1993 年 59 巻 4 号 p. 460-468
キウイフルーツの葉のかいよう病感受性は,葉身の長さが2cm程度に拡大した頃から著しく高まり,その後,葉の成熟に伴い低下した。新梢の発病は,旬平均気温が15±3°Cの範囲で急速に増加し, 20°Cに近づくと終息に向かった。その後25°Cに至る早い時期には,強風雨に遭遇したり冷涼な気象条件下で未熟葉の感染が一時的に助長された。7月下旬以降11月下旬まで夏梢,秋梢に発病は認められなかった。4月に茎が感染し激しく浸潤した新梢は5月に入り枯死し始めたが,遅く感染し病状が茎の局部に止まった新梢では, 6月下旬(旬平均気温: 21.8°C)になお,量は減少したものの菌泥の溢出が認められた。7月上旬(旬平均気温: 23.0°C)にはゆ傷組織が発達し始め, 7月下旬(旬平均気温: 24.7°C)になるとゆ傷組織は旺盛に形成されて,菌泥の溢出は起こらなかった。しかし,これらの罹病枝の20%では,越年後にやや離れた部位に菌泥の溢出が認められ,罹病組織内での病原細菌の越冬が示唆された。以上,新梢の主要感染時期は,旬平均気温で15±3℃を中心とする10~20°Cの範囲にあり,その後は冷涼な気象条件下でなお一時的に感染が起こるが, 25°Cを越えると通常,発病は抑制されるものと推察された。また,細菌液を強く噴霧すると葉組織内に菌液が浸潤し,これは強風雨の際に発病が助長される一因と推察された。