日本植物病理学会報
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新しい病原型を示すイネ白葉枯病細菌レースとそれに対する判別品種,Te-tepの抵抗性遺伝子
野田 孝人大内 昭
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1989 年 55 巻 2 号 p. 201-207

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抄録
1985年,本邦産の被害標本から分離したイネ白葉枯病細菌を供試し,既往の判別体系にしたがってレースの判定を試みた。その結果,H8581およびH8584の2菌株が新たな反応型を示すことが判明した。判別品種の品種数を増やして,これら2株の病原性をさらに詳細に検討したところ,2株はIR24と密陽23号を除く金南風群15品種,早稲愛国群14品種およびJava群4品種に病原性を示した。Rantai Emas群14品種とIRRI 7品種には非病原性であり,黄玉群27品種は親和性および非親和性品種に二分されることが判明した。このような反応型は既知のいずれのレースにも該当しないので,この2株をレースVIIと呼称して既知レースとは区別することを提案する。レースVIIに対するイネ品種,Te-tepの抵抗性遺伝子分析を行った結果,Te-tepの抵抗性は二対の抵抗性遺伝子に支配されると判定された。その一つはレースIIに対する抵抗性遺伝子Xa-2と同じ遺伝子座,あるいはXa-2と密接に連鎖する遺伝子と想定されたが,今後の検討によってその詳細を明らかにしたい。他の一つはレースIに対する抵抗性遺伝子Xa-1およびXa-2とは独立の遺伝子と考えられ,Xa-16と呼称して区別するよう提案する。
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