日本植物病理学会報
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55 巻 , 2 号
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  • 本間 保男, 高橋 広治, 有本 裕
    1989 年 55 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ウンシュウミカンの樹上果の果梗部へD. citriを接種し,一定期間後に収穫して貯蔵すると,その後期に軸腐病の発生することを認めた。同様の方法で果梗部へ病原菌を接種した果実では,果梗および果梗基部内部に菌糸の進展することを認めたが,果盤から果盤下組織にかけてはある種の針状結晶が多量に分布し,このあたりには菌糸の存在はみられなかった。アセトン抽出を行って抗菌活性を調べた結果,粗結晶の4,620倍から462倍にかけて,菌糸の伸長を阻害したが,その範囲では高濃度ほど強く阻害した。幼果期の果梗基部には粗結晶は観察されなかったが,10月以降には多くが観察された。しかし貯蔵末期になるとそれがまったくみられなくなり,自己消費したものと考えられた。抗菌活性では砂じょう抽出液でも似た傾向がすでに認められている。同一と思われる結晶は果実内維管束系や葉にも存在し,とくに成葉に多く含まれていることが明らかとなった。
  • 百町 満朗, 角野 晶大, 本間 善久
    1989 年 55 巻 2 号 p. 140-147
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    各種処理によるRhizoctonia solani菌糸融合群第4群の正常株と異常株における異常の発現と消失を調べた。異常株を温度(40C∼60C)処理,薬剤(ストレプトマイシン・サルフェイト,オキシテトラサイクリン,クロラムフェニコール,シクロヘキシミド,臭化エチジウム,アクリフラビン)処理,菌糸先端部移植,菌糸片移植および単プロトプラスト分離したが,異常株から正常株が出現することはなかった。一方,正常株を単プロトプラスト分離すると,分離した344株のうち3株(0.9%)が,また,菌糸先端部移植すると,移植した544菌株のうち1株(0.2%)が異常を呈し,正常株から異常株の出現が認められた。このことは,異常因子が正常株中にすでに存在していることを示している。正常株を異常株の培養液と菌体破砕液に浸漬すると異常株が高率に出現したが,これらの液を,孔径0.45μmのメンブランフィルターで除菌すると異常株は出現しなかった。暗褐色の色素を産生して死滅する致死株が正常株と異常株の両者から出現したが,異常因子とは異なる致死因子の存在が示唆された。
  • 植草 秀敏, 菅沢 康雄, 寺岡 徹, 細川 大二郎, 渡辺 実
    1989 年 55 巻 2 号 p. 148-155
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリ子葉とタバコモザイクウイルス(TMV)の系に及ぼす各種薬剤の影響を調べた。Actinomycin D (3μg/ml)を接種直後または1日後に処理したとき,ELISAによる定量でTMV量は約8倍に増加した。しかし接種2日,3日後の処理では変化がなかった。Rifampicin (100μg/ml)においても1接種直後の処理によってTMV量は約3倍に増加した。しかし,これらの薬剤処理においてキュウリ緑斑モザイクウイルス(CGMMV)量にはほとんど影響が認められなかった。次いで,蛍光抗体法を用いてウイルスのキュウリ葉組織内の分布を調べた。TMVは表皮細胞といくつかの柵状組織細胞に局在していた。Actinomycin D処理によりTMVが増加した場合,TMVは水平,垂直両方向に拡がり,多くの柵状組織細胞と海綿状組織細胞,さらに裏面表皮細胞にも感染していた。以上の結果より,actinomycin Dの処理によるTMV量の増加は,ウイルスの局在化を妨げて感染部分を拡大するためであることが明らかとなった。
  • Henry NELSON, 白石 友紀, 奥 八郎
    1989 年 55 巻 2 号 p. 156-160
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    オオムギのうどんこ病抵抗性における表皮と葉肉の役割を調べるために,抵抗性を異にする品種の裏面表皮を剥離し他の品種の葉肉上に置いて交換して,うどんこ病菌を接種し,感染率を比較した。その結果,表皮が主として抵抗性を担っていて,葉肉は補助的な役割を果たしているようであった。また,葉肉には,うどんこ病菌の感染を誘導する因子も含まれているようである。
  • 高橋 英樹
    1989 年 55 巻 2 号 p. 161-169
