日本植物病理学会報
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57 巻 , 2 号
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  • 對馬 誠也, 茂木 静夫, 内藤 秀樹, 斉藤 初雄
    1991 年 57 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネもみ枯細菌病菌はイネ葉身では接種,湿室保持直後わずかに検出されただけであったが,イネ葉鞘から長期間検出された。下位葉葉鞘から上位葉葉鞘への病原細菌の移行を調べるため,出穂期22日前に病原細菌懸濁液を噴霧接種した結果,接種葉鞘,その上位葉鞘(接種時未抽出)および止葉葉鞘から病原細菌が検出された。検出された菌量は接種葉鞘,その上位葉鞘(接種時未抽出)では接種濃度に関係なく,生重1g当り約106cfuであったが,止葉葉鞘では生重1g当り約103cfu検出されただけであった。1株内の葉鞘ごとの病原細菌の分布様式を調べるため,6葉期のイネに接種した結果,出穂期13日前の最上位展開葉葉鞘からは供試した2株の14葉鞘中13葉鞘から病原細菌が検出された。出穂期2日前では,止葉の3葉下位に当たる全供試葉鞘から病原細菌が検出されたが,同一茎の止葉葉鞘では9葉鞘中2葉鞘のみから病原細菌が検出され,菌が検出された2茎の止葉葉鞘のうち1茎の葉鞘内の穂からも菌が検出された。葉鞘から検出される病原細菌量は各葉鞘毎に異なり,最大で生重1g当り約106cfuであり,それらは対数正規分布していることが示唆された。出穂期41日前に病原細菌を噴霧接種した結果,107cfu/ml濃度接種区では接種後出穂期までの全生育期間を通じて,最上位展開葉の葉鞘から菌が検出されたが,接種濃度が低くなるほど検出頻度は低下し,発病度では103cfu/ml接種区では著しく低く,出穂期41日前の病原細菌濃度が上位葉鞘への菌の移行に影響していることが示唆された。以上から,本病原細菌は葉鞘に長期間生存し,その病原細菌が本病の伝染源としてきわめて重要であることが考えられる。
  • 和田 拓雄, 久津間 誠一, 竹中 允章, 広田 洋二郎
    1991 年 57 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ペフラゾエートは子のう菌類,担子菌類および不完全菌類に属する広範囲の植物病原菌に対して高い抗菌性を示したが,藻菌類に対する活性は劣った。イネばか苗病菌,ごま葉枯病菌およびいもち病菌分生胞子に対する発芽阻止力は弱いが,発芽管の伸長抑制,膨潤化,異常分岐などの形態異常を低濃度(0.1∼1μg/ml)でひき起こした。ペフラゾエートを処理したばか苗病菌の脂質をガスクロマトグラフィーにより分析したところ,無処理に比べ24-メチレンジヒドロラノステロール,オブッシホリオールなどステロール骨格C-14位の脱メチル化していないステロールの顕著な増加が認められた。このことからペフラゾエートは,エルゴステロールの正常な生合成経路,すなわち24-メチレンジヒドロラノステロールから4.4-ジメチルフェコステロールへの脱メチル化反応を阻害していると推定された。ペフラゾエートはイネばか苗病菌のジベレリン産生抑制作用も有しており,イネばか苗病をはじめとする種子消毒剤として優れた特徴を具備していると考えられた。
  • 高橋 賢司
    1991 年 57 巻 2 号 p. 160-164
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    2種類の蛍光色素で染め分けたアブラナ科野菜根こぶ病菌休眠胞子の染色性がその病原活性と相関することはすでに報告している。今回,この染色性と発芽との相関関係について検討した。休眠胞子懸濁液にカブの根を浸漬し(根浸漬区)または浸漬しない(根非浸漬区)で10日間,25°Cで培養した。休眠胞子懸濁液を経時的に,カルコフルオール・ホワイトM2Rと臭化エチジウムの蛍光色素混合液で染色後に蛍光顕微鏡で観察し胞子の染色性,またオルセインで染色後に微分干渉顕微鏡で観察し胞子の発芽について調べた。内部が赤く染色された胞子(赤染胞子)の割合は根非浸漬区ではほとんど増加しなかったが,根浸漬区では培養日数の経過とともに5日後まで顕著に増加した後ほぼ一定となった。一方,空殻胞子の割合は根非浸漬区ではわずかな増加にとどまったが,根浸漬区では培養7日後まで顕著に増加した後ほぼ一定となった。赤染胞子率と空殻胞子率との間には,根浸漬区において高い正の相関が得られた。この結果,休眠胞子を2種類の蛍光色素で染め分け染色性を調べる方法で,休眠胞子の発芽すなわち活性を評価できることが明らかとなった。この方法は,土壌中における休眠胞子の発芽検定法としての利用が期待される。
  • 小泉 信三, 加藤 肇, 吉野 嶺一, 林 長生, 一戸 正勝
