日本植物病理学会報
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黄色突然変異キュウリおよび斑入りキュウリ葉上におけるSphaerotheca fuliginea (Schlecht.) Pollacciの生育
有本 裕本間 保男
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1992 年 58 巻 2 号 p. 214-219

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抄録

うどんこ病菌,Sphaerotheca fuligineaの生育と宿主のクロロフィルとの関係について観察した。実験にはキュウリ(品種:相模半白)の自然突然変異で生じた黄色突然変異キュウリおよび本葉に白斑の入る斑入りキュウリを用いた。黄色突然変異キュウリはクロロフィルを持たない。また斑入りキュウリの白斑部細胞もクロロフィルを持たない。正常キュウリ葉上では菌糸長は接種48時間後平均1209μmになった。また,それぞれの分生胞子から形成される吸器数は接種96時間後には平均63個であった。新たな分生子柄は接種4日後に形成された。一方,斑入りキュウリ葉の白斑上でもS. fuligineaの生育は続いたが,48時間後の菌糸長は平均173μmで,また96時間後の吸器数は平均5個であり,分生子柄の形成は接種14日後に初めて観察された。黄色突然変異子葉上では接種48時間後の菌糸長が平均74μmであり,第2吸器の形成も起らず,その生育は停止した。しかし,根を2%しょ糖溶液に浸せきすると黄色突然変異子葉上でのS. fuligineaの生育は正常キュウリでのそれと同程度まで回復した。したがって,外部から糖などを与えればS. fuligineaの生育に宿主細胞中のクロロフィルは必ずしも必須ではないことが明らかとなった。

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