抄録
GFV保毒のブドウ‘セントジョージ’において,萌芽処理と温度処理をふくむ50日後までの間にファンリーフの既知の葉の病徴(葉柄裂刻が開く症状,葉縁の小歯突起の尖鋭化,葉身の扇状化)はほとんど現れなかった。この間に葉の中裂片先端だけがとくに尖鋭化した。その結果からこの尖鋭率が2.6以上,すなわち,先端の角度が42.4°以下であることが罹病の判定に使えることが明らかになった。これを用いた本病診断法を考案した。すなわち,42.4°のV字型を書いたルーペを用いて中裂片先端の角度がこのV字より細いかどうかを調べる。新梢の基から第4位以上の成葉で,連続した3枚がこの条件に合えば,罹病と診断する。本症状の発現と温度との関係では28/23Cの方が20/17Cよりも早いことがわかった。1週間の萌芽処理後に28/23C下で本症状を指標にすると1∼2ヵ月で確実に診断可能であることが明らかになった。