    1991 年 57 巻 2 号 p. 165-173
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1979∼87年に全国202地点で採集したムギ類の粒あるいは赤かび病類似症の穂からFusarium菌を分離・同定した。これらと国立衛生試験所保存のムギ類粒から分離されたFusarium菌を開花盛期のコムギ穂に噴霧接種した。5種(F. roseumの6cultivarを含む)273菌株のうちコムギ穂に赤かび病症状を呈したのはF. roseum ‘Graminearum’, ‘Avenaceum’, ‘Culmorum’, ‘Acuminatum’, F. nivaleおよびF. tricinctumであった。ただし,F. tricinctumのうち,Booth (1971)の分類により細分されるF. sporotrichioidesF. tricinctumには病原性のあるものが存在した。コムギ穂に病原性を示す‘Graminearum’は全国各地に分布したが,‘Avenaceum’は北海道と山口県,‘Culmorum’は北海道と岩手県の試料のみから分離された。また,病原性のある‘Acuminatum’は東北・北陸・関東・四国,F. nivaleは北海道・北陸,F. tricinctumは北海道・東北・北陸・四国におのおの分布した。本研究により本病病原菌としてわが国では既知のF. roseum ‘Graminearum’, ‘Avenaceum’の他にF. nivale, F. roseum ‘Culmorum’が存在し,F. roseum ‘Acuminatum’, F. tricinctumも本病病原菌となりうることが明らかとなった。
  • 一谷 多喜郎, 樫本 紀博, 福西 務
    1991 年 57 巻 2 号 p. 174-179
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pythium ultimum Trow var. ultimum, P. irregulare Buisman, P. spinosum Sawadaによる本邦未報告のチューリップ根腐病の発生を認めた。このうちのP. irregulareP. spinosumについては,チューリップの根腐病菌として世界で最初の報告である。これらの菌の分離頻度,病原性および感染時期を調べ,P. ultimum var. ultimumは最も重要な病原菌であり,次にP. irregulareであって,P. spinosumはあまり重要でないと結論した。
  • 對馬 誠也, 内藤 秀樹
    1991 年 57 巻 2 号 p. 180-187
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    自然発病条件下の3圃場(A圃場:中発生;B, C圃場:少発生)において,イネもみ枯細菌病の発生経過を森下のIB指数を用い調査した。発病度2以上の発病株の分布について検討した結果,出穂期1週間後ではA圃場のみが集中分布を示したが,出穂期2週間後では3圃場とも同様のIB曲線を描き,小集団をもつ集中分布を示した。出穂期3週間後では,B, C圃場で小集団をもつ集中分布を示したが,A圃場では病勢が著しく拡大し,大集団をもつ集中分布を示した。発病株が集中した箇所の中心部には重症穂(発病籾率30%以上)をもつ株が観察され,重症穂が周辺株の発病に関与していることが示唆された。そこで,圃場試験により出穂期および出穂期1週間後に発病度の異なるイネ株を設置し,出穂期3週間後に設置株周辺イネ株の発病を調べた。その結果,設置した発病株に近い株ほど発病度が高くなり,設置した発病株が周辺株の発病を引き起こしていることが明らかとなった。また設置株が同一発病度の区では早い時期に設置した区ほど,また設置時期が同一の区では発病度の高い株を設置した区ほど周辺株の発病度が顕著に高かった。自然発生圃場から,発病程度の異なる穂を採取し,発病穂の洗浄液からS-PG培地を用い経時的に病原細菌を検出した結果,発病籾率が高い穂ほど病原細菌量が顕著に多かった。この結果は,発病籾率の高い穂ほど伝染源として果たす役割が大きいことを裏づけるものと考えられた。
  • 梅本 清作
    1991 年 57 巻 2 号 p. 188-195
