日本植物病理学会報
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生物的および化学的誘導因子によるキュウリ葉におけるべと病抵抗性誘導と抵抗性特異的酸可溶性タンパク質の検出
奥野 哲郎中山 政治岡島 伸之古沢 巌
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1991 年 57 巻 2 号 p. 203-211

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抄録
キュウリ(一葉期)にサリチル酸(SA), 7-methoxycarbonylbenzo-1,2,3-thiadiazolあるいはエテフォンを茎葉散布し,数日後に,第一葉と第二葉にキュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)の遊走子嚢懸濁液を接種すると,その病斑面積は無処理の50%以下に減少した。しかし,処理2∼24時間後の接種では,処理による病斑面積の減少はほとんど認められなかった。また,キュウリ子葉にべと病菌を前接種し,数日後にその上位葉にべと病菌を接種すると病斑面積は子葉無接種の50%以下に減少した。抵抗性は子葉接種3日後に子葉を切除した植物の上位葉にも顕著に認められた。化合物処理および子葉前接種による抵抗性誘導は第一葉よりも第二葉において顕著に認められた。本実験に用いた生物的および化学的誘導因子は細胞壁成分にキチンを含まないべと病菌に対してもキュウリにおいて抵抗性を誘導することが明らかになった。一方,酸可溶性タンパク質を抽出し,ポリアクリルアミド電気泳動で分析すると,SA処理および子葉接種によりいくつかのタンパク質が抵抗性誘導と相関して処理葉およびその上位葉に認められた。
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