日本植物病理学会報
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47 巻, 4 号
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  • 大宜見 朝栄, 樋口 浩
    1981 年 47 巻 4 号 p. 443-448
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    近年,沖縄県内のヤマモモにこぶ(癌腫)病の発生が観察されるようになった。本病害は静岡,福岡,三重および徳島の各県にも分布している。
    本病はヤマモモの樹齢,雌雄,品種,実生,萌芽の区別なく樹幹,枝梢,葉柄等に発生し,こぶを形成する。病患部は初めいぼ状突起であるが,次第に表層部が黒褐色に変じて割裂し,表面は著しく粗造となる。その大きさは多くは指頭大であるが,まれに拳大に発達する。
    こぶ組織から病原細菌を分離し,その細菌学的性状を調べたところ, Pseudomonas syringaeと2, 3の性状を除いて極めてよく一致した。この結果,本菌をPseudomonas syringae pv. myricae pv. nov.と命名し,病名を新たにヤマモモのこぶ病Bacterial gall of yamamomo (Myrica rubra S. et Z.)とし,そのpathotype strainとしてMR 1を指定する。MR 1菌株は,琉球大学農学部森林保護学教室に保存している。また,菌株保存機関のATCC (No.33544), NCPPB (No.3143)およびPDDCC (No.7118)に,それぞれ寄託した。
  • 渡辺 恒雄
    1981 年 47 巻 4 号 p. 449-456
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    東北地方(青森,秋田,岩手,山形の4県)と南西諸島(沖縄本島,奄美大島)の48か所の土壌からPythium属菌を分離し,分布,種類,菌量などを検討した。植物については試料が得られた場合のみ検討した。土壌からの分離は, Waksmanの直接接種法の変法と,キュウリ,ルーピン,トウモロコシの種子を基質とした捕捉法の2方法を用いた。捕捉法では土壌に埋没した種子を一定温度下で1~7日間放置後取り出して素寒天培地(WA)上に置き,伸び出した単菌糸を分離して純粋分離株を得た。植物の根部からはWA上で単菌糸分離により直接分離株を得た。土壌からの分離の結果,東北地方では供試した27か所中25か所,南西諸島では21か所の全試料からPythium属菌が検出された。捕捉法における基質の土壌埋没時の処理温度は,分離される菌の種類に大きな影響があり,好高温性のP. aphanidermatumは,東北地方産の試料では, 36Cの高温下で分離した43株中10株を占めたが, 7Cと20Cの低温下では150株中わずか1株にすぎなかった。南西諸島産の試料では24Cでも106株中37株を占めたが, 7Cでは全く分離されなかった。また同菌は,東北地方産の4種の植物と南西諸島産3種の植物から分離された。植物の根部から分離された合計52菌株の温度反応を調べたところ,南西諸島産の15菌株は,東北地方産の37株と比較すると好高温性の菌株が多かった。土壌および植物からの分離菌は,未同定菌を除き,それぞれ13種と8種に同定された。また土壌中の菌量を直接接種法の変法により定量したところ乾土1g当たり50個以下の試料は,供試した48点中19点, 51~200個の試料は17点, 201~1040個の試料は12点であった。
  • 松山 宣明, 山口 富夫
    1981 年 47 巻 4 号 p. 457-463
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    いもち病菌はPSA培地上で継代保存すると比較的短期間に病原力を低下させるか,病原性に変化を起こす(79%)。保存中病原力に変化が無かったとみられる菌株でも,その単胞子再分離系統には可成りの変化がみられる場合が多い。これらの性質の変化は培地,培地量,植継ぎ間隔などの培養条件の影響を受け易い。合成培地は天然培地に比べ病原力,病原性の変化を起こしにくい。しかし,保存後3年目には合成培地保存のものにも変化がみられる。又培地量を多くし,植継ぎ間隔を出来るだけ長くすることも有効とみられる。一方,節保存法は有用な一方法と考えられるが,低温保存中における雑菌の混入,死滅が多い。節保存4年目における死亡率は約60%であり, 10年目における死亡率は約70%であった。より簡易で確実な方法として乾燥菌体保存法を試みた。平板培地上でいもち病菌を培養し,菌叢をコルクボーラーで打抜き,滅菌〓紙円板上に乗せシャーレ中で自然乾燥させる。滅菌済蓋付小型試料瓶(Screw vial)に160C, 1時間滅菌乾燥したシリカゲルを入れ,その上に乾燥菌体の付着した〓紙円板数個を入れ密栓する。これらの操作は無菌的に行う。冷蔵庫(5C)又は冷凍庫(-10C)に保存すると少くとも5年間は完全に保存出来ることを確認した。