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ニホンナシ黒星病菌のりん片への感染機構を検討した。長十郎のえき花芽の内側と外側半芽当りのりん片上の分生子数は,えき花芽の採取時期,枝に対する着生位置にかかわらず差は認められなかった。幸水および長十郎では長果枝の下部または左側部に位置するえき花芽の発病率が高く,さらに豊水を加えた3品種とも芽の内側の発病率が高かった。自然降雨を遮断した長十郎のえき花芽に分生子の接種を行っても発病がまったく認められなかったが,自然降雨下で接種を行った場合には多発した。走査電子顕微鏡観察により,りん片上の分生子は,露出りん片生組織部分で高率に発芽し,侵入していることが明らかになった。また,芽の種類別露出りん片生組織部分数は,豊水,幸水および長十郎のえき花芽において多く,また,保有率は顕著に高かった。これらの結果と発病実態とはよく一致した。また,すでに秋雨時に枝を流下する雨水中には多数の分生子が含まれていることが明らかにされている。以上の結果から,黒星病菌のりん片への感染機構は,秋雨時に枝を流下する雨水中に含まれている分生子の中で,露出りん片生組織部分に付着したものが,かなり長時間の水湿の存在下で発芽,侵入し感染が成立するものと考えられた。
  • 土屋 健一, 高橋 義行, 匠原 監一郎, 本間 善久, 鈴井 孝仁
    1991 年 57 巻 2 号 p. 196-202
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    土壌中からP. cepaciaを特異的かつ高感度に検出する目的で同細菌RB425株の生菌(L)およびグルタルアルデヒド固定菌(F)に対してそれぞれ作製したウサギ抗血清を用いて,6種類のELISA法(直接法および間接法それぞれ3種)を行い,それらの精度を比較検討した。細菌細胞を0.05M炭酸緩衝液(pH 9.6)によりELISA用プレートに直接吸着させる処理(37°C, 2時間または4°C, 1晩)で,アルカリホスファターゼ標識抗体を用いた直接法,およびアビジン・ビオチン反応を利用した間接法(ABCエライザ法)のいずれの手法でも約104cfu/mlまで高感度に検出できた。反応特異性ではF-抗体コンジュゲートを用いた直接法で優れ,供試した9属38種151菌株の細菌のうちP. cepacia 22菌株のみが陽性であったのに対し,間接法では近縁種菌との反応が認められた。前者を用いて,本菌とErwinia carotovora subsp. carotovoraまたはP. solanacearumをそれぞれ約105∼109cfu/g土で混合接種した3種の土壌(黒ぼく,砂質,黄色土)試料から本菌は104cfu/g土以下まで検出可能であった。さらに,同試料を100°Cで15分熱処理することにより本菌の検出感度(410nmにおける吸光度)および検出精度ともに増幅されることが明らかになり,約102cfu/g土濃度でも検出可能であった。
  • 奥野 哲郎, 中山 政治, 岡島 伸之, 古沢 巌
    1991 年 57 巻 2 号 p. 203-211
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリ(一葉期)にサリチル酸(SA), 7-methoxycarbonylbenzo-1,2,3-thiadiazolあるいはエテフォンを茎葉散布し,数日後に,第一葉と第二葉にキュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)の遊走子嚢懸濁液を接種すると,その病斑面積は無処理の50%以下に減少した。しかし,処理2∼24時間後の接種では,処理による病斑面積の減少はほとんど認められなかった。また,キュウリ子葉にべと病菌を前接種し,数日後にその上位葉にべと病菌を接種すると病斑面積は子葉無接種の50%以下に減少した。抵抗性は子葉接種3日後に子葉を切除した植物の上位葉にも顕著に認められた。化合物処理および子葉前接種による抵抗性誘導は第一葉よりも第二葉において顕著に認められた。本実験に用いた生物的および化学的誘導因子は細胞壁成分にキチンを含まないべと病菌に対してもキュウリにおいて抵抗性を誘導することが明らかになった。一方,酸可溶性タンパク質を抽出し,ポリアクリルアミド電気泳動で分析すると,SA処理および子葉接種によりいくつかのタンパク質が抵抗性誘導と相関して処理葉およびその上位葉に認められた。
  • 梅本 清作
    1991 年 57 巻 2 号 p. 212-218
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ニホンナシ黒星病菌分生子をナシ葉へ接種した後の葉の濡れ時間および温度と発病程度との関係について検討した。9時間濡れ状態に保持した場合,15°Cでわずかに発病し,12時間以上では5∼25°Cで発病し,20°Cで最も多発したが15°Cもそれに近い発病であった。一方,30°Cでは36時間濡れ状態に保持した場合および5∼25°Cで6時間以内の濡れ保持時間では発病しなかった。これらの結果は,Millsがリンゴ黒星病で得た結果と酷似し,素寒天培地上における温度別分生子および子のう胞子の発芽状況および20°Cで濡れ状態に保持した場合のナシ葉上における分生子の発芽・侵入行動ともよく一致した。また,分生子と子のう胞子のナシ葉に対する病原性はほぼ同一であることが確認されたので,以上の結果は子のう胞子による感染場面にも適用できると考えられた。
