日本植物病理学会報
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59 巻 , 5 号
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  • 山岡 直人
    1993 年 59 巻 5 号 p. 487-491
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    オオムギうどんこ病菌を接種したオオムギ子葉鞘細胞を,接種後ただちに0.01M CaCl2,水溶液中に浸せきし,培養した。水溶液中では空気中と同様に分生子の発芽,付着器形成,吸器形成が認められたが,その割合は空気中と比較して低く,また異常な徒長発芽管の割合が増加した。しかしながら,いったん正常な吸器形成を行った分生子の中には,その後の二次菌糸の伸長に続き,最終的には分生子形成まで至る場合も認められた。さらに水溶液中で連続的に培養を行い,途中の過程において乾燥という状態を経なければ,本菌は死ぬようなことはなく,従来よりいわれていた本菌の生存に対する水の影響はほとんどないと結論できる。
  • 佐藤 衛, 福本 文良
    1993 年 59 巻 5 号 p. 492-499
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    純寄生菌であるブロッコリーべと病菌(Peronospora Parasitica)の分生胞子を蒸留水に懸濁し, -20°Cで凍結した場合,発芽率は無処理に比較して著しく低かった。しかし, 5% dimethyl surfoxide (DMSO)および5% skim milkに分生胞子を懸濁した場合には,分生胞子の発芽率はそれぞれ74.8%, 32.8%と高く維持された。また,胞子懸濁液を-80°Cで直接凍結した場合,発芽率は著しく低下したが, -20°Cで24時間凍結後-80°Cに移すと,分生胞子の発芽率は-20°Cでのみ凍結した懸濁液と同程度に維持された。-20°Cで保存した場合, 5% DMSO+5% skim milkに懸濁した分生胞子は,わずか1か月で発芽力を失った。しかしながら, 10% DMSO+5% skim milk, 10% DMSO+10% skim milkを分散媒とした分生胞子の懸濁液を-20°Cで凍結した後に-80°Cで保存した場合,分生胞子の発芽力は少なくとも12か月間高く維持された。これらの分生胞子では,ブロッコリーの子葉に対しても高い病原性が認められた。これらのことから,ブロッコリーべと病菌の分生胞子は, 10% DMSO+5% skim milkまたは10% DMSO+10% skim milkの分散媒に懸濁したものを-20°Cで予備凍結後-80°Cで凍結保存することによって長期保存が可能であることが示唆された。
  • 花田 薫, 津田 新哉, 亀谷 満朗, 栃原 比呂志
    1993 年 59 巻 5 号 p. 500-506
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマト黄化えそウイルス(TSWV)スイカ分離株(W)のヌクレオキャプシドの血清学的及び物理化学的性質を, TSWVのダリア分離株(D),ピーマン分離株(P)及びトマト分離株(N)と比較した。Wのヌクレオキャプシドは他の3分離株と同様に3つのRNA成分と1種類のタンパク質を含んでいた。 N, P及びDのRNA1, RNA2, RNA3の分子量は各々2.7×106, 2.1×106, 1.0×106で,タンパク質の分子量は30Kであったが, WのRNA 3とタンパク質はこれらより大きく,その分子量は1.2×106と32Kであった。WとNのヌクレオキャプシドに対する抗血清を用いて免疫拡散法によって4分離株の血清学的類縁関係を検討した。WとNのヌクレオキャプシドはホモロガスな組み合わせの抗血清とは明瞭に反応したが,ヘテロガスな抗血清とは殆ど反応しないか,弱い反応しか認められなかった。PとDは, Nと血清学的に近縁であったが, Wとは近縁でなかった。以上の結果から, Wは他の3分離株とは明かに異なる性質を持つことが判明した。
  • 佐山 玲, 原田 幸雄
    1993 年 59 巻 5 号 p. 507-513