  • 羽柴 輝良, 山田 昌雄
    1981 年 47 巻 4 号 p. 464-471
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ体上に形成された菌核は高温および高湿度条件下においても馬鈴薯寒天培地(PSA)上に形成された菌核より発芽能力を長く保持できる性質をもっている。イネ体上に形成された菌核は空胞化細胞からなる層を外層に形成しているのに対し, PSA上に形成された菌核はその細胞層の発達が悪い。イネ体上に形成された菌核の組織中から外気中の濃度の3倍量の炭酸ガスが検出された。PSA上に形成された菌核を炭酸ガス濃度をそれぞれ変えて, 25Cで70および80%湿度条件下に保存した場合, 0.1~0.5%の炭酸ガス濃度下で菌核の発芽能力維持期間は最も長く,イネ体上に形成された菌核の場合とほぽ同等になった。以上のことから,イネ体上に形成された菌核の発芽能力維持における菌核組織の役割について検討した。
  • 松尾 憲総, 松山 宣明, 脇本 哲
    1981 年 47 巻 4 号 p. 472-479
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Xanthomonas campestris pv. citri Ku 7101株はクロロホルムまたは熱によって処理されると,自分自身に抗菌作用を示す物質を産生する。この物質は透析膜を通過し, DNase, RNase,トリプシン,プロナーゼなどの作用を受けず, 120C, 30分間の熱処理に対して安定であった。また,活性炭カラムクロマトグラフィーでは20~25%のエタノールで溶出され,その活性はアンスロン反応の強さと一致した。この活性分画を濃縮し10種以上の展開溶媒により薄層クロマトグラフィーを行うと活性を示す単一のスポットのみが検出された。この物質はナフトレゾルシノール,濃硫酸により発色し糖を含むことが示された。本物質を液体培地で増殖中のX. campestris pv. citri Ku 7101株の細胞に作用させると著しく生育を抑制し,多数のゴースト化した細胞を生じた。しかし緩衝液中で休止細胞に作用させた場合には全く影響がみられなかった。
  • 松尾 憲総, 松山 宣明, 脇本 哲
    1981 年 47 巻 4 号 p. 480-487
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    X. campestris pv. citriはクロロホルムで処理することによって抗菌物質を産生する。この抗菌物質は指示菌(X. campestris pv. campestris X1-1-1)の平板上に明瞭な阻止帯を作るが,溶菌斑を形成しないのでテンペレートファージとは認められない。この物質は60,000×g, 60分間の遠心によって沈殿しないが, 75%アセトンで約50%, 60%飽和硫安でほぼ完全に沈殿し,透析膜を通過せず, 60C, 30分間の熱処理で完全に失活する。この抗菌物質含有原液をDEAEイオン交換セルロースカラムで処理したのち,さらに,ウルトロゲルカラムで分画すると,各分画の活性と280nmにおける紫外線吸収はほぼ完全に一致した。また,そのピーク分画の紫外線吸収は280nmで極大, 250nmで極小値を示すたん白質特有のスペクトラムを示した。この分画をディスク電気泳動にかけると,クーマジープルーで染色される2~3本のバンドが検出された。これらのうち,活性部分に相当するゲルを切り取り,再び電気泳動したところ,一本のバンドとなり,その部位に活性も認められた。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果から,この物質の分子量は約30万と計算された。この物質は培地中で細菌を凝集または崩壊することにより,増殖を遅延させる。これらの結果から,この抗菌物質は一種のバクテリオシンと考えられる。この抗菌物質で処理したX. campestris pv. campestris X1-1-1を電子顕微鏡で観察すると,崩壊し細胞内容物が漏出したような細胞が多数観察された。
  • 朴 杓允, 西村 正暘, 甲元 啓介, 尾谷 浩
    1981 年 47 巻 4 号 p. 488-500
