日本植物病理学会報
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冠さび菌感染の抵抗性エンバク葉からの脂質酸化代謝物の単離
田中 明美山本 弘幸谷 利一
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1993 年 59 巻 5 号 p. 555-558

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抄録

冠さび菌不親和性レースに感染した品種勝冠1号のエンバク葉から3種の抗菌性物質(A, BおよびC)を単離した。一方,健全葉および親和性レース感染葉からは3物質はほとんど検出されなかった。物質Aはエーテル中性画分から,物質BおよびCは同酸性画分からそれぞれHPLCを用いて精製した。 UVおよびIR吸収特性ならびにTLCによる定性反応から,これら3種は脂質酸化代謝物と考えられた。3物質の夏胞子の発芽および発芽管伸長に対するED50は7~17μg/ろ紙片(20mm2)の範囲にあった。新規に単離した3種の脂質は抵抗性を示す他の5品種でも検出されることより,これらの物質もアベナルミンとともに,エンバク冠さび病の抵抗反応発現に関与していると思われる。

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