1994 年 60 巻 1 号 p. 27-35
クローニングされたカリフラワーモザイクウイルス(CaMV) DNAを,トランスアクティベーターとして機能することが知られているCaMVのオープンリーディングフレーム(ORF) VIの産物を発現するプラスミドとともに,ポリエチレングリコール法を用いてコマツナプロトプラストに接種することにより,最高約50%の感染率が得られた。また,感染プロトプラストからは,ウイルスタンパク質,および子孫ウイルスDNAも検出可能となった。この系を用い,植物体で感染性を失った3種のCaMVのORF I挿入変異体の,コマツナプロトプラストへの感染性を調べたところ,ウイルスDNA,タンパク質ともに,野生株と同程度に蓄積していることが確認された。この結果は,CaMVのORF I産物が,ウイルスの細胞間移行性に関与するタンパク質であり,CaMVの一細胞での複製,増殖には関与しないということを強く支持するものである。