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    紫紋羽病菌の安定した接種法を確立するため,市販園芸用土の使用を試みた。試験管土壌生育調査法により菌糸生育を調査したところ,弘大圃場土(火山灰土)よりも用土での生育が良好で,用土間よりも菌株による差が大きかった。殺菌土壌中で生育良好な菌株は,無殺菌の鹿沼土または鹿沼土+腐葉土(1:1)中でも生育が良好であった。生育良好な2菌株(弘大Nos. 475, 827)と不良な1菌株(弘大Nos. 471)を用いて,ニンジン苗,アスパラガス苗,リンゴ苗木への接種試験を行ったところ,弘大Nos. 475, 827は,約3カ月後いずれの植物にも強い病原性を示したが,弘大Nos. 471は病原性が弱かった。鹿沼土,腐葉土を用い,土中生育の良好な菌株を選ぶと,ほぼ100%感染した。鹿沼土は拮抗微生物も少なく,土壌間隙が大きく,腐葉土により菌糸生育が良好になったため発病率が高まったと考えられた。
  • 岡山 健夫
    1993 年 59 巻 5 号 p. 514-519
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イチゴ炭そ病(Glomerella cingulata, Colletotrichum gloeosporioides)の潜在感染株による発病を調べ,雨よけ育苗と底面給水による発病抑止効果を検討した。前年の発病圃場から採取した潜在感染株は,育苗圃への植え付け時期である4月には外見上明らかに健全に見えた。しかし,潜在感染株を親株として育苗圃に植え付けると,6月に親株の葉柄に病徴が現れ,ランナーや子苗が発病した。雨よけ育苗は子苗の発病を軽減したが,潜在感染している親株が発病すると,子苗に伝染して効果は不十分であった。潜在感染親株および子苗の発病には育苗中の灌水方法が影響し,マットを利用した底面給水によって発病が顕著に抑えられた。底面給水と雨よけは,接種親株に起因する子苗の発病についても有利に抑制した。炭そ病菌は発病した親株のランナーの褐変部から高率に分離され,無病徴ランナーからほとんど分離されなかった。底面給水で養成した苗のランナーから分離される病原菌の分離頻度は,スプリンクラーの場合よりもはるかに低率であった。以上の結果から,雨よけ栽培と底面給水の併用は,イチゴ炭そ病防除に有効な育苗方法であることが明らかになった。
  • 伊藤 伝, 兼松 誠司, 小金沢 碩城, 土崎 常男, 吉田 幸二
    1993 年 59 巻 5 号 p. 520-527
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴゆず果病罹病樹(品種:紅玉)の樹皮より核酸をフェノール抽出し, 2-メトキシエタノール及び臭化セチルトリメチルアンモニウム処理後, CF-11セルロースカラムにかけ, 5%ポリアクリルアミドゲルによる二次元電気泳動(一次元目:未変性条件,二次元目: 8M尿素による変性条件)を行ったところ,罹病樹からは健全樹には認められないウイロイド様RNAが検出された。同様なウイロイド様RNAはゆず果病罹病と考えられたその他のリンゴ14樹中12樹からも検出され,本ウイロイド様RNAとゆず果病との関連性が示唆された。本ウイロイド様RNAは8M尿素にょる変性条件下で,リンゴ樹で既報のリンゴさび果ウイロイド(ASSVd)より遅く泳動され,ノーザンプロット法によりASSVd-cDNAと反応しなかった。また本ウイロイド様RNAを電気泳動により純化し,リンゴ実生21樹に切りつけ接種したところ, 5樹から同様のウイロイド様RNAが検出され,本ウイロイド様RNAが実生に感染し増殖したと推察された。以上の結果より,本ウイロイド様RNAはASSVdと分子種が全く異なる,より分子量の大きなウイロイドと考えられた。本ウイロイドを apple fruit crinkle associated viroid と仮称した。
  • 松山 宣明, Ismail Hossain MIAN, Abdul Mannan AKANDA, 古屋 成人
    1993 年 59 巻 5 号 p. 528-534
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    植物病原細菌迅速同定法開発のための情報を得る目的で,直接コロニー薄層クロマトグラフィーによる細菌脂質のクロマトグラム比較を行った。 King B斜面培地上で30°C, 3日間培養した各種植物病原細菌のコロニーを市販のシリカゲル薄層プレート上に直接貼付し完全に乾燥後,クロロフォルムーメタノール(2:1, v/v)で短時間展開した。風乾後,菌体を完全に除去し,クロロフォルムーメタノールー水(60:25:4, v/v/v)で同一方向に再展開した。展開後の薄層プレートを十分に乾燥後,ニンヒドリンを噴霧し,加熱して得られるクロマトグラムを写真または複写により記録した。クロマトグラムを比較した結果,グラム陽性菌であるClavibacter属菌と供試した全グラム陰性菌との間に明確な違いが見られた。また,供試菌株間に属レベルの差が見られ, Erzvinia属やPseudomonas属菌株間では種レベルの違いが観察された。
  • 後藤 正夫, 駒場 雅彦, 堀川 知廣, 中村 順行
