後から侵入を開始した。発芽率および侵入率はそれぞれ接種胞子の15%および7%に達した。菌糸は気孔(67%)およびクチクラ貫通(33%)によって侵入した。クチクラ貫通部周辺の組織はイオンエッチングされにくいために残り,その中央部には菌糸の侵入穴(侵入跡)がみられた。菌糸貫通周辺部は塩基性フクシンでよく染色された。菌糸の侵入は葉の表側では,表皮細胞縫合線上から約40%,表皮細胞の中央部から約60%の割合であった。気孔侵入あるいはクチクラを貫通した菌糸はすべてクチクラ下菌糸を形成し,その後表皮細胞壁内に侵入し,壁内を伸長して細胞縫合部から,あるいはさらに,細胞縫合部の細胞壁内を伸長後表皮細胞内に侵入した。菌糸は表皮細胞内に達したのちほとんど伸長せずその生育が抑制されていた。また,表皮細胞の細胞壁内および縫合部の細胞壁内に侵入したのち,そこで生育を阻止された菌糸も認められた。これらの菌糸のほとんどは死滅しており,病斑組織には菌糸の生育を抑制する因子の存在が示唆された。
  • 清沢 茂久
    1980 年 46 巻 5 号 p. 582-593
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本におけるいもち病菌のレース分布に関する既往のデーターを用いて病原性分析を行い,次の点を明らかにした。日本各地方におけるAv-i+ Av-k+遺伝子型(++遣伝子型)頻度(観察値)はそれぞれの遺伝子頻度(Av-i+遺伝子頻度とAv-k+遺伝子頻度)の積(++遺伝子型頻度の期待値)よりも大きく,両者の比(++遺伝子型比)は1より大きい値を示した。またAv-i+遺伝子頻度やAv-k+遺伝子頻度やAv-i+ Av-k+遺伝子型頻度は1959年から1965年の間減少の傾向を示した。新潟県,富山県,山形県,神奈川県のレースに関するデーターでは種々の遺伝子型で上記の期待値と観察値の間に有意な差が認められた。この観察値と期待値の比(++遺伝子型比)はp2r2p3r3/p1r1p4r4<Q4/(Q2+Q4) (Q3+Q4)のとき1より大きくなり, p2r2p3r3/p1r1p4r4>Q4/(Q2+Q4) (Q3+Q4)のとき1より小さくなる。しかしこの比は安定化選択や定向的選択の後にも1に戻る*。前述の日本各地において++遺伝子型比が1より高い点, ++遺伝子型頻度が最初高くて徐々に減少する点は単純な定向的選択や安定化選択では説明できない。このことはレース頻度の研究における病原性分析の利用範囲をせばめるが, ++遺伝子型比は検討すべき要因の種類や範囲を減じうるためレース頻度の研究に利用しうる。
  • 北 宜裕, 豊田 秀吉, 矢野 哲男, 獅山 慈孝
    1980 年 46 巻 5 号 p. 594-597
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    うどんこ病菌, Erysiphe graminis f. sp. hordei, レースIを接種した感受性オオムギ品種コビンカタギを用いて,パピラにおける螢光化とうどんこ病菌侵入の成否との関係を,接種18, 24, 48および72時間後に調べた。第一次侵入部のパピラに螢光化が認められた場合には,菌の侵入は抑えられたが,菌がパピラを貫通し吸器を形成した場合には,そのパピラに螢光化は起こらなかった。接種72時間後の第二次以後の侵入部においても同様ことが観察された。一方,侵入部周辺のハローには,貫穿の成否にかかわらず,螢光化が認められた。以上のことから,オオムギうどんこ病菌の侵入阻止には,パピラへの螢光性物質の集積が重要な役割を果していると推論した。
  • 渡辺 恒雄
    1980 年 46 巻 5 号 p. 598-606
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    土壌病原菌分離のため素寒天培地上にイチゴの根の組織片をプレートしたところ,古くなった培養基中の線虫体上に胞子を形成していた一種のVerticillium属菌が見出された。本菌は線虫に内部寄生性を有し,しかも球形(平均3×2.5μm)の胞子を形成する点でV. sphaerosporum Goodeyと類似していたが,さらに円筒形(平均9.3×2.3μm)の胞子を形成する点から同種の新変種と考えV. sphaerosporum Goodey var. bispora T. Watanabe nov. var.と命名した。このVerticilliumAphelenchoides sp., Cephalobus sp,やPanagrolaimus sp. などの線虫に内部寄生性を有し,しかも土壌病原菌を含む91菌株の供試菌に対しPDA培地上で拮抗作用を示した。とくに菌糸生育が50%以上も抑制されたのはAlternaria sp., Phoma sp., Pithomyces sp., Pythium spleendens, P. sylvaticum, Rhizoctonia solaniTrichocladium sp.などである。
  • 国安 克人
    1980 年 46 巻 5 号 p. 607-614
