抄録
ナシ黒星病菌のチオファネートメチル剤およびベノミル剤に対する耐性を薬剤添加培地上での胞子発芽管の伸長や隔壁形成,菌糸生育などを指標とする各種の方法で検定した結果,耐性菌の中に耐性程度の異なる菌株が存在することが判明した。そこで,これらの菌株が薬剤の防除効果の低下に果たす役割について検討した。チナファネートメチル水和剤を適用濃度の1,500倍(有効成分467ppm)で散布し,風乾したナシの葉に,培養して得た菌糸および分生胞子の懸濁液を接種したところ,室内試験で耐性程度が比較的低い菌株でも薬剤の防除効果の低下がみられ,これらの菌株も耐性程度の高い菌株と同様,実用上無視できないことが明らかになった。