    1993 年 59 巻 5 号 p. 535-543
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    チャ樹の芽及び新芽の芯葉からは, 1芽当り平均2.8×106個(4.8×107/g)の芽圏細菌が検出された。これはオレンジ色の集落を形成するグラム陽性,非芽胞形成,非氷核活性細菌を多数含む点で特徴があった。氷核活性細菌はこれら芽圏細菌の一部を構成し,葉が展開すると急速にその密度を低下した。チャ芽における氷核活性細菌密度の季節的変動を調べた結果,分布頻度・菌数ともにXanthomonas campestrisが主要な氷核活性細菌であることが明らかになった。Ewinia ananasは台刈チャ園の初期萌芽や荒廃チャ園の芽で高い密度を示すなど,前者とは異なった特徴を示した。本実験ではこれ以外の氷核活性細菌は検出されなかった。赤外線放射による人口霜害及び自然霜害を受けた新芽から氷核活性細菌を分離して霜害への役割を検討した。被害程度を異にする芽及び非被害芽の間では,氷核活性細菌の密度に有為な差は認められず,霜害が氷核活性細菌の存在とは関わりなく発生することを示唆した。また組織培養した無菌チャ芽と,表面消毒した若い新芽に氷核活性細菌を接種して低温処理し,凍害に及ぼす氷核活性細菌の影響を調べた。その結果凍害の発生温度は氷核活性細菌の存在によって全く影響を受けなかった。以上の実験結果から-3°C前後の比較的高い温度域で発生するチャ芽の霜害では,植物起源の氷核活性物質が重要な意味を持ち,氷核活性細菌の役割は無視し得る程度のものであろうと考えられた。
  • 渡部 光朗, 山口 正樹, 古澤 巖, 堀野 修
    1993 年 59 巻 5 号 p. 544-550
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トランスポゾンTn4431の挿入により,イネ白葉枯病菌(Xanthomonas campestris pv. oryzae, T7174R)の菌体外多糖質(EPS)産生変異株の作出を行った。得られた変異株のEPS産生量は親株の約2~40%であった。変異株をイネ(Oryza sativa cv. IR24)に針接種して病原力の検定を行ったところ,接種後28日目において親株による発病指数は5.4であったのに対してEPS変異株の発病指数は0.4~3.2であった。EPS産生量が最も少ない菌株でも病原力を完全に失うことはなく,接種後28日目には病斑が形成された。イネ体内におけるEPS変異株の増殖と移行について調べたところ, EPS産生量が親株の約5%の菌株でも,接種部位近傍における増殖は親株と差異が認められなかった。しかし,接種部位から3cm以上離れた部位におけるEPS変異株の細菌数は親株と比較して顕著に少なく, EPS産生量の低下がイネ体内における白葉枯病菌の移行に影響を及ぼすことが示唆された。以上の結果から, EPS産生能力の差異はイネ体内における細菌の増殖・移行に影響し,本病の病徴発現に間接的に関与すると考察した。
  • 根岸 秀明, 田中 博, 前田 初枝, 山田 哲治
    1993 年 59 巻 5 号 p. 551-554
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本各地のタバコから186菌株のP. solanacearumを分離した。これらの菌株について,ナスとナス台木に対する病原性をもとにした菌群,生理型(biovar)を調べた。菌群はII型が最も多く次いでIII, IV, Iの順であった。生理型はほとんどの菌株がIII型であり,そのほかわずかにII型が存在した。分離された地域と菌群および生理型には明確な関係は認められなかった。これらの菌株から菌群と分離地域が異なる55菌株を選び,全DNAを抽出し,非病原性菌株M4S由来のプラスミドpJTPS 1をプローブとしたDNA:DNAブロットハイブリダイゼーションを行ったところ, 49菌株がpJTPS 1と相同性を示し,そのうち43菌株はM 4 Sの親株U-7と同様に,少なくとも3本のPstI消化 DNA断片(3.8, 1.1 and O.5kb)がpJTPS 1と相同性を示した。これら3本のDNA断片に加えて1.2kbのpJTPS 1と相同性を示すPstI消化断片を持つものが6菌株存在した。pJTPS 1に対する相同性部位の有無に関するRFLP解析では,地域や菌群との明確な関係は認められず, pJTPS 1との相同性部位は病原性のP. solanacearumに広く全般的に存在していた。
  • 田中 明美, 山本 弘幸, 谷 利一
    1993 年 59 巻 5 号 p. 555-558