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 病原菌が維管束を経由して種子に侵入する経路は「果柄→果柄基部→子室組織→胎座→種子の胎座着生点(へそ)→種皮内維管束」と推定された。これらの各部位から病原菌が検出された。
    2. 果肉未腐敗の罹病株着生果実から採種した供試種子約1000粒の中で, 23個の保菌種子が検出され,そのうち6個の種子の種皮維管束に,本病原菌の厚膜胞子らしい菌体が観察された。その形状および大きさは,培地上に形成されたユウガオつる割病菌の厚膜胞子とほぼ一致した。
    3. 種皮維管束内での菌体は,道管の外面に付着したもの,道管と道管の間の柔組織に埋没したもの,道管内部に分布すると想定されるもの等が観察された。
    4. 以上のように,罹病株に着果し,果肉の腐敗の認められない果実内の各部位から病原菌が検出され,種子からも低率ながら病原菌が検出された。このような果実では,病原菌が維管束を経由して種子に移行するものと推定される。
  • 宮島 邦之, 坪木 和男
    1980 年 46 巻 5 号 p. 615-622
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1978年および1979年,北海道常呂郡訓子府町,北見農試圃場でスムースブロームグラスの葉身に半透明黒褐色条斑を作る病害が発生した。病原細菌を分離し,病原性および細菌学的性質を調べた結果, Xanthomonas campestris pv. cerealis (Hagborg 1942) Dye 1978と同定された。本細菌による病害の病名を褐条病(bacterial streak, blight)から条斑細菌病(bacterial streak)に改めることを提案した。
  • 渡辺 実, 鮫島 申一, 細川 大二郎
    1980 年 46 巻 5 号 p. 623-627
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    導管細菌病であるイネ白葉枯病について,細菌増殖の場としての維管束部への栄養供給の実態を把握する目的で本実験を行った。
    1. イネ品種金南風に親和性のN5824SR菌(II群菌)を針束接種し, 14CO2で光合成させたのち,経時的に14C-光合成産物の感染組織への集積をオートラジォグラフィーで検討した。
    2. 接種後2日目および5日目に光合成した潜伏感染葉,および接種直後に光合成させ,その直後から5日後までの潜伏感染葉では,いずれも14C-光合成産物の接種部への特異的な集積は全く認められなかった。
    3. 発病葉を光合成した場合, 24時間以後に病斑部への14C-光合成産物の集積が明らかに認められた。また,接種直後に光合成した場合,約7日以後に病斑の出現とともに病斑部に集積が認められるようになった。病斑部への集積状況は,初期病斑では葉脈上の黄色・線状の病斑部に一致して集積し,大病斑では病斑内枯死組織にはほとんど集積せず,主に病斑周辺の黄色新鮮病斑部に線状に集積した。
  • 谷口 武
    1980 年 46 巻 5 号 p. 628-633
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Dianthus barbatus L.(アメリカナデシコ)の種子抽出物にタバコモザイクウイルス普通系統(TMV-OM)またはジャガイモXウイルス(PVX)を混合してChenopodium amaranticolorに接種すると病斑の形成は強く阻害された。サムスンNNタバコ葉またはインゲン初生葉にTMV-OMを接種する前3日間または接種後3時間までに処理すると阻害効果が大であった。またこの抽出物をサムスンNNタバコまたはインゲンの葉の裏側に処理後,その葉の表側にTMV-OMを接種しても病斑形成は阻害された。この抽出物のウイルス阻害物質はSephadex G-25ゲル濾過クロマトグラフィーにより3つのピークに分離され,強い阻害活性は高分子の物質に認められた。この阻害物質の純化方法について次の論文に報告する。
  • Wang-ching Ho, Wen-hsiung Ko
    1980 年 46 巻 5 号 p. 634-638
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    これまで土壌中のアクチノミセスの定量に用いられてきた培地の多くは,土壌細菌の生育を抑制しない。アルカリ素寒天培地(pH 10.5)を用いると土壌細菌の90%以上の集落形成が抑制されるが,アクチノミセスの集落形成は影響をうけない。植物病原細菌を含む6種の細菌のうちには,完全にその生育が抑制されたものと,著しく抑制されたものがあったが, 6種のアクチノミセスはいずれも集落形成が抑制されなかった。グルコースあるいはアルファルファ粉末添加土壌のアクチノミセスの定量にあたって,素寒天培地を用いると細菌集落数が著しく多くなり,その定量は困難となるが,アルカリ素寒天培地を用いると, 99.9%以上の細菌の生育が抑制され,その定量が容易となる。
  • 佐古 宣道, 松尾 和敏, 野中 福次
