イネ白葉枯病感染イネにおける
14C-光合成産物の移行と集積をGM計数管による放射能活性測定法で検討した。
1.
14CO
2気中で光合成させた葉の
14C-光合成産物は, 90%以上が80%エタノールで抽出され,光合成1日後では健全・感染葉ともほぼ同量であったが, 7日後には感染葉に健全葉の1.7倍量が残留した。
2. 感受性・抵抗性の健全・接種イネは,いずれも光合成直後および1日後には
14C-光合成産物は葉鞘および根より葉に多く検出されたが, 2日以後には葉より葉鞘に多量が検出された。葉から葉鞘への移行率は接種イネの方が健全イネより低く,接種葉中に
14C-光合成産物が多く残留した。
3. 潜伏期に
14CO
2気中で光合成させ,以後,葉中の
14C-光合成産物由来のアミノ酸,有機酸および糖の量的変動を調査した結果,感受性・抵抗性の健全・接種葉のいずれでも糖は漸減し,有機酸とアミノ酸が漸増する傾向が認められた。
4. 感受性品種金南風の発病葉を
14CO
2気中で光合成させ,葉組織内の細菌を組織と分けて
14C-光合成産物の細菌への取りこみを調べた結果,光合成直後には取りこみがみられなかったが, 5日後には明らかに認められた。また,
14C-光合成産物の葉組織から漏出液中への漏出は,光合成5日後には感染葉が健全葉より4倍の高い漏出率であり,感染組織において透過性が増大していることが推察された。
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