日本植物病理学会報
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いもち病菌胞子及び菌糸からのプロトプラストの分離とその発芽形態に及ぼすいくつかの因子
浅井 智子奥野 哲郎松浦 一穂
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1986 年 52 巻 5 号 p. 843-849

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抄録
いもち病菌胞子からのプロトプラストはザイモリアーゼとβ-グルクロニダーゼを,また,菌糸からのプロトプラストはドリセラーゼとセルラーゼを用いることにより効率よく分離できた。胞子及び菌糸プロトプラストは細胞壁を再生後,直接菌糸復帰する場合とイースト様に出芽する場合が認められた。培養時のpHが高い(pH7.0)場合は液体中で大半のプロトプラストは直接菌糸復帰したが, pHが低い(pH5.0)場合は大半が出芽様発芽をした。pHが低い場合でも寒天中(1%以上)で培養すると直接菌糸復帰する細胞が増大した。カルコフロールホワイトで染色すると,細胞壁再生細胞と出芽様細胞の螢光強度は培養液のpHが高くなるに従って増大したが,復帰菌糸のそれはpHに影響されなかった。このことは細胞壁再生過程がpHにより影響を受けること,また,その結果,発芽形態の差となって表れる可能性を示唆している。
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