    1980 年 46 巻 5 号 p. 639-646
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カボチャモザイクウイルスの純化方法について各種の検討を加えた。抽出液として, 0.3Mリン酸2カリウム溶液(0.01M DIECA, 0.1% 2-メルカプトエタノールを含む), pH 8.8に, 15%四塩化炭素を同時に加えた液を用い,罹病カボチャ葉を磨砕,搾汁し,低速遠心した後,これに2%トリトンX-100を加えることにより搾汁液の清澄化を行った。この清澄液について, 20%しょ糖のクッションを用いる2回の分画遠心分離としょ糖密度勾配遠心分離により,ウイルスを純化した。純化ウイルス液の紫外線吸収曲線はpotyvirus群のウイルスが示す曲線とほゞ同一であり,最高値と最小値はそれぞれ260nm, 246nm附近にみられ,収量は罹病葉100g当り2~3.5mgであった。ポリエチレングリコールによる沈殿法はウイルス粒子間の凝集を強く引き起こすため,粒子の再浮遊が難しく,収量も著しく減少した。迅速で粗汁液でもウイルスが検出できる酵素結合抗体法(ELISA)は,純化方法の各段階について,その適否を検討するのに有効である。
  • 佐古 宣道, 松尾 和敏, 野中 福次
    1980 年 46 巻 5 号 p. 647-655
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ELISAによりウリ科作物の病原ウイルスであるWMVとCMVの検出を試みた結果,罹病カボチャならびにキュウリから調製した搾汁液,純化ウイルスなどで,両ウイルスは迅速,かつ正確に検出できた。検出限界はWMV罹病葉の搾汁液では10-4~10-5希釈,純化ウイルスでは50ng/mlの濃度であった。この2種類のウイルスに重複感染した個体からも,両ウイルスの判別が各々の抗血清を用いることにより可能であった。また,子葉期に両ウイルスを汁液接種して1週間後,子葉,本葉,胚軸,根の各部位から両ウイルスが検出された。罹病葉の葉片を塩化カルシウムを入れた試料びん内で乾燥させることにより,両ウイルス抗原の保存は可能で,この処理によって, 30Cの温度下で, WMVでは180日, CMVでは90日の保存期間後でも高いE405の値を示し,本法によるウイルスの検出は容易であった。 ELISAを用いる圃場診断に際して,上記のような方法で作製した乾燥葉を郵送することにより,多数の被検体の診断が的確に実施されるようなシステム化を提案したい。
  • 渡辺 実, 鮫島 申一, 林 宣夫, 細川 大二郎
    1980 年 46 巻 5 号 p. 656-662
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病感染イネにおける14C-光合成産物の移行と集積をGM計数管による放射能活性測定法で検討した。
    1. 14CO2気中で光合成させた葉の14C-光合成産物は, 90%以上が80%エタノールで抽出され,光合成1日後では健全・感染葉ともほぼ同量であったが, 7日後には感染葉に健全葉の1.7倍量が残留した。
    2. 感受性・抵抗性の健全・接種イネは,いずれも光合成直後および1日後には14C-光合成産物は葉鞘および根より葉に多く検出されたが, 2日以後には葉より葉鞘に多量が検出された。葉から葉鞘への移行率は接種イネの方が健全イネより低く,接種葉中に14C-光合成産物が多く残留した。
    3. 潜伏期に14CO2気中で光合成させ,以後,葉中の14C-光合成産物由来のアミノ酸,有機酸および糖の量的変動を調査した結果,感受性・抵抗性の健全・接種葉のいずれでも糖は漸減し,有機酸とアミノ酸が漸増する傾向が認められた。
    4. 感受性品種金南風の発病葉を14CO2気中で光合成させ,葉組織内の細菌を組織と分けて14C-光合成産物の細菌への取りこみを調べた結果,光合成直後には取りこみがみられなかったが, 5日後には明らかに認められた。また, 14C-光合成産物の葉組織から漏出液中への漏出は,光合成5日後には感染葉が健全葉より4倍の高い漏出率であり,感染組織において透過性が増大していることが推察された。
  • 野田 孝人, 佐藤 善司, 小林 久芳, 岩崎 成夫, 奥田 重信
    1980 年 46 巻 5 号 p. 663-666
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Seven toxic substances to rice seedlings were isolated from the cultured cell suspension of X. campestris pv. oryzae and they were identified as 3-methylthiopropionic acid, trans-3-methylthioacrylic acid, phenylacetic acid, isovaleric acid, tiglic acid, succinic acid and fumaric acid by means of UV-, IR-, NMR- and Mass-spectroscopy and of elementary analysis.
