日本植物病理学会報
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土壌伝染性ひも状ウイルスの核酸および外被蛋白質の諸性質
宇杉 富雄柏崎 哲大村 敏博土崎 常男
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1989 年 55 巻 1 号 p. 26-31

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抄録

オオムギ縞萎縮ウイルス(BaYMV),コムギ縞萎縮ウイルス(WYMV), wheat spindle streak mosaic virus (WSSMV)およびoat mosaic virus (OMV)の核酸および外被蛋白質の諸性質を調べた。これらのウイルスはいずれも大小2種類(RNA-1, RNA-2)の一本鎖RNAを有していた。BaYMVおよびWYMVのRNA-1およびRNA-2はそれぞれ2.6×106, 1.5×106であり,WSSMVでは2.6×106, 1.4×106, OMVでは2.8×106, 1.8×106であった。BaYMV, WYMVおよびWSSMVは分子量33,000の,またOMVは分子量30,000の単一成分の外被蛋白質を有していた。土壌伝染性ひも状ウイルスが2成分の粒子より成り立ち,2種類の核酸を有していること,また,Polymyxa graminisによって伝搬されることはこれらのウイルスがpotyvirusとは明らかに異なっていることを示している。よってわれわれは土壌伝染性ひも状ウイルスを分類するためにBaYMVを代表とするbarley yellow mosaic virus group,すなわちbymovirus groupの新設を提案する。

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