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Radish enation mosaic virus (RMV)はcomovirusグループに属するが,このグループのウイルスの理化学的性状についての研究は,これまでタイプウイルスであるcowpea mosaic virus (CpMV)について行われてきた。そのためRMVなど他のウイルスの性状についての報告は少ない。そこで本研究では,RMVの核酸,外被タンパク質,遺伝子構成などについて解析を試みた。その結果,RMVは3種類の粒子を含み(T, MおよびB成分),MとB成分は分子量47kと18kダルトンの2種類の外被タンパク質からできていた。また,MとB成分はそれぞれ分子量2.0×106と1.6×106ダルトンの1本鎖RNAを含んでいたが,T成分はRNAを含んでいなかった。さらにこれらのRNAはpoly (A)配列を含んでいた。次に,これらウイルスRNAを,Zn2+を加えてプロテアーゼ活性を阻害した状態でin vitro translation,を行ったところ,B-RNAからは分子量200kダルトンのポリペプチドが合成されたのに対して,M-RNAからは分子量115kと105kダルトンの2種類のポリペプチドが合成された。さらに,これらのin vitro翻訳産物をZn2+を加えずにインキュベートしたところ,翻訳産物が切断され新たなポリペプチドを生じた。これらの結果より,RMVは,M-RNAおよびM-RNAのin vitro翻訳産物の分子量がCpMVのものと異なる以外は,理化学的性状や遺伝子発現様式がCpMVに類似していることが明らかになった。
  • 黒田 慶子
    1989 年 55 巻 2 号 p. 170-178
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    マツノザイセンチュウが侵入すると,マツ樹幹内では仮道管のキャビテーション(空洞化)が起こる。仮道管から水が排除されて通水阻害が進行し,マツは最終的に水不足で枯死するものと判断された。キャビテーションは,気体または蒸気が仮道管に充填して起こると推定されているが,その気体は外部から導入された大気ではなく,材内で生産される可能性が高い。キャビテーションの原因物質を明らかにするために,キャビテーション部位に含まれる気体の成分をガスクロマトグラフ法により分析した。線虫を接種して2週後の,キャビテーションが始まった直後のクロマツの材内では,モノテルペン,セスキテルペンの量が増加していた。健全木に比べてα-ピネンは2∼4倍,β-ピネンおよび数種のモノテルペンは2∼3倍,ロンジフォレンは約3倍であった。接種試料では,キャビテーションが起こっていない部位でもモノテルペンの量がすでに増加しており,テルペン合成の活性化はキャビテーションに先駆けて柔細胞内で起こるものと判断された。仮道管は夏期の水ストレスのために極度の負圧状態に置かれ,モノテルペンは柔細胞の壁孔から滲出すると,容易に気化するものと推定された。テルペン類は疎水性であるため,たとえ水ストレスが夜間に緩和されても,仮道管に水が再び入るのを阻害するであろう。これらの結果から,線虫の侵入により合成が促進された揮発性物質,モノテルペン,セスキテルペンは,蒸気として仮道管の水柱を切断し,キャビテーションを短期間にしかも広範囲に起こすのに,重要な役目を果たすものと判断した。
  • 高橋 義行, 亀谷 満朗, 匠原 監一郎
    1989 年 55 巻 2 号 p. 179-186
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    TMVのトマト系弱毒株(L11A)で免疫したマウスから常法によりハイブリドーマを作製し抗体産生細胞株を得た。このハイブリドーマの11株の培養上清および腹水を採集して,TMVのL11A,トマト系強毒株(L, CH2),普通系(OM),トウガラシ系(P),ワサビ系(W),キュウリ緑斑モザイクウイルス-キュウリ系(Cu)およびスイカ系(Wa)に対する反応特異性を2種類の間接ELISA,競合法EHSA,リングテスト,および寒天ゲル内二重拡散法を用いて解析した。この結果,11株中5株の抗体はトマト系(L11A, L, CH2)とのみ反応したが,L11Aとのみ反応する抗体は得られなかった。他の6株の抗体はトマト系の他に各ウイルス系統(OM, P, W, Cu等)とも反応した。このうちの1種(8C8)はCH2に対して反応が弱く,トマト系の中で抗原性に違いがある可能性が示唆された。また,この抗体はトマト系よりもPに対して強く反応するheterospecific抗体であった。また,L11Aとそのコート蛋白に対する反応特異性から11種のうち10種はウイルス粒子の4次構造を認識する抗体であり,他の1種(6F11)は粒子の表面に現れているコート蛋白質に存在するエピトープに対する抗体であった。以上の反応特異性の解析からトマト系には,少なくとも8個のエピトープが確認された。このなかにはウサギ抗血清ともっとも強く反応するエピトープが含まれていた。また,これらの抗体は力価1:2,560を示しウサギ抗血清と同等に使用でき,TMVのトマト系の検出のみならず他のtobamovirusの系統(OM, P, W, Cu)の検出も可能であった。