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    冠さび菌不親和性レースに感染した品種勝冠1号のエンバク葉から3種の抗菌性物質(A, BおよびC)を単離した。一方,健全葉および親和性レース感染葉からは3物質はほとんど検出されなかった。物質Aはエーテル中性画分から,物質BおよびCは同酸性画分からそれぞれHPLCを用いて精製した。 UVおよびIR吸収特性ならびにTLCによる定性反応から,これら3種は脂質酸化代謝物と考えられた。3物質の夏胞子の発芽および発芽管伸長に対するED50は7~17μg/ろ紙片(20mm2)の範囲にあった。新規に単離した3種の脂質は抵抗性を示す他の5品種でも検出されることより,これらの物質もアベナルミンとともに,エンバク冠さび病の抵抗反応発現に関与していると思われる。
  • 笹谷 孝英, 岩崎 真人, 山本 孝〓
    1993 年 59 巻 5 号 p. 559-562
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ソラマメ12品種とBYMVの2分離株を用い種子伝染率を検討した。その結果, BYMVの種子伝染率は0.0から9.2%で,品種および分離株の違いで変化した。次に,市販ソラマメ種子18サンプル(10品種)についてウイルス汚染を調査したところBYMVのみが検出され,種子伝染率はほとんどが5.0%以下であったが,中には15.0%以上と高率にウイルス汚染の確認されたサンプルもあった。また,農家自家採取種子を播種したソラマメ10圃場について, 11月上旬ウイルス病の発生状況を調査したところ,調査圃場すべてでBYMVのみの発生が確認され,発生率は0.8から6.8%であった。よって,種子伝染によりBYMV感染したソラマメ種子が圃場内に持ち込まれ, BYMV蔓延の1次伝染源となる可能性が示唆された。
  • 霜村 典宏, 朴 杓允, 尾谷 浩, 児玉 基一朗, 甲元 啓介, 大野 藤吾
    1993 年 59 巻 5 号 p. 563-567
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴ斑点落葉病菌の生成するAM毒素は,感受性リンゴ細胞の細胞膜に初期作用を示し,葉組織から著しいイオンの漏出を引き起こす。このイオン漏出部位をアンチモン酸固定法を用いて電顕下で調査した。 AM毒素で処理した感受性リンゴ細胞では,原形質連絡糸近傍の細胞壁にアンチモン酸塩の沈澱が観察された。沈澱物の出現頻度を経時的に調べると,沈澱物は,毒素処理後5分で顕著に認められたが,その後は徐々に減少した。また,沈澱物のイオンを分析電顕で解析した結果, Mgイオンが検出された。一方,毒素処理した抵抗性葉や水処理した感受性および抵抗性葉の細胞壁では,このような沈澱物は,ほとんど検出されなかった。以上の結果から,感受性リンゴ細胞では, AM毒素処理によって5分以内に原形質連絡糸近傍の細胞膜の部分的破壊が生じ,この部分から細胞内Mgイオンが漏出するものと考えられる。
  • 佐藤 章夫, 加藤 雅康
    1993 年 59 巻 5 号 p. 568-571
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ疫病菌の選択分離培地を改良するために,ライムギAおよびB寒天培地を基本培地として,添加する抗生物質の種類と濃度を検討した。その結果,雑菌やバクテリアを強く抑制し,かつ疫病菌の菌糸伸長の抑制がもっとも少ない簡単な抗生物質の組成として,アンピシリン(200ppm)とナイスタチン(100ppm)の添加が優れていた。また,菌の分離法として,ジャガイモ罹病葉の切片をライムギB選択培地に置床し, 2日後に病斑上に形成した胞子を寒天片で釣り上げ,ライムギA選択培地に移植する方法を採用することにより,分離所要日数を約3日短縮でき,かつ塊茎スライス法とほぼ同等の高い効率で疫病菌を分離できた。
  • 吉田 政博, 小林 研三
    1993 年 59 巻 5 号 p. 573-580
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    メロンがんしゅ病罹病組織からの希釈平板法による病原放線菌の分離過程において,混入細菌の出現を低下させ,目的とするがんしゅ病菌を効果的に分離する方法について検討した。分離源に対する前処理では, 140倍のフェノール水溶液の10分間処理で効果が高かったが, NaOH水溶液によるアルカリ処理では効果は低かった。分離用培地への添加抗生物質は15種中, 50 ppmのカナマイシンが最も効果が高く,次いで25 ppmのカナマイシン,ならびに500 ppmのデヒドロ酢酸ナトリウムの順で有効であった。分離用基本培地は12種類を検討したが, Lochhead and Chaseの根圏微生物用基本培地(B培地)が最適であり,その培養日数は5日が良好であった。