日本植物病理学会報
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リンゴクロロティックリーフスポットウイルス,リンゴステムグルービングウイルス,ならびにカンキツタターリーフウイルス感染Chenopodium quinoa葉組織の比較電子顕微鏡観察
大木 理吉川 信幸井上 成信井上 忠男
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1989 年 55 巻 2 号 p. 245-249

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抄録
Closterovirusに比べて粒子長はやや短いが粒子形状がよく似ているリンゴクロロティックリーフスポットウイルス(ACLSV),リンゴステムグルービングウイルス,カンキツタターリーフウイルスの3種について,それぞれを単独に感染させたC. quinoa葉組織切片中でのウイルス粒子の分布様式,内部病徴を電顕観察した。これら3種のひも状ウイルスはいずれも篩部細胞だけでなく葉肉組織の柔細胞の細胞質中に散在して,あるいは集塊として観察され,顕著な篩部壊死やclosterovirusに特徴的な小胞構造は認められなかった。したがって,これら3種のウイルスはclosterovirusとは区別して分類するのが適当と考えられた。なお,ACLSVは感染細胞中の粒子密度が格段に高く,平行四辺形状の結晶として観察される点など,他の2種とはやや異なる所見を示した。
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