  • 細川 大二郎, 渡辺 実, 森 寛一
    1989 年 55 巻 2 号 p. 187-193
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    蛍光抗体法を用いてTMVに感染したタバコの葉の発達と葉内におけるウイルスの増殖・分布を調べ,モザイク葉内におけるウイルスの不均一な分布の生じる原因とモザイク症状の出現する機構とについて検討した。
    葉(葉原基)は生長点分裂組織の特異蛍光の認められない部位から発生し,生長の初期にはウイルスの増殖は認められなかった。葉原基の生長が進み維管束の分化が明瞭になったのちに,その篩部に最初にウイルスの増殖が認められた。ウイルスはそこからやがてlaminaへも拡がった。しかし,さらに葉の生長が進み中央脈,2次脈,3次脈が発達する段階になると,これらの葉脈の近傍に特異蛍光の認められない部位が生じ,これらの葉脈の脈間部ではウイルスが多量に増殖するようになった。さらに葉が生長し,モザイク症状が現れる段階になると,ウイルスの増殖の認められない葉脈近傍の部位は緑色部に,脈間部のウイルスの増殖した部位は黄色部へと発展した。また,3次脈より細い葉脈の近傍には特異蛍光の認められない部位は生じなかった。一方ウイルスの接種時にすでに組織分化の進んだ葉ではモザイク症状は現れないが,これらの葉ではウイルスが葉内全体に分布し,前記のように葉脈近傍に特異蛍光の認められない部位の生じることはなかった。これらの結果からモザイク葉緑色部の形成には葉脈近傍の組織分化が関連すると考られた。
  • 細川 大二郎, 渡辺 実, 森 寛一
    1989 年 55 巻 2 号 p. 194-200
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    蛍光抗体法を用いて,タバコモザイクウイルス(TMV)のNicotiana tabacum cv. Samsun NNの接種葉組織内における増殖・分布と局部病斑形成との関係をTMVが全身感染するN. tabacum cv. Samsunの場合とも比較しながら検討した。
    Samsun NNにおいてはウイルス抗原は接種24時間後に初めて認められた。この時期にはウイルス抗原が表皮,柵状組織とこれに接した少数の海綿状組織の細胞に分布した。その後ウイルス抗原は葉の水平方向と垂直方向に拡がり,接種32時間後には下側表皮にまで達した。またこの間にウイルスの増殖部位の篩部細胞でもウイルスの増殖が認められ,篩部を経由するウイルスの遠隔部への移行が局部病斑が形成される前にすでに始まりつつあるように思われた。接種36時間後になるとウイルスの増殖した部位の中央部附近の柵状組織に接した海綿状組織の少数の細胞にえ死が起こり,その後細胞のえ死は海綿状組織の他の細胞に急速に拡がり,続いて柵状組織の細胞から表皮の細胞へと及んだ。接種44∼48時間後にはウイルスの増殖した部位のほとんどの細胞がえ死を起こし,局部病斑が形成された。しかし局部病斑が形成されたのちにおいても,その周縁には特異蛍光が認められてもえ死を起こしていない細胞が少数存在し,ウイルスはこれらの細胞からさらに周囲の細胞へ移行,増殖を続け,これらの細胞もやがて内側からえ死を起こすため局部病斑はゆっくり拡大した。接種60時間後にはこの局部病斑周縁部の特異蛍光は認められなくなり,病斑の周縁には強い紫色の自家蛍光を発する物質が集積した。
    一方,Samsunの葉組織内におけるTMV抗原の分布経過はSamsun NNで細胞え死が始まる接種36時間後までは,Samsun NNのそれと同様であった。しかし,Samsunではその後もウイルスは組織内にさらに広く分布し,細胞内の特異蛍光の輝度も高まった。
  • 野田 孝人, 大内 昭
    1989 年 55 巻 2 号 p. 201-207
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1985年,本邦産の被害標本から分離したイネ白葉枯病細菌を供試し,既往の判別体系にしたがってレースの判定を試みた。その結果,H8581およびH8584の2菌株が新たな反応型を示すことが判明した。判別品種の品種数を増やして,これら2株の病原性をさらに詳細に検討したところ,2株はIR24と密陽23号を除く金南風群15品種,早稲愛国群14品種およびJava群4品種に病原性を示した。Rantai Emas群14品種とIRRI 7品種には非病原性であり,黄玉群27品種は親和性および非親和性品種に二分されることが判明した。このような反応型は既知のいずれのレースにも該当しないので,この2株をレースVIIと呼称して既知レースとは区別することを提案する。レースVIIに対するイネ品種,Te-tepの抵抗性遺伝子分析を行った結果,Te-tepの抵抗性は二対の抵抗性遺伝子に支配されると判定された。その一つはレースIIに対する抵抗性遺伝子Xa-2と同じ遺伝子座,あるいはXa-2と密接に連鎖する遺伝子と想定されたが,今後の検討によってその詳細を明らかにしたい。他の一つはレースIに対する抵抗性遺伝子Xa-1およびXa-2とは独立の遺伝子と考えられ,Xa-16と呼称して区別するよう提案する。