  • 王 志偉, 柳田 理恵子, 土屋 健一, 松山 宣明, 脇本 哲
    1991 年 57 巻 2 号 p. 219-224
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネもみ枯細菌病菌(Pseudomonas glumae)はイネにもみ枯および幼苗腐敗の症状を起こし,ジャガイモ塊茎切片を腐敗させ,また数種の重要植物病原細菌に対して抗菌活性を有することが知られている。その1菌株Kyu82-34-2は各種培地で水溶性の黄緑色素を産生する。本菌をニトロソグアニジン処理することによって得られた変異株中には色素産生性を喪失した株が高い頻度で出現したので,これらの変異株を供試して,色素産生能と病原性およびその他の性質との関連性を検討した。その結果,色素産生性変異株はすべてイネ幼苗腐敗能を有し,供試植物病原細菌に対して広い抗菌スペクトラムと強い抗菌活性を示した。色素非産生性変異株では,イネ幼苗腐敗能が完全に喪失,または顕著に低下しており,本菌の色素産生性とイネ幼苗に対する病原性および抗菌活性との間に関連性が認められた。しかし,色素産生性とジャガイモ塊茎腐敗能との間には密接な関連性が認められなかった。
  • 小林 喜六, 山本 英樹, 根岸 秀明, 生越 明
    1991 年 57 巻 2 号 p. 225-231
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アズキおよびダイズから分離されたPhialophora gregata 13菌株を用いて,アズキ,ダイズ,リョクトウインゲンおよびササゲに対する病原性を浸根接種法ならび土壌接種法により調べた。その結果,アズキ分離菌株はアズキおよびリョクトウに病原性を示したのに対し,ダイズ分離菌株はダイズおよびリョクトウに病原性を示した。以上,両菌のアズキ,ダイズに対する病原性の相違に基づき,両菌が遺伝的に分化しているとするこれまでの報告を考え合わせて,アズキ落葉病菌に対してはP. gregata f. sp. adzukicola,ダイズ落葉病菌に対してはP. gregata f. sp. sojaeなる分化型を提案する。
  • Siti Muslimah WIDYASTUTI, 野中 福次, 渡辺 敬介, 丸山 英子, 佐古 宣道
    1991 年 57 巻 2 号 p. 232-238
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    シャリンバイの葉にシャリンバイ白斑病菌およびビワごま色斑点病菌の胞子を接種すると,ファイトアレキシンの1種が生成され,これは新規の4'-methoxyaucuparinであることが確認された。この4'-methoxyaucuparinはまた,10-3M NaN3およびHgCl2をエリシターとして用いても生成されたが,10-3M HgCl2による生成量が最も多く,生重1g当り4.385μgであった。4'-methoxyaucuparinの抗菌性について検討した結果,シャリンバイの病原菌である白斑病菌よりも非病原菌を強く阻害した。
  • 津田 新哉, 夏秋 啓子, 都丸 敬一
    1991 年 57 巻 2 号 p. 239-246
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1983年,岩手県盛岡市のタバコから分離されたウイルスは,トマト,タバコ,Nicotiana benthamiana,ペチュニアおよびササゲなどの植物への汁液接種の結果および電子顕微鏡観察によってトマト黄化えそウイルス(TSWV)と確認された。ショ糖密度勾配遠心法を用いて本ウイルスの精製を試みた。はじめに,感染葉からのウイルスの抽出を目的として,7種類の磨砕用緩衝液を検討した結果,0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.0, 0.01M亜硫酸ナトリウムと0.01M EDTAを含む)は,タバコ葉を用いた半葉法による感染価の検定によって適当と考えられた。40.0% (w/w)ショ糖濃度を階段状とした段階ショ糖平衡密度勾配遠心法を行った結果,宿主植物由来の物質のピークとTSWV感染性のピークとは分離され,TSWV感染性の最大値を示す分画には,電子顕微鏡観察でTSWV粒子が多数観察された。精製各過程における比感染価は,精製の進行に伴って増大し,第一段階の感染価に対して最終的にはOD260値で約44倍,OD280値では約46倍となった。
  • 霜村 典宏, 尾谷 浩, 田平 弘基, 児玉 基一朗, 甲元 啓介
    1991 年 57 巻 2 号 p. 247-255
