日本植物病理学会報
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複合モノクローナル抗体を用いたワサビ系タバコモザイクウイルスの検出
高橋 義行匠原 監一郎
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1990 年 56 巻 5 号 p. 621-627

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抄録
ワサビ系タバコモザイクウイルス(TMV-W)を免疫して得た6種のモノクローナル抗体(TW-MABs)および血清関係のあるトマト系(TMV-L11A)を免疫して得た3種(TL-MABs),計9種のMABsを用いてTMV-Wに対する反応特異性を調べた。9種のMABsのうち3種はTMV-Wとのみ反応し,他の6種はアブラナ科系(TMV-C)とも反応した。またTMV-W粒子表面上に少なくとも7個のエピトープが確認され,粒子内部のエピトープに反応するMABも得られた。MABsをELISA法(二重抗体法)を用いた実用検定に利用するため,異なるエピトープを認識する4種のTW-MABsと1種のTL-MABを供試し,おのおのを組み合わせた複合抗体でコーティングIgを調製した。またコンジュゲートは,4種のTW-MABsを複合してELISA法に供試した。種々のMABsの組合せのなかで競合しないMABsを複合した抗体を用いた場合に,ウサギ抗血清と同等の感度で罹病植物からTMV-Wを検出することができた。さらにMABsの複合抗体を用いることによって抗血清では識別できないTMV-WとTMV-Cを識別することが可能であった。
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