  • 野田 千代一, 井上 成信
    1989 年 55 巻 2 号 p. 208-215
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1986年に岡山県倉敷市玉島で,葉に明瞭なモザイク斑と灰白色のえそ斑とを示す観賞用のアリウム属のAllium ampeloprasunからpotyvirusが分離された。本ウイルスはモモアカアブラムシおよびワタアブラムシで非永続的に伝搬された。汁液接種が容易で,供試した13科46種の植物のうちA. giganteumに全身感染して軽いモザイク症状を生じ,Chenopodium quinoaC. amaranticolorとに局部感染,またホウレンソウに無病徴全身感染,センニチコウに無病徴局部感染したが,ネギとタマネギには感染しなかった。不活化温度は50∼55C (10分),希釈限界は10-3∼10-4,保存期限は4∼8日であった。DN法観察によると,本ウイルスは多くのpotyvirusよりやや長い820nmの屈曲したひも状であった。0.5Mリン酸緩衝液で磨砕後,クロロホルム-四塩化炭素で清澄化,PEGでの濃縮,クッション遠心分離およびショ糖密度勾配遠心分離を採用することで純化を行った。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動による外被タンパク質の分析では分子量36,500ダルトンの1本のバンドが認められた。感染植物葉の超薄切片像には,細胞質内に散在または集塊するウイルス粒子とpinwheel, scroll, short curved laminated aggregateなどの細胞質内封入体が多数認められた。免疫電顕法によると,本ウイルスはbean yellow mosaic virus, clover yellow vein virus, freesia mosaic virus, iris mild mosaic virus, iris severe mosaic virus, potato virus Y, narcissus yellow streak virus, onion yellow dwarf virus, turnip mosaic virusの各抗血清とは反応せず,オランダのD.Z. Maat氏より分譲されたleek yellow stripe virus抗血清とのみ反応した。以上の結果から,本ウイルスはleek yellow stripe virus (LYSV)と同定された。
  • 国永 史朗, 横沢 菱三
    1989 年 55 巻 2 号 p. 216-223
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Fusarium oxysporumの分化型間の遺伝的類縁性を検討するため,DNA-DNA再会合反応速度解析に基づきDNA塩基配列の相同性を比較した。その結果,同一分化型間では高い相同性(95%以上)を示したが,異なる分化型間では63∼86%の相同性であった。アブラナ科あるいはウリ科植物にそれぞれ病原性を示す分化型の間では,90∼95%と比較的高い値を示した。F. oxysporumF. solaniの分化型間でに36∼48%の相同性であった。以上の結果から,F. oxysporumの分化型は遺伝的に分化した種内群であると考えられた。DNA-DNA再会合反応速度解析の手法は,F. oxysporumの分化型の識別に利用できることが確認された。
  • 田部井 英夫, 畔上 耕児, 福田 徳治, 後藤 孝雄
    1989 年 55 巻 2 号 p. 224-228
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The causal bacterium of rice grain rot entered to the lemmata and paleae through the stomata, and multiplied in the intercellular spaces of the parenchyma. Stomata are mainly opened on the inner surfaces of lemmata and paleae, a few on outer surfaces of lemmata and they are connected each others through the intercellular space of parenchyma. The bacteria multiplied on the surface of albumen and embryo, but never invaded them.