さらに,罹病形成こぶからの分離試験において,とくにB培地への50 ppmのカナマイシン添加は混入細菌の密度を低下させるとともに出現放線菌に占めるがんしゅ病菌の割合を高めた。すなわちがんしゅ病菌の分離は, 140倍のフェノール水溶液で10分間前処理した分離源を, 50 ppmカナマイシン添加B培地で28°C, 5日間培養後分離する併用法が最も効果的であった。その結果, B培地上での無処理区から分離されるがんしゅ病菌が, 7サンプル中3サンプル(42.9%)から分離され,出現放線菌の12.5%を占め, 1シャーレ当り0.3菌株であったのに対し,本併用法では供試した全サンプルよりがんしゅ病菌が分離でき,出現放線菌中の割合を71.2%へ増加させ,さらに1シャーレ当り80.6菌株のがんしゅ病菌を分離することができた。
  • 高原 吉幸, 岩渕 哲哉, 塩田 正幸, 木村 俊夫, 菊本 敏雄
    1993 年 59 巻 5 号 p. 581-586
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    軟腐病菌を変異誘発剤エチルメタンスルホニルにより処理し,非病原性変異株を多数作出した。非病原性変異株CGE234M403と病原性軟腐病菌株とを混合してキャベツ葉に接種すると,病原性株のみの接種に較べて,病斑形成が強く抑制された。病原性株に対するCGE234M403株の菌濃度比が大きくなるにつれて,病斑形成への抑制効果は高くなった。また, CGE234M403株を先に接種すると混合接種よりも病斑形成を強く抑制した。また,この抑制作用は,生菌にのみあり,加熱死菌および培養ろ液にはみられなかった。CGE234M403株は供試した全ての病原性株に対して抑制効果が認められ,その中には本菌株が生産するバクテリオシンに耐性の病原性株も含まれていた。さらに,キャベツ葉組織内での細菌の増殖実験では, CGE234M403株はそのバクテリオシンに感受性の病原性株CGE6の増殖を著しく阻害した。一方,この増殖阻害は液体培養ではみられず,植物組織が必要であった。したがって,病斑形成の抑制にはバクテリオシンの関与が考えられるものの,他の因子の関与も示唆された。
  • 田中 伸和, 高尾 実里, 松本 武, 町田 泰則
    1993 年 59 巻 5 号 p. 587-593
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    国内産Agrobacterium rhizogenes 1724株をエレクトロポレーション法によって形質転換する方法を確立した。 1724株は,アンピシリン,カルベニシリン,カナマイシン,ストレプトマイシン,バンコマイシンには耐性を示し,クロラムフェニコール,テトラサイクリン,リファンピシンには,不完全な耐性を示し, 10-4~10-5で耐性菌が出現した。本菌株をニトロソグアニジン処理することによって,カナマイシン感受性変異株を,さらに再度ニトロソグアニジン処理することにょって,カナマイシン及びクロラムフェニコール感受性変異株を取得できた。これらの変異株にエレクトロポレーション法によってバイナリー・ペクターpBIN19が導入できた。また, pRi1724の8.5kbのBam HI断片とpHSG298 (カナマイシン耐性遺伝子を持っ大腸菌のクローニング・ベクター)との組換えプラスミドpFllをカナマイシン感受性変異株に導入し, pRi1724との相同組換えを行うことによって, pRi1724にカナマイシン耐性遺伝子を付与することができた。一方,エレクトロポレーション法による形質転換効率を上昇するには,バッフル付きのフラスコでの培養と入念なピペッティングが有効であることが分かり,この操作を用いて形質転換頻度が約50倍向上した。
  • 田中 伸和, 松本 武, 町田 泰則
    1993 年 59 巻 5 号 p. 594-600
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    これまで,国内産Agrobacterium rhizogenes MAFF03-01724 (ミキモピン型)が保有するpRi1724は,本菌株が多くの抗生物質に対して感受性がないこと,およびミキモピンが大量に入手不可能なことから,他のAgrobacterium属細菌に移行不可能であった。しかしながら,本プラスミドにカナマイシン耐性遺伝子を組み込むことによって取得したpRi1724:: kanは,コンジュゲーションもしくはエレクトロポレーションによってA. tamefaciens C58C1株に移行できた。得られた受容菌は,毛状根誘発能を持ち,ミキモピンの生産とその分解能を有していたので, pRi1724が1724株のRiプラスミドに間違いないことが証明された。単離したpRi1724:: kanを制限酵素BamHI, EcoRI,もしくはHindIIIで切断し,アガロースゲル電気泳動することによって,切断片のサイズを測定し, pRi1724が約210kbであることを確かめた。