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イチゴ黒斑病菌,ナシ黒斑病菌,トマトstem canker病菌およびリンゴ斑点落葉病菌の宿主特異的毒素(それぞれAF-toxin I, II, AK-toxin, AL-toxinおよびAM-toxin I)によってひきおこされた各宿主細胞の初期変性を電顕によって比較観察した。これら毒素による変性像は, 3つの型に分けられた。1つは,透過性機能の崩壊を伴う原形質膜の陥入・断片化・小胞化,原形質連絡糸の変形そして細胞壁の崩壊であった。これはAK-toxin-感受性ナシ花弁, AM-toxin I-感受性リンゴおよびナシ葉, AF-toxin I-感受性イチゴおよびナシ葉, AF-toxin II-感受性ナシ葉の各組み合せで見られた。なお, AF-toxin II-感受性イチゴ葉の組み合せでは,肉眼的な毒性は認められなかったが,電顕下では維管束細胞の崩壊が観察された。2番目の型は,葉緑素含量の減少を伴う葉緑体グラナの小胞化であった。これはAM-toxin I-感受性リンゴおよびナシ葉の光合成組織細胞だけで認められた。3番目の型は,ミトコンドリアと粗面小胞体の変性であった。両者とも膨潤・小胞化した。ミトコンドリアでは,その基質は漏出し,クリステの数は減少した。これはAL-toxin-感受性トマト葉で認められた。上記各毒素を処理したすべての抵抗性宿主細胞では,なんらの変性も認められなかった。以上の結果から, AK-toxinとAF-toxin IおよびIIの作用点は,感受性宿主細胞の原形質膜や細胞壁上に, AL-toxinのそれは,感受性細胞のミトコンドリアや粗面小胞体上にあると考えられる。なお, AM-toxin Iの作用点は,葉緑体を持っ感受性細胞では原形質膜・細胞壁および葉緑体グラナ上に存在し,葉緑体を持たない細胞では,原形質膜・細胞壁上に存在するものと考えられる。
  • 堀野 修
    1981 年 47 巻 4 号 p. 501-509
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    黄玉, IR 28およびTe-tepの幼苗期における抵抗性発現の差異の機構を知るため, 4葉期のイネにT7174菌を針接種し,接種3日後に寄主組織の抵抗反応および侵入細菌の形状を電顕観察した。幼苗期に感受性ないしは感受性に近い反応を示す黄玉の導管内には繊維状物質(FM)はほとんど認められず,正常な短桿状を示す多数の侵入細菌がおう盛に分裂増殖していた。一方,幼苗期から高度の抵抗性を示すIR 28とTe-tepの導管内侵入細菌はいずれも高電子密度の不定形を示し,死滅状態に近いものが多かった。IR 28とTe-tepに侵入した細菌は導管壁内側層に由来して生じたと思われるFMに包囲されていることが特徴的であり,細菌の分裂増殖および移行がFMによって阻害されているように観察された。導管に隣接している維管束柔細胞の変性はIR 28とTe-tepの方が黄玉より顕著であった。また黄玉, IR 28およびTe-tepの導管内侵入細菌の大きさは,それぞれ1.25×0.50μm, 1.03×0.42μm, 1.05×0.41μmで,黄玉に侵入した細菌は他の2品種のそれに比べて有意に大きかった。以上の結果から, IR 28とTe-tepの導管内で認められたFMは本病の抵抗性発現に関与している可能性が高い。なおFMの化学的成分については明らかでなく,今後検討を要する。
  • 日比野 啓行, 宇杉 富雄, 斎藤 康夫
    1981 年 47 巻 4 号 p. 510-519
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Wheat yellow mosaic virus (WYMV)またはwheat spindle streak mosaic virus (WSSMV)罹病コムギ, barley yellow mosaic virus (BYMV)罹病オオムギ, oat mosaic virus (OMV)罹病エンバクおよびrice necrosis mosaic vims (RNMV)罹病イネの葉組織細胞を電顕観察により比較した。OMVを除く4種のウイルスに感染した細胞中には複雑な膜状構造物が集まって生じた封入体およびpillwheel封入体が認められた。OMVによって生ずるpinwheel封入体を構成している板状構造物は3層構造で,厚さ9-11nmであったが,他の4種のウイルスによって生ずるpinwheel封入体は単層で,厚さ11-13nmであった。これらの結果はWYMV, WSSMV, BYMV, RNMVの4種のウイルスの間の類縁関係は深く, OMVはこれらのウイルスとは類縁関係がやや離れていることを示すものと思われる。
  • 2. イチゴ組織に見出された抗細菌物質β-D-glucogallinについて
    川口 邦男, 太田 啓一, 後藤 正夫
    1981 年 47 巻 4 号 p. 520-527