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴ斑点落葉病菌が生成するAM毒素は宿主細胞の細胞膜と葉緑体の2ヵ所に初期作用を示し,それぞれ電解質異常漏出と明下CO2固定阻害を誘起する。AM毒素Iは,感受性リンゴ葉には10-8Mの低濃度まで電解質異常漏出や明下CO2固定阻害を引き起こし,壊死斑を形成した。一方,中程度抵抗性リンゴやナシ葉では,電解質の異常漏出と壊死斑形成は10-5Mの毒素濃度で誘起されたが,明下CO2固定阻害は,10-7∼10-6Mの濃度でも認められた。さらに,10-6∼10-5Mの毒素で処理した抵抗性や非宿主葉では,電解質の異常漏出や壊死斑形成は誘起されなかったが,CO2固定阻害が認められた。また,感受性や中程度抵抗性葉では,電解質異常漏出や壊死斑の誘起される毒素濃度で非病原菌の感染が誘発されたが,抵抗性や非宿主葉では,CO2固定阻害のみられる毒素濃度でも感染誘発は起こらなかった。一方,SH基修飾剤で処理した感受性葉では,毒素による壊死斑形成や電解質異常漏出は顕著に抑制されたが,明下CO2固定阻害は抑制されなかった。また,このような修飾剤処理葉では,病原菌の感染が抑制された。以上の結果から,AM毒素は宿主細胞膜と葉緑体に初期作用を示すが,毒素が宿主特異性決定因子の役割を果たすためには細胞膜への作用が重要であり,毒素による細胞膜機能の障害が菌の感染を誘発することが示唆された。
  • Awadh Kishore ROY, Hirendra Kumar CHOURASIA
    1991 年 57 巻 2 号 p. 256-258
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    インド国ビハール州に生薬原料として保管貯蔵してある薬草10種について,植物体着生の菌種およびその菌からのアフラトキシン生成を調査した。分離頻度の高い菌種は,Aspergillus flavus, A. candidus, A. niger, A. luchuensis, A. ochraceus, Fusarium moniliforme, Penicillium citrinumで,そのうちA. flavusが最多であった。分離したA. flavusの半数は毒素を産生した。アフラトキシンB1の生成量は培養ろ液1ml中0.09∼0.87μgであり,Eugenia jambolanaの乾燥種子における検出量が最も高かった。インドでは生薬常用者もあり,アフラトキシンB1の生薬への混入に注意を払う必要がある。
  • 野田 聡, 大村 敏博, 村上 正雄, 土崎 常男
    1991 年 57 巻 2 号 p. 259-262
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rice varieties “Musashi-kogane”, “Tamaminori” and “Tamahonami” which have St2igene for resistance to rice stripe virus (RSV), showed resistance to RSV infection, but no resistance to virus multiplication. Furthermore, the vector Laodelphax striatellus acquired the virus readily on infected “Musashi-kogane” plants as did on susceptible “Nipponbare” plants. Sharp decline in the percentage of viruliferous insects in the overwintering population with the increase in the percentage areas planted with RSV-resistant varieties can be explained by the decrease of virus source plants for the secondary infection. The three RSV-resistant varieties did not show resistance to infection and multiplication of rice black-streaked dwarf virus (RBSDV) and rice dwarf virus (RDV). “Musashi-kogane” as well as “Nipponbare” served as the source of the three viruses for the transmission by their vectors.