  • 奥 尚, 有江 麻美, 岸良 日出男
    1993 年 59 巻 5 号 p. 601-606
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1990年より埼玉県戸田市において温室栽培のワサピ(Eatrema wasabi Maxim.)品種‘真妻’に未記載のうどんこ病の発生を認めた。菌糸は葉の表裏面全体に薄く発達し,分生子の形成は比較的少なかった。分生子はフィプロシン体を欠き長楕円形, 32.0~51.6×13.6~23.2μm(平均39.8×17.1μm)で,表生菌糸より直立に生ずる分生子柄に単生した。分生子発芽管および付着器の形態は平田(1942, 1955)によるErysiphe Polygoni型であった。子のう殻の形成は認められなかった。接種試験では,アブラナ科植物のみに病原性を認めた。従来,アブラナ科植物のうどんこ病菌は, E. PolygoniまたはE. communisと呼ばれたが, Junell (1967)は,これら集合種のうちアブラナ科に寄生するものをE. cruciferantmとし,現在,世界的に認められている。以上より,本菌をErysiphe cruciferarum Opiz exjunellの不完全世代(Oidium sp.)と同定し,病名をワサビうどんこ病(powdery mildew)と呼称することを提案する。
  • 東條 元昭, 一谷 多喜郎
    1993 年 59 巻 5 号 p. 607-609
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    To prepare an field soil modeled for ecological study of Pythium spp., the field soil was heat-treated with water vapor-saturated air for eliminating native populations of Pythium spp. without disturbing physical and chemical properties of the soil. Oospores of P. spinosum or P. aphanidermatum were then introduced to the treated soil and the untreated soil to observe their germination patterns. These patterns varied with species and seasons, but there was few difference between the soils.
  • 荒井 治喜
    1993 年 59 巻 5 号 p. 610-613
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In the fall of 1989, a new disease was found on Sesbania, tropical leguminous manure crops, in Niigata, Japan. Dark green to grayish brown lesions appeared on the stems, petioles, leaf blades and pods of the plants. A species of Botrytis was isolated from those lesions. The fungus isolated was pathogenic to fruits of eggplant, cucumber and green pepper. Conidia were obovoid to ellipsoid, 1-celled, hyaline or pale brown. The optimum temperature for mycelial growth was 20-25°C on PSA medium. The causal agent was identified as Botrytis cinerea Persoon. “Gray mold of Sesbania” was proposed to the disease.
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