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas solanacearumをまいた寒天平板上にイチゴの植物組織片を置くと,増殖阻止円を形成した。この抗菌物質をセファデックスG25およびアビセルカラムクロマトグラフィーによって単離した。この物質はペーパークロマトグラフィー,紫外線吸収スペクトルおよび加水分解産物の種類などからβ-D-glucogallinと決定された。この物質の植物体内含量と抗菌活性の間には,正の相関関係が見られたが,その活性は病菌接種後においても変化しなかった。イチゴの器官別抗菌活性は若い上位葉ほど高く,葉柄がこれに次ぎ,茎および根では低かった。また秋の気温低下に伴ってイチゴ植物体の生長率が下がると,抗菌活性も低下した。葉の粗抽出物を用いて抗菌スペクトルを調べた結果, Ps. solanacearumの外, Ps. meliae, Ps. syringae pv. pisi, Ps. syringae pv. lachrymans, Xanthomonas〓campestris pv. oryzae外2種の細菌に増殖阻止円を形成した。他のXanthomonas属細菌に対しては,増殖阻害は起こさなかったが,細胞外多糖質の生産を阻害した。CorynebacteriumおよびErwinia両属の細菌に対しては,効果を示さなかった。
  • 石井 英夫, 山口 昭
    1981 年 47 巻 4 号 p. 528-533
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナシ黒星病菌のチオファネートメチル剤およびベノミル剤に対する耐性を薬剤添加培地上での胞子発芽管の伸長や隔壁形成,菌糸生育などを指標とする各種の方法で検定した結果,耐性菌の中に耐性程度の異なる菌株が存在することが判明した。そこで,これらの菌株が薬剤の防除効果の低下に果たす役割について検討した。チナファネートメチル水和剤を適用濃度の1,500倍(有効成分467ppm)で散布し,風乾したナシの葉に,培養して得た菌糸および分生胞子の懸濁液を接種したところ,室内試験で耐性程度が比較的低い菌株でも薬剤の防除効果の低下がみられ,これらの菌株も耐性程度の高い菌株と同様,実用上無視できないことが明らかになった。
  • 福永 克久, 古澤 巌
    1981 年 47 巻 4 号 p. 534-540
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ダイコンモザイクウイルス(RaMV)とそのRNAによるコマツナプロトプラストの感染条件について調べた。50mMのK-クエン酸-リン酸緩衝液, pH5.0中で10μg/mlのRaMVをプロトプラストに接種するとポリ-L-オルニチン(PLO)非存在下で90%以上のプロトプラストがRaMVに感染した。0.5μg/mlのRaMV RNAと1μg/mlのPLOを混合し,コマツナプロトプラストに接種した場合,約35%のプロトプラストが感染した。PLO非存在下ではRNAによる感染はほとんど起こらなかったが, PLOを加えることによって感染効率は増大した。RaMVの抗原は接種16時間後から認められ,螢光細胞率は接種36時間後まで増加した。1プロトプラスト当たりのウイルス粒子産生量は接種48時間後において, 1.5×105個であった。
  • 長井 雄治, 竹内 妙子, 栃原 比呂志
    1981 年 47 巻 4 号 p. 541-546
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1978年に千葉県野栄町の越冬栽培のピーマンにタバコ・モザイク・ウイルス(TMV)の1系統によるとみられるモザイク病が多発した。発病株は新葉が黄化し著しいモザイクを生じ,ときに果実に黄色の斑紋や条斑を生じた。本病の病原ウイルスは,粒子の形態,耐熱性,耐希釈性,耐保存性などの面ではTMVのトマト系や普通系と区別できない。しかし, TMVに抵抗性とされている品種を含むピーマン・トウガラシの供試したすべての品種に激しいモザイク症状を起こし,トマトには全く寄生性がなく, N. glutinosaには極めて小形の局部病斑を生じ, Samsunタバコには無病徴感染した。また,このウイルスはTMV-トマト系, TMV-普通系の各抗血清に対し反応したが,その反応はTMV-トマト系とTMV-普通系の相互関係に比べはるかに弱かった。
    以上から,本ウイルスはわが国および海外でこれまでに報告されたどの系統とも異なると考えられたのでTMV-トウガラシ系と呼ぶことを提案した。
  • 佐野 慎亮, 宇井 格生
    1981 年 47 巻 4 号 p. 547-554
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Fusarium solani f. sp phaseoli大型分生胞子の病原力,発芽,形態,微細構造,化学組成および酵素活性に及ぼす培地の炭素源,窒素源濃度あるいはC/N比の影響を解析した。
    調査した14形質のうち, 11形質は炭素源濃度とC/N比の影響を受けた。すなわち,病原力,胞子長,マイクロボディの割合,全窒素含量,アルカリ性ホスファターゼ活性,カタラーゼ活性は,炭素源濃度とC/N比の増加に伴い減少する負の相関を示し, 50%発芽時間,胞子幅,脂質顆粒の割合, β-1, 3-グルカン含量,全炭素含量は炭素源濃度とC/N比の間に正の相関を示した。残りの3形質のうち,脂質含量はC/N比のみに影響され,正の相関を示し,液胞の割合と酸性ホスファターゼ活性は窒素源濃度に影響され,負の相関を示した。