  • 小泉 信三, 駒田 旦, 加藤 肇, 吉野 嶺一, 一戸 正勝, 林 長生
    1991 年 57 巻 2 号 p. 263-267
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本におけるムギ類赤かび病菌の土壌中での生存を確かめた。ムギ類の出穂前(4月)に全国16ヵ所の農業試験場のムギ類栽培圃場から土壌試料の送付を受け,これらの試料を1mmメッシュの節を通し,植物片と土壌に分けた。これらから駒田培地によりFusarium菌を分離するとともに分離菌のコムギ穂に対する病原性を調べた。16ヵ所のうち千葉・群馬・愛知・岡山・山口・徳島・香川・佐賀県の8ヵ所の土壌からFusarium roseum ‘Graminearum’が分離され,これらはいずれもコムギ穂に赤かび病症状を生じた。F. roseum ‘Avenaceum’が山口県の土壌,F. nivaleが広島県の土壌中の植物片からそれぞれ分離され,これら分離菌はいずれもコムギ穂に赤かび病症状を呈した。広島・香川・福岡・宮崎県からはF. roseum ‘Acuminatum’が分離され,これらのうち広島県の土壌および土壌中の植物片,香川県の土壌中の植物片から分離した菌株にコムギ穂での病原性を認めた。以上の結果から,ムギ類赤かび病菌はムギ類栽培圃場の土壌中で生存することが実証された。
  • 門田 育生, 大内 昭, 西山 幸司
    1991 年 57 巻 2 号 p. 268-273
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ褐条病細菌4菌株(Pseudomonas avenae, H8201, H8301, H8407およびH8502)の生菌体を,別々にウサギ耳静脈に注射して得たそれぞれの抗血清を用い,本病原細菌の血清学的性質と特異性を凝集反応および寒天ゲル内二重拡散法によって検討した。凝集反応では,いずれの抗血清もイネばかりでなく,他の植物から分離された褐条病細菌と明確に反応し,高い凝集力価を示した。供試抗血清の特異性はきわめて高く,褐条病細菌以外の植物病原細菌とは明確な凝集反応を示さなかったが,H8407株の抗血清はイネ籾枯細菌病菌の数菌株とわずかに反応した。寒天ゲル内二重拡散法では,抗血清と褐条病細菌の菌株との組合せによって沈降帯の形成に差異が認められ,その様相によってイネ褐条病細菌77株の血清型はA, B, CおよびDに,トウモロコシおよびテオシントから分離された6株は血清型Dに類別された。一方,ホイートグラス,レスクグラス,シコクビエ,ファレノプシス,ダリスグラスから分離された18株,およびイネから分離された2株は,いずれの血清型にも属さず,さらに別の血清型が存在することが示唆された。
  • 河部 暹, 川北 弘, 中島 一雄, 且原 真木
    1991 年 57 巻 2 号 p. 274-277
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    黄萎病イネ師管液中から,マイコプラズマ様微生物(MLO)の検出を試みた。師管液は,イネの師管中に挿し込まれているトビイロウンカの口吻をレーザーで切断し,流出してくるものを採取することによって得た。これを,蛍光色素,4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)で染色し,蛍光顕微鏡で観察した。DAPIはDNAと結合し,青色蛍光を発することが知られている。健全イネから得た師管液(対照)中には,さまざまの大きさ,形状の蛍光粒子がわずかに観察されただけであった。一方,黄萎病イネから得た師管液中には,対照において見られたもの以外に,直径1μm以下の球状あるいは楕円体状蛍光粒子が多数観察された。これらの粒子は,電子顕微鏡観察により,MLOであることが確認された。
  • 菅野 善明, 吉川 信幸, 高橋 壮
    1991 年 57 巻 2 号 p. 278-282
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴクロロティックリーフスポットウイルス(ACLSV)-RNAに対する相補的DNAを32Pで標識し,これをプローブとしてドット・ブロット・ハイブリダイゼーション法によるACLSVの検出を行った。本法の検出限界は,精製ウイルスを用いた場合に8ng/スポット,ウイルス-RNAでは5.12pg/スポットであった。健全および感染Chenopodium quinoa葉から調製した核酸を試料とした場合,健全試料にはまったく反応は認められず,感染葉から特異的にACLSVを検出することができた。感染リンゴ樹からの本法によるACLSVの検出を試みたところ,5月に採集した葉および花弁からウイルスを特異的に検出できたが,5月採集の樹皮および8月,11月に採集した各種試料からの検出は困難であった。
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