Fusarium solani f. sp
phaseoli大型分生胞子の病原力,発芽,形態,微細構造,化学組成および酵素活性に及ぼす培地の炭素源,窒素源濃度あるいはC/N比の影響を解析した。
調査した14形質のうち, 11形質は炭素源濃度とC/N比の影響を受けた。すなわち,病原力,胞子長,マイクロボディの割合,全窒素含量,アルカリ性ホスファターゼ活性,カタラーゼ活性は,炭素源濃度とC/N比の増加に伴い減少する負の相関を示し, 50%発芽時間,胞子幅,脂質顆粒の割合, β-1, 3-グルカン含量,全炭素含量は炭素源濃度とC/N比の間に正の相関を示した。残りの3形質のうち,脂質含量はC/N比のみに影響され,正の相関を示し,液胞の割合と酸性ホスファターゼ活性は窒素源濃度に影響され,負の相関を示した。
このような影響を受ける大型分生胞子の各形質は,炭素,窒素量の関数であるC
m/N
n比と高い相関関係にあることが認められた。この指数m, nは各形質ごとに選定した値である。各形質と,それに対応するC
m/N
n比の間で求めた回帰直線は,ほとんどが有意(P<0.05)であった。以上の結果から,本菌の大型分生胞子の形質は,培地のC
m/N
n比に強く影響されることが考えられる。
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