    このような影響を受ける大型分生胞子の各形質は,炭素,窒素量の関数であるCm/Nn比と高い相関関係にあることが認められた。この指数m, nは各形質ごとに選定した値である。各形質と,それに対応するCm/Nn比の間で求めた回帰直線は,ほとんどが有意(P<0.05)であった。以上の結果から,本菌の大型分生胞子の形質は,培地のCm/Nn比に強く影響されることが考えられる。
  • V. 感染イネにおける透過性の変北
    河野 吉久, 渡辺 実, 細川 大二郎
    1981 年 47 巻 4 号 p. 555-561
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病の発病機構を明らかにする目的で,感受性および抵抗性の感染葉における透過性の変化を電解質および14C-同化産物の漏出量で調査した。
    1. 切断葉片実験系では,長さ6mmに切断した葉片を25C, 72時間,約108個/ml濃度の本病細菌浮遊液中で振とうし,蒸留水で洗浄後,さらに葉片を蒸留水中で25C, 4時間振とうして,この漏出液の伝導度を測定した。
    2. 葉片を蒸留水中で振とうした対照区と比較して,親和性細菌浮遊液で振とうした感受性葉片からの電解質漏出は2~3.5倍に増大したが,不親和性細菌浮遊液で振とうした抵抗性葉片では1.4倍の増加にとどまった。
    3. 加熱死菌(100C, 10分間),細菌浮遊液の遠心上清,またはクロラムフェニコール添加(最終濃度100μg/ml)細菌浮遊液による葉片の振とうでは電解質漏出の増大が認められなかった。これらの結果から,本病細菌の生細菌が透過性の増大を誘起することが推察された。
    4. 着生葉実験系では,本病細菌を針束接種後,経時的に電解質と14C-同化産物の漏出量を測定した結果,感受性葉では病徴出現期の直前から急激に透過性が増大したが,抵抗性葉では同時期以後にわずかな増加を示したのみであった。
  • 渡辺 恒雄
    1981 年 47 巻 4 号 p. 562-565
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 日比野 啓行, 土崎 常男, 斎藤 康夫
    1981 年 47 巻 4 号 p. 566-570
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 松尾 憲総, 松山 宣明, 脇本 哲
    1981 年 47 巻 4 号 p. 571-574
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 桑田 博隆, 島田 慶世, 千葉 順逸, 千葉 末作
    1981 年 47 巻 4 号 p. 575-576
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Watermelon grafted to bottle gourd stock showed sudden wilt symptom by the artificial inoculation of Fusarium oxysporum f. sp. lagenariae at the extremely low level of inoculum density, at which not only the bottle gourd seedlings but also the stems or roots of rootstock exhibited no marked symptom. The sudden wilt of the grafted watermelon was also brought about by the artificial inoculation of only a narrow part of root system of the grafted plants.
  • 小林 喜六, 近藤 則夫, 宇井 格生
    1981 年 47 巻 4 号 p. 577-580
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 宇杉 富雄, 斎藤 康夫
    1981 年 47 巻 4 号 p. 581-585
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 津田 盛也, 和気 徹, 多賀 正節, 上山 昭則
    1981 年 47 巻 4 号 p. 586-588
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 日比野 啓行, 土崎 常男, 斎藤 康夫
    1981 年 47 巻 4 号 p. 589-594
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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