  • 小坂 能尚, 花田 薫, 福西 務, 栃原 比呂志
    1989 年 55 巻 2 号 p. 229-232
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1984年,京都農総研のほ場でトマト(豊竜)の茎葉・果実に激しいえそ条斑やえそ斑点を現したのち,ほとんどの株が枯死する病害が発生した。この病株から分離されたキュウリモザイクウイルス(CMV)をトマト14品種の幼苗に接種したところ,全品種にえそ症状が現れ,発病株はすべて枯死した。ナス,ピーマン,タバコではえそ症状を示さず,モザイク症状のみが認められた。本CMVの血清型はY型で,核酸にはサテライトRNA (SATR)を含んでいた。電気泳動で分離したSATRをトマトにえそ症状を示さない他のCMV (CMV-C)のRNAとともにトマト(福寿2号)に接種したところ,えそ症状が再現された。本SATRは北海道でトマトえそ症状株CMV-P(n)から分離されたSATR(吉田ら,1985)とは7.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で異なる泳動度を示したことから,わが国で未報告のSATRと考えられた。
  • 高松 進
    1989 年 55 巻 2 号 p. 233-237
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1983年に福井県内のオオムギおよびコムギ畑において既知の雪腐病とは異なる雪腐症状の発生を認めた。融雪直後の茎葉は暗緑色に腐敗しており,乾くと灰白色ないし黄白色になる。生き残った葉には楕円形の病斑が形成される。病斑の周囲には明瞭な褐色のふちどりがあり,中央部に灰白色ないし淡褐色の菌糸塊が見られる。菌糸融合などの諸性質を検討した結果,病原菌はムギ類の株腐病をおこすCeratobasidium gramineum Oniki, Ogoshi et Araki (Syn. Corticium gramineum Ikata et T. Matsuura)と同一種であることが明らかになった。
  • 繁本 令子, 奥野 哲郎, 松浦 一穂
    1989 年 55 巻 2 号 p. 238-241
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ紋枯病菌および数種菌核病菌には細胞壁画分にトレハラーゼが存在した。そしてバリダマイシンA (VM-A)はこれらすべてのトレハラーゼ活性を阻害した。また,VM-Aのトレハラーゼに対する50%活性阻害濃度はそれぞれ3.4×10-6Mから1.8×10-5Mであった。Lineweaver-Burkの逆数プロットよりトレハラーゼに対するVM-Aの阻害形式を調べると拮抗型であった。これらの結果より,イネ数種菌核病菌に対するVM-Aの効果は紋枯病菌の場合と同じくトレハラーゼ活性阻害によるものと考えられる。
  • 鍵渡 徳次, 夏秋 啓子, 藤井 溥, 向 秀夫
    1989 年 55 巻 2 号 p. 242-244
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Bacterial blight of lilac (Syringa vulgaris L.) was found in Nagano Pref., Japan. The disease first appears on shoot as water-soaked small spot. Those spots rapidly enlarge in size and become sunken, blackish and elliptical lesions. The lesions usually elongate longitudinally to form irregular-shaped stripes. Affected young shoots bend over at the lesions, wither and often die. The pathogenic bacterial isolates were identified as Pseudomonas syringae pv. syringae van Hall 1902 from the results of pathogenicity and bateriological tests.
  • 大木 理, 吉川 信幸, 井上 成信, 井上 忠男
    1989 年 55 巻 2 号 p. 245-249
