日本植物病理学会報
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AM毒素による感受性リンゴ細胞の微細構造変化に対する光およびSH基修飾剤の効果
霜村 典宏朴 杓允尾谷 浩児玉 基一朗甲元 啓介
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1992 年 58 巻 2 号 p. 305-309

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抄録

リンゴ斑点落葉病菌のAM毒素で処理された感受性リンゴ葉を処理直後から光照射下に静置すると,毒素による壊死斑形成は抑制されたが,原形質膜の陥入や葉緑体グラナラメラの小胞化は抑制されなかった.一方,SH基修飾剤処理葉では壊死斑形成と原形質膜の陥入が抑制されたが,葉緑体グラナラメラの小胞化はまったく抑制されなかった.以上の結果は,毒素による生理機能障害を指標とした既報の結果とよく一致し,AM毒素は葉緑体と原形質膜の2ヵ所に初期作用を示すが,毒素による壊死斑形成には毒素の細胞膜への作用が重要であること,細胞膜機能障害後,光によって阻害される過程を経て壊死に至ることが微細構造の観察からも確認された.

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