  • 阿久津 克己, 土居 養二, 與良 清
    1980 年 46 巻 5 号 p. 667-671
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 李 準〓, 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1980 年 46 巻 5 号 p. 672-676
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Mosaic plants of perilla were collected in Tokyo and Saitama prefecture. Virus particles detected in the diseased leaves were flexuous rods, about 13×760nm, with a helical symmetry of 3.4nm pitch. In ultrathin sections of the diseased leaves, the virus particles and cytoplasmic inclusions such as pinwheels and bundles were observed in the cytoplasm of virus-infected cells. By sap inoculation, the virus produced chlorotic local lesions on Chenopodium amaranticolor, C. quinoa, Gomphrena globosa, and Vicia faba, while it produced systemic mottling on Perilla frutescens var. acuta. The virus was also transmitted in a non-persistent manner by Myzus persicae (Sulz.). The virus was tentatively named perilla mottle virus.
  • 山中 達, 姜 秀雄
    1980 年 46 巻 5 号 p. 677-678
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    One isolate (Naga 64-8) among rice blast fungi (Pyricularia oryzae Cavara) isolated in Japan formed a very few susceptible lesions on Milyang 23 and Yushin of the Tongil variety group of Korean rice. All the reisolates from their lesions were severely pathogenic against the two Tongil varieties. On the other hand, reisolates from the lesions on Japanease rice varieties inoulated by the isolate of Naga 64-8 and those from the spores of the isolate on an oat-meal decoction agar medium contained both the pathogenic and the nonpathogenic isolates against the Tongil varieties. All their isolates showed the same reactions to the Japanease differentials as the isolate of Naga 64-8. The above results showed that the mother isolate of Naga 64-8 (033) contained two types of spores differing in pathogenicity against the Tongil varieties. Thus, we presumed that the isolate pathogenic against the Tongil varieties might sort out during successive culturing of the fungus by mutation.
  • 古賀 博則, 小林 尚志
    1980 年 46 巻 5 号 p. 679-681
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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