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Closterovirusに比べて粒子長はやや短いが粒子形状がよく似ているリンゴクロロティックリーフスポットウイルス(ACLSV),リンゴステムグルービングウイルス,カンキツタターリーフウイルスの3種について,それぞれを単独に感染させたC. quinoa葉組織切片中でのウイルス粒子の分布様式,内部病徴を電顕観察した。これら3種のひも状ウイルスはいずれも篩部細胞だけでなく葉肉組織の柔細胞の細胞質中に散在して,あるいは集塊として観察され,顕著な篩部壊死やclosterovirusに特徴的な小胞構造は認められなかった。したがって,これら3種のウイルスはclosterovirusとは区別して分類するのが適当と考えられた。なお,ACLSVは感染細胞中の粒子密度が格段に高く,平行四辺形状の結晶として観察される点など,他の2種とはやや異なる所見を示した。
  • 梅本 清作, 村田 明夫, 長井 雄治
    1989 年 55 巻 2 号 p. 250-253
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Occurrence of Japanese pear rust on Japanese pear trees planted in the flat and extensive rice field (about 5km×4km) was generally severe in the area within 100m away from the infected trees of Chinese juniper as rust inoculum and gradually decreased with increase of distance up to 1, 500m. Under the climatically satisfactory condition to dispersal of sporidia such as heavy rainfall and strong wind, the trees planted within 1, 000m were rather severely diseased. The following relationships were detected between the distance of sporidial dispersal (x) and the percentage of diseased leaves (Y):Y=124.297e-0.002x in 1977, and Y=54.361e-0.002x in 1979. Therefore, it is concluded that the distance of sporidial dispersal for practical control may be about 1, 500m.
  • 西尾 健, 川合 昭, 高橋 勤, 難波 成任, 山下 修一
    1989 年 55 巻 2 号 p. 254-258
    発行日: 1989/04/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Citrus tatter leaf virus (CTLV) was purified by molecular permeation chromatography on controlled pore glass beads after preliminary partial purification from infected leaves of Chenopodium quinoa. CTLV had very flexuous filamentous particles 600 to 650nm long and 13nm wide. In uranyl acetate, the particles were constructed with a pitch of 3.4nm and showed two types of fine structure, cross-banding and criss-cross pattern. The virus had a single RNA species with a mol. wt. of 2.83×106 and produced a single protein band (mol. wt. 27, 000) in SDS-PAGE. CTLV showed a serological relationship to apple stem grooving virus which is a member of the capillovirus group. These findings suggest that CTLV is a capillovirus.
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